「私雨」と「沖縄の空」—滋賀と沖縄知事選を考える

「私雨」と「沖縄の空」—滋賀と沖縄知事選を考える
政権総ぐるみ絨毯爆撃への静かなる反乱 安倍政権滋賀で手痛い敗北

仲井 富

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◆わずか13,076票 三日月陣営薄氷の勝利
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 注目の滋賀県知事選挙は7月13日投開票の結果、嘉田由紀子前知事と武村元知事などが全面的に支援した三日月大造氏(連合推薦)が僅差で勝利した。前民主党衆院議員の三日月大造氏(43)が、元経済産業官僚の小鑓(こやり)隆史氏(47)=自民、公明推薦=、共産党県常任委員の坪田五久男(いくお)氏(55)=共産推薦=を破り初当選した。三日月陣営にとっては、まさに薄氷の勝利であり、自民党にとっては、どうしても負けられない知事選挙での手痛い敗北であった。民主党衆院議員を4期10年半務めた三日月氏は、3選へ立候補を模索していた嘉田知事と政策調整の末、嘉田氏から後継指名を受けた。5月に離党し、無所属で立候補。隣接する福井県の原発の「被害地元」として、段階的に原発をなくしていく「卒原発」を唱え、再稼働の判断にかかわれるよう訴えた。選挙戦中盤からは、集団的自衛権を使えるように閣議決定した安倍政権への批判を強め、「中央の暴走を県政に持ち込ませない」と強調。政党の推薦を受けず、前回の知事選で過去最多の約42万票を集めた嘉田知事と二人三脚で回った。

 内閣参事官として安倍政権の成長戦略の立案に携わった小鑓氏は、原発政策の争点化を避けて国とのパイプをアピール。「滋賀経済に活力を取り戻す」と地域経済の活性化を中心に訴えた。自民党は石破茂幹事長ら幹部をはじめ、延べ200人近い国会議員を送り込んだが、及ばなかった。坪田氏は「原発即時ゼロ」を掲げ、集団的自衛権の行使容認や環太平洋経済連携協定(TPP)に反対して政権批判を強めた。稀にみる僅差の知事選挙だった。三日月と小鑓の差は13,076票とまさに薄氷の勝利だった。8年前から旧知の県政記者の友人に電話して聞いた。彼は「自民党は最後まで石破幹事長が大津市の市議一人一人に電話して督励した。場合によっては再逆転の可能性すらあった。なんとかしのげたのは嘉田知事の力だ」と答えた。

当落 得票数  候補者   所属党派 前歴 推薦・支持
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当   253,728 三日月大造 無所属  新人 連合(推薦)
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    240,652 小鑓隆史  無所属  新人 自由民主党、公明党、維新総支部(推薦)
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    53,280 坪田五久男 無所属  新人 日本共産党(推薦)
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◆共同と朝日の出口調査に見る維新票の流れと公明票
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 共同通信社が実施した7月13日の出口調査によると、嘉田由紀子知事に前回投票した人の60・3%が後継指名を受けた元民主党衆院議員三日月大造氏に、31・0%が自民、公明両党推薦の小鑓隆史氏にそれぞれ票を投じた。投票で最も重視した政策を聞いたところ、「景気・雇用」が28・4%で最も多く、「福祉・医療」19・4%、「原発」10・3%が続いた。「景気・雇用」と回答した人のうち63・1%が小鑓氏に投票。「原発」とした人のうち67・6%が三日月氏だった。支持政党別では、支持政党なしと答えた無党派層の63・9%が三日月氏で、小鑓氏は24・9%にとどまった。三日月氏は民主党支持層の83・2%を固めた。一方、小鑓氏は自民党支持層の72・9%、公明党支持層の75・8%から票を得た。日本維新の会の支持層では、推薦した小鑓氏の26・9%に対し、三日月氏は55・8%だった。調査は滋賀県内の28投票所で実施し、投票を終えた有権者1656人に聞いた。投票率は50・15%で前回2010年の嘉田圧勝の61・5%には及ばなかった。しかし嘉田前知事が初当選した2006年の投票率44・9%を上回った。三日月の勝利をもたらしたのは無党派層の64%の獲得だった。昨年の参院選で公明党を上回る比例区票(84,776)を獲得した維新票の56%が三日月氏に回ったことも見逃せない。

