【視点】
裏金事件、自民党の「みそぎ」は終わっていない!!
「政治資金規正法改正」で49.999円の領収書づくりに精励か。
山口 道宏
「ザル法」の上書き保存
国会は閉幕となった(6.21)。今期国会の目玉は分かっているだけで総額5.8億円にのぼる自民党の裏金づくりの責任問題と、今後の「規正」(規制??)と、どう「公開」するかにあった。
しかし、新たな「政治資金規正改正法」は、この裏金事件に関して検察庁の「忖度」がみえると、自民党内での終息を念頭に「首相預かり」の案件になっていた。その結果として、連座制も遡及責任も不透明で、事件当事者の安倍派85人、二階派6人など何もなかったように「自粛」で了った。果たして裏金を「適切に」(??)税務署は追徴したのか。当事者の胸のバッチはそのままで数々の議員特権と高給取りは不変なのか!! 誰も解せない。
いうまでもなく国会議員は「身ぎれい」でなくてはならない。これまでの「規正法」同様に、今回のそれも「ザル法」と会計のプロも語る。検察、国税は仕事をやり遂げたか!? 「検察審査会」「会計検査院」「マルサ」は死に体か!? 結果は記憶にも記録にも残る。なにしろ、すべては国民の税金だから。
二転三転、腰の定まらない「維新」
今回改正法の骨子とは、透明性のためオンライン提出の義務化、監査の拡充、政治資金バーディ券届出を20万円超から5万円超に引き下げ、議員には政治団体の収支報告書の確認義務、政党からの議員への政策活動費は10年後に領収書公開、第3機関チェック要というもの。ポイントは「5万円超」と「領収書公開10年後」(「政策活動費」)の2点だ。
前者の20万円を5万円でどうかの引き下げ案は与党・公明党だった。「領収書これから増える49999」(枚方・リリカ 仲畑流万能川柳) が上手い。
後者は日本維新の会(維新)が「旧文通費問題」との取り引きを図って積極的に提案した。
いまがこの国の「政治と金」の検証のときというのに「10年先」とは噴飯ものだ。10年後、その「政党」はあるか、当事者は引退か、故人か、ただのひとか?? なにより5年で税法上の「時効」があるから意味がない。さらに同党では国会で法改正が決まった後日、幹部への追及で「政策活動費は廃止」と発表した?? から滅茶苦茶だ。「党首同士の確認書」(上記「旧文通費」との取引)があるから、と衆院では自民党案に「賛成」を投じ、その「確認書」通りにならないとわかると「大げんかだ」「ホゴにされた」と啖呵をきって参院では「反対」に転じたから「もはや政党の体がない」とまで党内部から非難もされている。法改正は取り返せない。公党である同党の罪は重い。
「みそぎ」は終わっていない!!
公明党は5万か10万か20万か、バナナのたたき売りだから、自民党との関係を「下駄の雪」と揶揄されて長い。「維新」は堂々と「(うちは)第2自民党」と馬場代表自らが公言する「ゆ党」で知られる。
ムジナはアナグマやタヌキの呼び名として使用されてきた。よって「同じ穴のタヌキ」「同じ穴のキツネ」などといわれる。タヌキやキツネは「人を化かす動物」として知られるが、悪事を目論むものに対して使われるのが一般的だ。つまり「違うように見えても仲間」だから「ひとつ穴のムジナ」といわれる。
さらに大問題は「(今回改正の)施行の多くは2026年から」というもの。となれば2年先だ。「いまのうちに(悪事の数々を)やるっきゃない」とならないか。なにしろ法律(「改正法」)が認めるのだから。せっせと裏金づくりに精を出す国会議員と一方でひたすら納税義務を果たす国民は愚民か。悪徳政治家の「みそぎ」は終わっていない!!
2024.7.2
山口道宏 ジャーナリスト 元星槎大学教授
(2024.7.20)
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