ジャポニカ米の外国生産状況

■ 【運動資料】

ジャポニカ米の外国生産状況

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  TPP諸国で米を輸出している大国は、米国とベトナムです。ベトナムは年間
700万トンというタイにつぐ世界第2位のコメ輸出国です。
  米国はベトナムの半分の350万トンで第3位。このタイ、ベトナム、米国の
上位3カ国で、世界のコメ市場3000万トンの半分に達します。

 さて、これらの米輸出国は米に特化しているというわけでは必ずしもなく、米
国に典型ですが、そのときの市場相場をにらみながら作物をシフトし続けていま
す。コメに競合的な作物としては、デントコーン(飼料用トウモロコシ)、大豆、サ
トウキビ、綿花などです。ですから、コメの国際市場相場が上がれば、従来デン
トコーンを作っていたのがコメに切り替わるというわけです。

 今回MA米として輸入された豪州米は、2000年に18hを作っていたので
すが、干ばつが深刻になった2007年からコメを止めて縮小傾向にありました
が、近年になって2010年は10万hにまで回復してきています。

 一方米国はといえば、2010年だけで市場2位の作付け面積の146万hに
達し、玄米換算で800万トンを超え、わが国のコメ生産高とほぼ一緒です。
  しかも、米国のコメ生産は、さまざまな穀物との混在した地域で作られている
ために、コメの国際市場が上昇に転じれば、すぐにでもコメにシフトすることが
可能だと言われています。

 この米国における特殊事情とでもいえるのは、デントコーンとの関係です。コ
ーンが生産過剰となると政府が減反政策をするために急激な落ち込みを見せます。
特に1983年の減反時には激減しています。このようにコーンが生産過剰で減
反がかかると、コメにシフトしていく農家が増えるという仕組みになっているよ
うです。
 
現在はコーンは有力なバイオエネルギー源で増産が活発ですが、この上昇が停
滞に転じた時にはコメへの転換がみられることでしょう。またダークホースなの
はオセアニア諸国です。豪州、NZは潜在的に大きなコメ生産高を持っています。
豪州米の可能性は、松屋の牛丼用米として4月以降登場します。

 NZは干ばつに苦しむ豪州と違って豊富な水量を有しています。そして東南ア
ジアと違って寒冷な温帯地域に入ります。農業技術的にも高い水準を持っていま
す。つまり生産環境、生産技術、共にわが国のコメ市場を狙うことのできる位置
にあるということです。

 私はコメ市場開放に関してやや楽観にすぎたかもしれません。西友の「吉林米」
や松屋の業務用米は堤防のひと穴ですが、TPP以降はこの堤防全体がなくなる
わけです。このまま手をこまねいていれば、TPPと共に日本の稲作は一挙に押
し流される可能性が出てきました。整理すると、ジャポニカ種のコメ生産が現在
されている地域は以下です。

①中国・・・東北3省(黒龍江省、吉林省、遼寧省)や北京市・河北省の周辺。
  長江の河口周辺の省や雲南省など。生産量も精米換算で1000万トン超。生
  産余力あり。
②アメリカ・・・カリフォルニア、南部・アーカンソー州。800万トン超。生
  産余力あり。
③南米・・・ブラジル南部、ウルグアイ、アルゼンチン北部。生産余力不明。
④東南アジア諸国・・・タイ、ベトナムなど。生産余力あり。
⑤オセアニア諸国・・・オーストラリア、NZ。生産余力あり。

■西友が中国産のコメ販売へ  原発事故で国産米価格上昇を受けて
(産経新聞 3月8日)
  西友は8日、10日から中国産のコメを低価格帯の国産米より約3割安い5キロ
1299円で販売する、と発表した。首都圏と近郊の1都6県で10日から始
める。大手スーパーでの中国産米の販売は、深刻なコメ不足で緊急輸入した平成
5年以来とみられる。

 背景には、東京電力福島第1原子力発電所の事故の影響で国産米の取引価格が
上昇したことがあり、外食大手にも豪州産米などの導入の動きがある。輸入米の
販売動向は、政府が交渉参加を表明した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)
の議論にも影響しそうだ。

 商品名は「中国吉林米」。中国北部の吉林省産で、種類はジャポニカ種(うる
ち米短粒種)。玄米を輸入して、日本で精米し、首都圏と茨城、群馬、静岡の計
149店で売る。

 安全性について西友では「中国の倉庫と船積み時に、国の輸入制度に基づく残
留農薬などの検査を行っている」(幹部)と強調。「低価格米を求めるニーズに、
安心・安全なコメでこたえたい」としている。1.5キロ(449円)の少量販
売もする。

■松屋、豪州産米を試験導入へ    (日経新聞 2月12日)

 牛丼大手の松屋フーズはオーストラリア産のコメを使用する方針を固めた。商
社経由で豪州産玄米を調達、今春にも試験的に導入する見通し。すかいらーくも
輸入米を使用する検討に入った。大手外食チェーンが店舗で提供する白米はいず
れも国産だが、国産米の価格は東日本大震災後に高止まりしており、外食企業に
は収益圧迫要因。外食大手が使用に踏み切れば、割安な輸入米を求める動きが加
速しそうだ。

 政府は輸入米に高い関税率を課す代わりに、ミニマムアクセス(最低輸入量、
MA)を設けて海外からコメを77万トン輸入している。MA米を希望する企業
は入札で購入する。2011年度分の主食用(10万トン)については需要が旺
盛で完売した。松屋は使用する年間約2万トンのコメに対し、4000トン以上
の豪州産玄米(主食用)を確保するとみられる。これを自社工場で精米し、店舗
で「牛めし」などに使う。

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