■【コラム】大原雄の『流儀』

トランプ史 

大原 雄

★ トランプ史『泡沫候補』の復讐(1)

 日本国憲法は、第二次世界大戦で、敗戦国•日本が二度と戦争をしない国になるようにと、戦勝国が中心となって、1945年の国際社会という時代背景を踏まえて、作られた。特に、当時の民主主義の覇者アメリカが中心となって発想しただけあって、初々しい政治体制だったのだろう。服装、化粧、風俗など、幼い子どもでも判るような若い女性の人権の見直しなど、視覚化された変化は、私の目にも新鮮に映ったものだ。

 私事で恐縮だが、私は、1947年1月生まれ。新しい憲法と同時代に生まれたのだ。新憲法には、人一倍、親近感を抱く。憲法は、一つ上の兄さん姉さんのような存在だった。授業で憲法読本のような副読本を使う特別授業をしていたと思う。「道徳」の時間が、1時限か、2時限か、あったような気がするが、如何か。なまじ、若い頃、憲法やら、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの政治体制に魅せられた体験があるものだからエッセイを書いても、私の場合、テーマが武(ぶ)ばった硬い表現に流れが行きがちになる。もう少し、柔らかい筆致で、おもしろい文章を書きたいと思う。

 特に、アメリカの憲法案の独特なところも、大いに関心がある。大統領や司法(裁判所)の権限が、ほかの国に比べてとてつもなく高く、まさに「三権分立」というお手本を作り上げている。国民の権利を三つに分けて、社会を支えるような絵柄の挿絵が、印象的だった。

 ドイツは、やはり、ワイマール憲法体制を作り上げた、という優れた法や政治感覚が残っていたのだろうにー、なぜ、ナチスなどという鬼っ子を産み出してしまったのか?
 ポピュリズム(大衆迎合主義)と独裁主義の不幸な連携に依るところが、大きかったように思う。原史料に当たらずに、記憶だけで書いているので不正確だろうが、新憲法を授業で学んだ子ども時代を過ごした世代には、懐かしい想い出だろう。

 今回の「大原雄の『流儀』」では、そういう発想でいつもとひと味くらい、味わいの違うコラムを書いてみようか、と思い、想や奏を練り上げていた。それなのに、なんということだ、構想・下書きの途中で、パソコンの画面から私の文案が消えてしまったのだ。

 第一部の原稿としては、ほぼ9割は、出来上がっていただろうか。

 「や、や、や、や」。きのうまで、いつもより、時間をかけてたっぷりトランプの悪口を書けた、というのに、なんたる仕打ち。書き上がった。先が見えた、という段階で嫌がらせをする。脚を引っ張る。いちばん、効果的なんだよな。トランプさん。終わり注意ですよ!

 どこかに、トランプという親父が隠れていて、「私の鋭い舌鋒には、勝てないぞ」とばかりに逃げ出すついでに、私のパソコンに悪さの仕掛けを作って、さっさと姿を隠して、どこかへ行ったのではないのか。

 韓国外交省によると、ホルムズ海峡に停泊中船舶で5月4日、爆発とともに火災が発生した、という。

 すると、トランプは、「韓国がアメリカの任務に(加わるべき)時が来た」と投稿した、というではないか。間髪を入れず、連携(合同参戦)攻撃、とでもなるのだろうか。韓国を焚き付けている。

 トランプという政治家は、誰かが作ったのだろうか。
 真実や良識、秩序に刃向かい、破壊しようとする政治家。ヒトの形をしたロボット政治家。それが、トランプという政治家なのか。

 そう言えば、日本の政治・外交史専攻の五百旗頭薫(いおきべかおる)教授、現代政治を揺さぶるポピュリズムの流行への危惧感を隠さない。トランプの言動や雰囲気は、自家の父親経営企業のビジネスマン、企業家、ユニークなアメリカの経済人というイメージだった。アメリカの人気番組のMCという役回りもあったかな。

 アメリカ大統領選挙参加が、トランプの知名度アップの仕掛けだったとしてもほとんど無名の新人が、アメリカ国民の二人に一人が、大統領候補として支持されるというのも信じ難い現象ではないか。
 今、私が、不思議に思うこと。後日のために、思いつくままに、以下、書き記して置こう。

 トランプは、イランが妨害すれば軍事行動にでると明言しているという。
 トランプは、独断で中央軍を指揮するような権力を保持していること。

①トランプのSNSの使い方の不思議。
②SNSのニュース編集の判断の出鱈目さ(ファクトチェック、フェイクニュース判断の甘さなど)、誰も、チェックしていない、のだろうな。
③アメリカもイランも、沈思黙考するまでもなく、直ちに、瞬間的に反発して、互いに攻撃中!
④この結果、トランプ氏は、アメリカは、もとより、世界中で、最も有名な人物になっているのではないか。

 どうだ、『してやったり』という、トランプの表情に、こそ、この人の人間的な軽薄さが、滲み出ているのではないか。トランプの顔を見るたびに私が連想するキーワードがあるから、記録して置こう。泡沫候補。シャボン玉の泡のように風に飛ばされ、やがて、割れてしまうもの。

 泡沫候補というキーワードこそ、トランプの軽薄さに通底する言葉は、ないのかもしれない。泡沫候補とは、何か。当選の可能性が、低いのに供託金を出してまで、公的な選挙に立候補したがる人たち。選挙ごとに決められた、安くはない供託金の金額を思えば、いや、もっと重要な秘密が隠されているのかもしれない。泡沫候補についても、今後とも、いろいろ、書かなければ、いけないだろうから、これについては、次号以降、詳しく書くことになるだろう。

 これから、何回か考えてみたい。

(2026.5.20)
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