【コラム】大原雄の『流儀』
私論・マイ「メディア史」(6)
激震か。地殻変動か。 日本の政権構造は、どうなるのか。
まず、自民党の体制は、先の総裁選挙が終わり、日本の憲政史上、初めての女性総裁が誕生した。高市早苗新総裁は、どういう女性だったのか。奈良県の生まれ・育ちで、奈良県の公立高校を卒業して、地方大学で学んだ。こういう風に略歴をまとめ始めてみると、庶民的な家庭で生まれた、ごく普通の女性という印象を受ける。しかし、本人の話という、クレジット付きの噂話では、若い頃はオートバイを乗り回し、グループ楽器演奏(ドラム担当)好きな、何よりも同世代仲間遊び優先の、現代的で、自由奔放な家風の家庭育ちらしい。大学は、神戸市の国立神戸大学経営学部を卒業した、という。どこにでもいそうな若い女性であった。変わっていると言えば、早くから、政治家を志していたことか。松下政経塾(1984−1989)の出身ということで、保守的な政治家志向だったことが窺われる。公開されている情報だけでもと思い、早苗氏のプライバシーも尊重しながら、いろいろ読んでみた。夫は、同じ自民党の元衆議院議員の山本拓(調理士免許有り)さん。訳があってか、山本、高市は、最初の結婚、離婚、二度目の結婚を同人同士の間で繰り返す。
閣僚経験や今回の党総裁経験を踏まえれば、日本の保守政治家として歴史に残るのは、夫の山本拓氏ではなく高市早苗氏の方だろうが、日本の保守政治は、今後、彼女を政治家として、どういう打ち出し方をしていくつもりだろうか。私には、大変興味深い。日本の国会で、政権与党として、どういう国家構想を持ち、平和で、戦争のない社会を作れるかとなると、彼女の言動では、私は疑問を抱かざるを得ない、と思うからである。
★ 連立政権は?
まず、現行の自公連立体制が崩れた。自民党の政治資金の取り扱いに対して、不満を持っていた公明党は、足が痺れたようで、座り込む自民の横から思わず立ち上がってしまったのである。高市新総裁・斉藤代表による党首会談で公明党の斉藤代表は自民党の選挙戦術を否定せず「どうぞ、自由になさってください」と答えたという。
★ 堅実な家庭経営?
高市早苗氏は、戸籍名であり、9つ歳上の夫の山本拓氏は、戸籍名が、高市拓氏である。拓氏はー一時期、自民党の国会議員をしていたが、落選をし、体調を崩して引退したという。公開されている情報からは、そういう人物像がイメージされる。社会的なコモンセンスに裏打ちされた堅実な家庭経営に励んでいるように思える。
夫の拓氏は、その後、脳梗塞を発症し、半身不随で療養生活を送っているという。高市早苗氏も、夫を介護しているという。
野心家の政治家・高市早苗氏は、激務の自民党総裁を経て、首相指名を目指す。
夫の介護をし、良き妻として、家族に尽くし、長寿を目指すか? 良き政治家として、国民や社会に尽くし、大成を目指す。どこから、このようなエネルギーが出て来るのか。
さらに、政治家・高市早苗氏からは、右派的な言論感覚も含めて、過激という、真逆な人物像が、伝わって来るのは何故だろうか。
「全員活躍」全世代総力結集」とか、戦時中の日本帝国の参戦標語のような野暮ったい言語感覚の言葉を好んで使うが、先後の効果を考えずにちょっと浅慮な言語感覚が、懸念される。こういう言動は、早苗氏の性格や感性の成せる技であって、思想とか、心情とか、というものではないというが、どうだろうか。
★★ 超・保守政治家 /ポピュリストたち?
高市氏は、保守系政治家の経歴によくあるような官僚出身の国会議員ではなく、また、地方議員の階段を上り、市町村議員、都道府県議員、あるいは首長などを経て国会議員になってきたわけでなく、一時期、フジテレビのキャスターを経験したりした、というユニークな経歴を刻んでいるが、その間に自民党でもベテランの先輩議員と太いパイプを構築してきたわけでもないようだ。自民党内に復活し始めた派閥の重鎮でもないだろう。亡くなった安倍晋三元首相の後継者を自認していたようだが、安倍氏の方は、どこまで信頼していたのか。
亡くなった安倍晋三元首相の政権復活・継続を表明するという政治姿勢で闘っている。国会議員選挙の落選、当選を経て国会議員となる。高市氏の政治家歴は、衆院議員10期。
高市早苗新総裁は、政権構想が成功するのか。
そのほか、当面の、喫緊の政治課題には、どう対処するのか。
首班指名を獲得できるのか。
国会運営は、どうなるのか。
政局は、激動している(10・13現在)。
(2025.10.20)
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