「世界は見ている」

【沖縄の地鳴り】

「世界は見ている」 辺野古問題・海外著名人の声明全文

—— 翁長知事は埋立承認を取り消す法的義務あり——

2015年8月23日

<はしがき>
 海外の著名人たちが辺野古新基地問題で8月23日、声明を出した。内容は(1)日本政府の対応を「買収の試みは沖縄にとっての侮辱」と強く批判(2)知事は取引をせず、埋め立て承認を取り消す法的義務があると強調している。沖縄タイムスの米国特派記者、平安名純代氏が以下のように報じた。(沖縄タイムス 15・8・23)

— オリバー・ストーン氏(米映画監督)やノーム・チョムスキー氏(米マサチューセッツ工科大学言語学名誉教授)、モートン・ハルペリン氏(元米政府高官)ら海外の著名人や文化人、運動家ら74人は8月22日、名護市辺野古の新基地建設計画をめぐる声明を発表した。同計画を阻止する鍵を握るのは、翁長雄志知事による埋め立て承認の取り消し・撤回だと主張し、「知事が無条件で妥協や取引を全く伴わない埋め立て承認の取り消しを行うことを求め、期待する沖縄の人々を支持する」と表明している。声明は、第三者委員会が7月に翁長知事に提出した報告書の中で、前知事による埋め立て承認には法的瑕疵(かし)があると違法性を明確にしたとし、「翁長知事は、日本政府に基地建設を進めることを許してきた埋め立て承認を取り消すための証拠を手にした」と評価。「翁長知事は自らの権限において、これを阻止する鍵を握っている」と知事の行動が計画を左右すると位置づけた上で、「知事には(埋め立て承認を)取り消す法的義務がある」とその重要性をあらためて強調した。

 また、県と政府の集中協議について、日本政府が協議の結果にかかわらず、終了後に建設作業を再開させると断言したのは、「沖縄の人々にもう一つの平手打ちを食らわせるかのようだ」と指摘。政府の真意について、「大きな経済振興計画を約束し、翁長知事に反対をやめさせることを狙った」などと分析。「このような買収の試みは沖縄の人々にとっての侮辱である」と強く批判した。 一方で、翁長知事が埋め立て承認の取り消し・撤回の判断を一カ月先延ばししたことについて、「翁長知事が埋め立て承認を取り消さないようなことがあれば、それは違法な計画に加担するということになる」とくぎを刺した。その上で「沖縄の人々は、知事が無条件で妥協や取引も全く伴わない埋め立て承認取り消しを行うことを求め、期待していることを明白にしている」と述べ、「われわれは沖縄の人々のこの要望を支持する。世界は見ている」と辺野古新基地阻止へ向けた沖縄の闘いへの支援を表明した。—

<「世界は見ている」辺野古問題・海外著名人の声明全文>

 沖縄の人々は20年間にわたり名護市・大浦湾の辺野古に計画されている海兵隊新基地に対し圧倒的な反対の姿勢を明らかにしてきた。我々が2014年1月に出した新基地建設反対声明以来、地元の反対は拡大し強化された。何千、何万の人々が集会に集まり、繰り返し沖縄や日本本土の関係省庁の庁舎前で抗議行動を行った。辺野古漁港での座り込みテントは12年目に入る。建設予定地に続くゲートでの座り込みはすでに400日以上続いており、1月以降は24時間態勢を取ってきた。抗議する人々は非暴力の市民的不服従運動を行ってきており、湾内ではシーカヤックを使い陸上では自らの体でトラックを阻止するなどして、建設のプロセスを物理的に妨げてきている。機動隊や海上保安庁の人員は抗議運動をする人を襲い、深刻な負傷をもたらした。県内の世論調査では80%が新基地に反対している。一方、日米政府は沖縄の人々の意思を妨害する決意について譲らない姿勢のままでいる。
 島で構成される県である沖縄は、国の0・6%の面積で1%の人口を抱えるが、日本にある米軍基地の74%をすでに負担している。この負担はすでに県外に比べ500倍近いものである。沖縄はこのことをあからさまな構造的差別と見ている。