 朝日新聞社は7月13日、県内60投票所で出口調査を実施し、3,136人から有効回答を得た。それによると、回答者が投票の際に重視した政策は(1)医療・福祉26%(2)雇用・経済22%(3)原発・エネルギー21%が上位を占めた。原発・エネルギーを選んだ人の69%が三日月大造氏に投票。「卒原発」を掲げる嘉田由紀子知事に全面支援され、無党派層の票を掘り起こしたことが三日月氏の大きな勝因だ。支持政党別に投票行動の違いを見ると、グラフのように民主支持層の90%が三日月氏に投票したのに比べ、自民支持層は21%が三日月氏に流れた。人数が多い自民支持層は引き締めが不十分なことが珍しくないが、問題は公明である。公明支持層は92%が小鑓隆史氏に投票し、みごとに固めたかに見える。だが、調査回答者に占める公明支持層の割合は3%余。公明支持層は熱心に期日前投票に行く傾向があるが、今回、県内4市で実施した期日前投票の出口調査でも公明支持層の比率は4%台。12年衆院選と13年参院選の期日前出口調査でともに10%を超えていたのに比べ、減り方は尋常ではない。集団自衛権の行使容認をめぐる与党協議では一致点を見いだしたが、公明の地方組織では反発も強かった。小鑓陣営は公明の協力は十分に取り付けたと自信を見せていたが、公明は期日前投票の号令を出すのが遅れたうえ、当日投票でも回復できなかった。末端で「自公協力」が十分機能しなかったことが結果に直結した。(朝日新聞014・7・14朝刊)朝日調査の注目点は公明票の分析だ。期日前投票、さらに投票日の調査で、公明票は全体の3〜4%と激減している。公明支持者は棄権という方法で、自公連立政権の解釈改憲に意思表示したと見ることもできる。(下記 朝日新聞出口調査図表参照)

図) 画像の説明

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◆「政権ぐるみで絨毯爆撃」権力選挙への静かなる反乱
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 私は8年前の滋賀県知事選挙で、自公民連合という最強のタッグを組んだ現職の国松知事に対して、新人で元大学教授の嘉田由紀子氏が約32,000票の差をつけ217,841票を獲得して当選したことに注目した。大津市に飛んで嘉田周辺や自治労、共産党などを取材し、本誌に二回にわたって掲載した。(メールマガジンオルタ第31号(2006.7.20)波紋ひろげる自公民敗北の滋賀県知事選挙・ 第36号(2006.12.20)嘉田県政の6カ月〜ゆれ動く新駅凍結路線 参照)今回も7月初旬に大津市に、当時取材した県政記者や自治労関係者などと会い知事選挙の実態を肌身で感じることができた。

 滋賀県というところは、全国でただひとつ県紙がなく、京都新聞がそれをカバーしていることで知られる。それに代わる県政報道紙として長年のキャリアをもつ『滋賀報知新聞』6月30日号は、県知事選挙における自民党中央の空前絶後の選挙応援体制を「政権ぐるみで絨毯爆撃」という大見出しで報じた。以下にその要旨を紹介する。

