“ヘイトスピーチ“について

【コメント】

“ヘイトスピーチ“について

                   石田 奈加子


ヘイトスピーチに関してコメントをというご依頼をうけました。日本の現在のこの件に対する情況にとんと暗いのでとんでもない的外れのことをいうのではないかと懸念いたします。“ヘイトスピーチ”という概念そのものが曖昧で具体的にどのようなものが“ヘイトスピーチ”といわれているのでしょうか。

基本的には“ヘイトスピーチ”がスピーチである限り、言いたい人には言わせておいていいのではないか、と思われます。なまじ統制したりするとこういう考えがあることやこういう考えを持っている人がいることが明るみにでない。公に宣言しないにしても個人の間で“ヘイトスピーチ”に類することを言い合っている人々は珍しくはないだろうと思います。安易に人種偏見だ、アンチーセミチズムだ、ヘイトスピーチだ、とレッテルを貼っても、根本にある問題の解決にはなりません。

もっとも、“ヘイトスピーチ”にも程度/段階があって、公に宣言されている場合、ある個人なりグループなり、社会なりに対して危険な行動を促すようなことなら、もはや単なるスピーチではなくて“教唆煽動”の部類、個人的に個人に対して向けられ精神的、または身体的に危害を加えるようなものなら“脅迫、恐喝”の部類。

“ヘイトスピーチ”といえばまず頭に浮かぶのは近年ニュースを賑わしたTerry Jonesというフロリダの牧師です。この人はコーランを燃やしたり、イスラムに対してかなり際どい挑発的な見解を公言しています。書物を公の場で燃やした廉とかで罰金を科せられたりしたらしいですが、イスラムとか移民に対する暴言では罪に問われていません。

政治家とか、公職にある人とか、企業/団体の要職にある人とかが、politically incorrectな語彙(形容詞/名詞 — 差別語)をスピーチ、談話で使って謝罪する件が最近しばしばありますが、これなどは“ヘイトスピーチ”よりは名誉毀損、誹謗などでしょうか。

大統領をはじめ政治家等の国際関係のスピーチ、談話などは最近頓に“ヘイトスピーチ”の範疇に入るようなのが横行していて一触即発になるのじゃないかとハラハラいたします。

大切なのは“ヘイトスピーチ”の中に ”ヘイト“ を探るより疑似事実、誤情報、あるいはあからさまな嘘を指摘し、世間に知らせる必要ではないでしょうか。何故このようなスピーチがあるのか、社会全体の、人々の有り様、理解の改善、向上に努めねばなりますまい。
           (アメリカ・ウイスコン州在住)


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