◆普天間基地の辺野古移設はサンゴやジュゴンの環境を破壊する
 東京とワシントンの日米政府高官たちは、海兵隊普天間飛行場を宜野湾市から撤去し、辺野古に新基地を造ることが騒音被害や人口密集地での墜落の危険性を軽減すると主張している。しかし宜野湾市の人々を含む沖縄の人々は、これらの問題を沖縄の一つの地からもう一つの地に移動させることが「解決策」だとは考えていないことを明確に表明している。さらに、この航空基地を建設することは美しくも壊れやすい大浦湾の環境を破壊する。大浦湾は、日本で残存するもっとも健全なサンゴの海であり、保護対象となっている海洋ほ乳類ジュゴンや他の魚類や植物の棲息(せいそく)地でもある。

 2014年11月、沖縄の人々は基地建設阻止の立場をとる翁長雄志氏を大差で知事として選んだ。何年も新基地に反対すると約束してきた後、突然埋め立て申請を承認した現職の仲井真弘多知事を破っての当選であった。仲井真氏は東京からの重圧に屈服し、自らの選挙公約に直接違反し有権者を裏切った。
 繰り返し「あらゆる権限を駆使」して基地を阻止する意向を述べてきた翁長知事は、埋め立て承認取り消しを視野に、承認に法的瑕疵(かし)があるかないか、またあるとしたらどのような瑕疵なのか特定するために環境、法律の専門家のチーム「第三者委員会」を任命した。
 7月にこの委員会が出した報告書は、仲井真前知事による埋め立て承認は「環境保全及び災害防止に付き十分配慮」しておらず、「国土利用上適切且つ合理的」という基準に適合しないことにより、日本の公有水面埋立法に反すると結論づけた。これは常識とも合致している — 深刻な環境破壊を起こさずにトラック350万台分もの土砂をサンゴの園に投げ込むことが可能であるといった主張が明らかにおかしいということを理解するのに専門知識は必要ない。翁長知事は今、日本政府に基地建設を進めることを許してきた埋め立て承認を取り消すための証拠を手にしている。
 日本政府は一カ月の建設工事中断を発表するという形で対応し、県との協議に入った。しかし沖縄の人々やその代表者たちにとってもう一つの平手打ちを食らわせるかの如く、政府は「協議」の結果にかかわらず基地建設のための作業をその後続けると断言している。

◆第三者委員会の仲井真前知事の承認は法的瑕疵ありの結論を尊重せよ
 翁長知事は自らの権限においてこれを阻止する鍵を握る。第三者委員会報告書の裏付けを得て、仲井真前知事の埋め立て承認を取り消す権限である。このような行動を取られることに対する日本政府の恐れが、工事中断と、大きな経済振興計画を約束し翁長知事に反対をやめさせることを狙った協議に入る動機づけとなったのであろう。しかしこのような買収の試みは沖縄の人々にとっての侮辱である。
 第三者委員会による検証は、仲井真知事による埋め立て承認は法的瑕疵がある — 要するに違法であるとの結論を出した。これが意味することは、翁長知事はこれを取り消す法的義務があるということである。第三者委員会が結論を出した直後にこのような取り消しがあると期待されていたが、多くの沖縄の人にとって驚きであったのは、翁長知事は第三者委報告を受けてのいかなる判断も一カ月間先延ばしにしたことだ。
 翁長知事が埋め立て承認取り消しをしないようなことがあったら、それは違法なプロジェクトに加担するということになる。もちろん翁長知事はそれを分かっているはずであり、決定的な行動に出ないことが沖縄社会に爆発を引き起こすであろうことも分かっているはずだ。
 沖縄の人々は、知事が無条件で妥協や取引も全く伴わない埋め立て承認取り消しを行うことを求め、期待していることを明白にしている。
 我々は沖縄の人々のこの要望を支持する。


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