 —大編隊を組んだ大型爆撃機が一斉投下する「絨毯爆撃」とは、このことをいうのだろう。元経済産業省官僚の小鑓候補=自民、公明、維新県総支部推薦=の応援のため、自民党の石破幹事長など党本部幹部や閣僚級の国会議員が連日湖国入りし、最終的には「国会議員」は延べ二百人(小鑓陣営の吉田清一・選対本部長)に達する、空前絶後の政権ぐるみ選挙だ。その一例として、相手の駒をひっくり返して陣地を奪い取るオセロゲーム。それを見せつけたのが、5月に開かれた大津市市民会館で開かれた小鑓氏の決起集会だった。ガンバローコールで壇上に上がったのは、なんとJR西日本の佐々木隆之会長ら同社幹部だった。三日月大造候補の衆議員時代(民主)は、JR西日本の組織候補として労使ぐるみで応援してきたのが、今回は、会社が小鑓氏、労組が三日月氏と分断されたのだ。県内入りした国会議員は、三月の麻生副総理から述べ百人超え、閣僚も甘利経済再生担当大臣、茂木経済産業大臣など枚挙にいとまがない。さらに各業界・職域団体とつながりの強い国会議員が来県して、支持浸透を徹底している。5月23日の県建設業協会の総会で、同業界候補の脇雅史参議院議員が「全国に先駆けて、国から予算を取って来るぞと、とならなければならない。そのためにも知事選は頑張らなければならない」とゲキを飛ばした。

 対する三日月陣営は、スタートからして立ち遅れた。小鑓の三月にたいしてやっと五月半ばのスタートだった。
 連合の推薦だが、もっぱら「嘉田後継」を表面に推し立て嘉田前知事の「卒原発」を継承することを訴えた。三日月氏自身が、松下政経塾出身で、さらに連合内に原発再稼働勢力も抱えての選挙という面もあった。「卒原発」といっても、もっぱら「嘉田後継」というムードに頼るための方便だという厳しい指摘もある。知事当選を果たした後、「卒原発」を支持した嘉田支持票をしっかりと固めることができるか、選挙の方便に過ぎなかったかが問われることになる。これだけの絨毯爆撃にも屈しないで、デモに寄らない投票という手段で、安倍政権の解釈改憲、原発再稼働など一連の強引なやり方に「静かなる反乱」が始まったと見ることもできる。確実に言えることは、朝日の出口調査でも分かるように、自民、公明、維新支持者たちの「離反票」がなければ三日月の勝利はなかった。共産党支持者も21%が三日月に投票し良識を示した。三日月陣営は、この「意味」を深くかみしめることが必要だろう。その「意味」を深く考えなかったが故に、民主党政権は、地方選挙の敗退に続く参院(010年)、衆院(012年)、参院(013年)と三度の国政選挙で、回復不可能な敗北を喫したのである。

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◆八年前の自公民連合敗退と嘉田知事誕生の悪夢再現
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 直近の国政選挙、2013年7月の参院選挙比例区票で見ても、民主推薦の三日月氏の劣勢は明らかだった。小鑓を推薦した自民(208,451)公明(59,127)維新(84,776)で合計352,354票。対する民主出身の三日月は、民主の98,946票のみ。共産は比例区で60,560票、社民は9,579票に過ぎない。自公側にとっては、前回知事選挙における嘉田知事支持の42万票がどう動くかという懸念と、8年前の敗戦を想起すれば、たとえその後の衆参選挙で圧勝したとしても、楽観できない。取りこぼしは絶対できないという思いが「絨毯爆撃選挙」になった。三日月の当選する可能性は低かったが、自民党にとっては悪夢のような8年前の知事選挙の経験がある。自・公・民・連合という最強のタッグで楽勝だったはずの選挙で、突如市民派を名乗って登場した新人の元大学教授の嘉田由紀子に敗北した。当時、2006年の知事選挙前の国政選挙は、2005年の衆議院選挙だった。ちなみに、2006年の社公民連合の各政党の比例区得票は、自民党(285,849)公明(63,231)民主(252,521)で合計602,601票だった。常識的には無所属で政党支持なしの嘉田の勝ち目はなかった。だが06年7月2日投票の任期満了に伴う滋賀県知事選挙は市民派の嘉田由紀子氏(京都精華大学教授)が現職で自公民三党と連合滋賀などの推薦を受けた現職の国松善次氏を蹴落として当選した。

当落 得票数  候補者   所属党派 前歴 推薦・支持
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当   217,842 嘉田由紀子 無所属  新人 社会民主党(支持)
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    185,344 国松善次  無所属  現職 自由民主党、民主党、公明党(推薦)
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    70,110 辻義則   無所属  新人 日本共産党(推薦)
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 ここに国政選挙の結果が必ずしも、地方選挙での知事選や市長選に当てはまるとは限らないという教訓がある。この地方の予兆に学ばなかったのが民主党政権だった。総力を挙げた長崎県知事選挙(010年)で敗退、さらに名古屋の河村市長(011年)大阪の橋下市長(011年)と対決して敗れ、衆参の国政選挙での惨敗につながった。自民党は閣僚、党幹部など延200人を投入しながら、再び8年前の嘉田当選の悪夢を、嘉田後継の三日月に敗れることによって再現した。このダメージはかなりのものだ。

●(注)1.06年滋賀県知事選に関する、京都新聞滋賀本社の出口調査によると、新幹線新駅について、7割近くの有権者が反対で、反対した人のうち約6割が「凍結」を掲げた嘉田氏に投票した。また現職の国松善次氏を推薦した民主党の支持者のうち、嘉田氏に投票した人が6割を超えた。民主党支持者のうち64・8%が嘉田氏に投票、国松氏には23・9%が投票しただけである。自民党支持者では、国松氏が56・4%だったが、嘉田氏も33・9%の支持を得ていた。(京都新聞06年7月3日)。4年前2010年の知事選挙で嘉田知事は、滋賀県政始って以来の40万票余という大量得票で再選されている。この40万票の行くえが、今回の知事選挙の動向に大きな影響を与えたということができる。
●(注)2.滋賀県知事選挙得票数 2010年7月
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 419,921 63.17% 嘉田由紀子 無所属       現職
 208,707 31.40% 上野賢一郎 無所属       新人
  36,126  5.43% 丸岡英明  無所属(共産推薦) 新人
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◆嘉田、武村、三日月の「チームしが」
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 嘉田前知事は、大飯原発再稼働問題では橋下大阪市長に振り回され、小沢と組んだ012年12月の衆院総選挙では「未来の党」として320万票を獲得しながら、結果としては失敗、次の「卒原発」につながらなかった。政治的社会的には嘉田知事は「賞味期限切れ」と見られたのは当然と言える。しかし支持者の一部は最後まで「民主の三日月では展望がない。嘉田三選出馬を」と粘ったが、嘉田自身は三選出馬を固辞し、後継として三日月大造を推す意思を明かにした。以後知事選挙は、三日月と嘉田のタッグで各地の集会や街頭演説をこなしてきた。さらに、今なお滋賀県政に隠然たる影響力を持つ、武村正義元知事が公然と「三日月支持」で動いたことの影響も大きかった。不人気の民主党議員は数十人、応援に来たと言われるが、表だって三日月、嘉田の宣伝カーに乗ることはなかった。出身単組や地域でのあいさつ回りや、個人演説会など陰で支持する裏方に徹した。大飯原発の再稼働を決めたのは野田内閣の民主党政権であり、大間原発工事再開も民主党の政権であったことを思えば、当然の、民主隠しでもあったし、それが功を奏したともいえる。

 自公側にとっては、前回知事選挙における嘉田知事支持の42万票余がどう動くかという懸念と、8年前の敗戦を想起すれば、たとえ直近の衆参選挙で圧勝していたとしても楽観できない。取りこぼしを絶対できないという思いが「絨毯爆撃選挙」になったといえよう。三日月陣営は告示前には、政治団体「チームしが」を嘉田氏と設立。選挙戦では嘉田氏や武村氏との「3枚看板」で、小鑓陣営に対抗した。県民との会合を経てマニフェストをつくるなど、対話を重視する「草の根自治」を実践し、親近感と嘉田県政の後継者としての立場をアピール。演説の際はそれぞれに地域に合わせて政策を提案し、県民の関心を集めた。一方で、アベノミクスや集団的自衛権の閣議決定など政権批判も展開した。

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◆裏方に徹した民主陣営 篠原孝の滋賀県知事選挙レポート
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 民主党の篠原孝議員は、大津に泊まり込んで同僚議員の三日月氏の応援に回った。主としてお得意の農協、農業関係者を回り、その状況を<慢心が過ぎる安倍首相と一強与党自民党 地道な選挙活動に徹する>とレポートしている。
——自民党は、石破幹事長以下閣僚や人気の小泉進次郎内閣府政務官等総出で最後までテコ入れした。対する我が民主党は、自民党対民主党の対立を避けるため幹部や大物著名議員が前面に出ることは避けつつ、私のような同僚議員が中心となって三日月応援を行っている。選挙活動の中心は、40年前の武村県政以来の草の根政治の伝統を受け継ぐ「チームしが」であり、個人演説会は前述のトリオに地元関係国会議員、地方議員等が弁士となっている。私も人手が足りなくなった時には、弁士に駆り出されている。私は、事務所で皆さんに迷惑をかけないように、応援に入ってくれた同僚議員をねぎらう役目を果たしている。7月10日の夜には一般の方々に電話かけもしてみたが、2時間80人で完全拒否は2人だけ、なかなかの好感触である。このままの好いムードが続いてくれたらと願っている。このあたりで安倍政権の暴走を止めないとならない——(篠原 孝 メールマガジン382号)

 篠原氏のような裏方に徹して、保守派や無党派層の票を掘り起こすことこそ、民主党再建の早道だという教訓がここにある。「脱原発派は国民の過半数だから、まとまれば勝てる」(都知事選後の菅直人、小沢一郎氏らの発言)などという安直な姿勢では、党勢回復は百年河清を俟つほかあるまい。

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◆勝敗を分けた安倍政権の解釈改憲批判とおごり
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 小鑓楽勝かと思われていた県知事選挙に衝撃が走ったのは、終盤に至っての新聞社などの全国世論調査だった。トップは7月3日の京都新聞一面の共同通信社の世論調査だった。共同通信の調査は、全国の地方紙にほぼ一面トップ記事で、「内閣支持率47%に下落 集団的自衛権反対54%」と報じた。さらに京都新聞は「知事選挙にも影響か」と報道した。続いて読売、朝日などの世論調査が発表された。7月6日の読売新聞は2面で報じたが見出しは小さい。「内閣支持5割切る ネガティブキャンペーンが影響」となっていた。各社の世論調査に共通していたのは「安倍内閣支持率4割台へ低下、不支持率3割台から4割(共同・読売)に上昇、自民党支持率変わらず、無党派層第一党」となったことである((注)3.安倍内閣支持率、政党支持率参照)。

●(注)3.内閣支持率と政党支持率の動向 いずれも014年7月調査
内閣:共同 支持する47・8 支持しない40・6 わからない無回答 11・6
   読売 支持する48・0 支持しない40・0 答えない10・0 その他3・0
   朝日 支持する44・0 支持しない33・0

政党:共同 自民37・5 民主7・8 共産5・3 維新3・9 公明3・9 みんな1・6 社民1・5 支持政党なし36・9
   読売 自民40・0 民主6・0 公明4・0 共産3・0 維新1・0 支持政党なし41・0
   朝日 自民45・0 民主4・0 共産2・0 維新1・0 社民1・0 支持政党なし46.0

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◆京都、読売、朝日の滋賀県知事選挙の調査結果
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 7月5日以降、京都、読売、朝日などが相次いで、滋賀県知事選挙の調査結果を発表した。京都と読売は伯仲だったが、朝日調査は「三日月やや先行」という結果だった。安倍内閣の集団自衛権閣議決定が、内閣の支持率を低下させ、同時に県知事選挙に影響を与えていることがはっきりした。さらに東京都議会や国会における自民党議員の女性議員に対する蔑視発言やヤジが大きく内外に報道された。安倍政権の独走とおごりに対する反発が急速に広がった。

 知事選挙に対する京都、読売、朝日三紙の調査結果に共通していたのは、優勢とみられた小鑓陣営に三日月陣営が追い上げていることがはっきりしたこと。私が注目したのは、無党派層の動向である。京都新聞社調査では無党派層の6割が三日月支持を表明。さらに嘉田由紀子知事の2期8年の県政については「評価する」が6割を占めた。投票先を決めている人で比べると、評価する人の6割近くが三日月候補を選ぶと回答した。読売の調査では、嘉田由紀子知事から後継指名を受けた三日月氏は無党派層の5割近くから支持を得ている。朝日の調査では、三日月は無党派層からも6割を超える支持を受け、小鑓氏は、推薦を受けた自民支持層からの支持が7割ほどにとどまり、無党派層からの支持は3割ほどだった。以上の調査結果から私は、無党派層の厚い支持によって、三日月当選の可能性が出てきたと分析した。選挙結果は僅差とはいえ無党派層の支持が勝敗を分けたことを証明している。

 いまや自民を上回る40%から46%に達する無党派層の影響力を無視して選挙の勝利はない。民主党政権誕生は無党派層の60%の支持によって可能となった。それを忘れて党利、党略だけでの権力争いとマニフェスト背反で、完全に無党派層からの支持を失った。今なお民主党支持率は、あらゆる調査で一ケタ台と低迷している。恥をかいたのは橋下大阪市長だ。自民党本部に媚びて、投票直前に小鑓候補を、県支部推薦から維新推薦に格上げした。支持率1%から3%と低迷する橋下維新は、憲法問題、沖縄問題ともに安倍晋三にすり寄る以外にないと判断したのだろう。維新票の59%(朝日出口調査)が三日月に流れたのは、維新支持者の橋下維新の現状に対する強烈なしっぺ返しだった。自民票21%(朝日出口調査)が三日月に投票した。自民党支持者もまた、安倍の性急な解釈改憲への突っ走りに危機感を持ち始めている証左であろう。

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◆滋賀に次いで沖縄で連敗の可能性と今後の展望
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 滋賀県知事選挙での自公維新の敗北は、年末に予定される沖縄県知事選挙に大きな影響を及ぼすことは確実だ。もし自民党本部の「絨毯爆撃」が成功していたなら、沖縄県知事選挙でも、も一度同様の手口で、あらゆる権力、利権を餌に攻め込んでいたであろう。だが、滋賀県知事選挙で、そういう手法が無党派層という最大の有権者を離反させたことを、どう分析するか。さらに内閣改造と役員改選を控えて、党役員の要となる石破幹事長のポストをどうするかなどの問題がある。石破氏は先頭に立った沖縄・滋賀両県知事選挙の敗北責任もある。彼の強引な中央からの押しつけ支援が、現地で拒否されてしまったという現実をどうみるか。

 また、県知事候補の筆頭に上がった仲井真弘多知事について、自民党本部が独自に調査した結果では、同じく自民党の翁長雄志那覇市長にかなりの差でリードされているということで、仲井真の擁立に自民党本部が難色を示したことも明らかとなっている。翁長那覇市長は一貫して、仲井真知事の選挙事務長を務めた実力者である。4年前の知事選挙でも、もともと普天間県内移設賛成の仲井真知事に活を入れて「当選をめざすなら、県外を明確にせよ」と迫ったことで知られる。しぶしぶ同意して知事再選を射止めたのである。翁長氏が保革を超えて辺野古県内移設に反対するオール沖縄最強の候補者であることは間違いない。
 沖縄の普天間基地県外移設運動は、保革を結集し、公明県本部もともに戦ってきた歴史がある。滋賀県知事選挙で敗北を喫した現在、公明県本部を県内移設に転換させる見通しはない。公明党本部も、滋賀の敗戦を受けて、なお強引に自公政権の枠組みを公明県本部に強制できるか。自民党内には早くも沖縄県知事選の敗北を見越して、当選確実な翁長氏に、自民党お得意の「抱き付き作戦」で事態の打開を図ろうという動きさえあるという。業界団体などを利用した強引な利権の押しつけと、札束でほほを引っぱたく選挙手法が逆に反感を買った。名護市長選、滋賀県知事選を落とした安倍政権が迎える沖縄県知事選は、日本と世界の目が集まる「天王山」ともいうべき意味を持っている。沖縄県知事選をめぐる状況については、次の機会に詳しくレポートしたい。

 (筆者は公害問題研究会代表)


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