編集後記116

【編集後記】

◎『日本のイスラエル化現象』という言葉を知つたのは数カ月前に何かの雑誌で読んだ寺島実郎日本総研理事長の論文であつたように思う。最初は何を意味するのかよく分からなかつたが、最近の安倍政権の行動様式を見ると納得できた。それは『アメリカとの軍事的同盟関係を背景に近隣諸国との関係悪化も構わず自国内だけで通用する論理を声高に叫び、安直なナショナリズムをかき立てて人気を高めるというものだ。しかし頼りのアメリカからは近隣諸国ともう少しうまくやれよと忠告される状況を指す』ものである。

日米関係を論じて名高いニューヨーク市立大学霍見芳浩教授はアベノミクスとオバマミクスの比較を聞かれて次のように応えたという。的を射ているので少し長いが紹介する。『国策であれ企業戦略であれ、まず作成者の品格や哲学、歴史観そして国際感覚と社会正義観を吟味しなくてはならない。残念ながら、オバマと安倍では品格が違いすぎる。アベノミクスは小泉・竹中改悪の再来で内容空疎。しかも、安倍日本は天皇主権。基本的人権は消えて対外侵略も可能。グロ−バル時代なのに世界はどう動いているかとの国際感覚と歴史感覚に裏打ちされた具体性がない』(NEW LEADER 8月号)

◎8月11日東京で「新外交イニシアチーブ」(ND)というNPOが米国からオリバー・ストーン監督をゲストに設立記念パーテーを開いた。この組織はワシントンで活躍する日本人女性弁護士猿田佐世さんが立ち上げたものである。彼女は自分の仕事を通して、戦後60年余にわたって、自民党がつくりあげた日米間の政治的パイプがあまりにも偏っていることに強い危機感を持ったのだ。その経緯は『日米関係に新しい外交を—求められる多様な回路—』(『世界』2013年6月号)に詳しく述べていて私も共感した。

日本の政治は『ワシントンシステム』ともいうべきものによって米国の強い影響下に置かれているが、この仕組みをジャパンハンドラーズと呼ばれるアーミテージ氏・グリーン氏などごく一握りの人々に任せていては日米双方の真意が歪められ、両国の針路を誤りかねない。新しいパイプを創り双方の意図を正しく伝え合うべきだと云うのが彼女の主張である。このNPO・NDというシンクタンクが順調に発展し真の日米友好関係樹立に貢献して貰いたいと思う。

◎中韓両国とは首脳会談すらもてず、価値観外交と称してもっぱら原発セールスに飛び歩くという「賤しい安倍外交」について、元神奈川県副知事久保孝雄氏に『アジアと世界に背を向ける安倍・日本』として論じて戴いた。安倍政権の勝利、民主党の全面的な敗北に終わった2013年参議院選挙を振り返ってリベラルグループの結集が望まれているが果たしてその可能性はあるのか。分立した野党はどう進むべきなのか。その課題を元朝日新聞政治部長・羽原清雅氏に『政局を「6年間体制」で考えよう』、若手評論家藤生健氏に『参院選2013の結果を見る』として総括して頂いた。

◎原発・エネルギー問題では前号で濱田幸生氏から脱原発と再生エネルギーの混同について鋭い指摘があったが、今号でも『電力自由化は、郵政、道路公団につぐ第三の構造改革だ〜ユニバーサル・サービスを安易に民営化してはならない〜』という提言を戴いたが、さらに三上治氏の【特別報告】『経産省の一角に脱原発テントは存続している』(3)とともに、【運動資料】として自然エネルギー財団の「固定価格買い取り制度一年の成果と課題」を載せた。私たちはこのデータを濱田氏の問題提起を踏まえて、深く考えたい。【投稿】には在日中国人の方から『「なんでだろう」と言える勇気』という寄稿があり、韓国からも金正勲さんからの便りがあった。今後ともオルタとしては日本語メデイアという制約はあるが、交流の場を広げるためにも外国人の方々からのご寄稿を積局的に歓迎したい。

◎【日誌】7月22日佛教に親しむ会・荒木重雄氏「佛教の世界観」。24日大原社研・資料整理・「佛教改革と社会運動・妹尾義郎の研究」・佛教大学大谷栄一准教授。26日浜谷淳氏会食。29日仲井富・初岡昌一郎・渡辺文学各氏と今泉清君の墓参。矢野君見舞い。30日藤生健君と会食。

8月2日プログレス研究会納涼会。6日世田谷美術館。7日久保孝雄・竹中一雄・岡田充・篠原令氏と昼食・中国問題懇談。8日〜11日信州。豊科近代美術館・碌山美術館。11日日本プレスセンター・NPO新外交イニシアチーブ設立記念パーテー・オリバー・ストーン講演。

                           (加藤宣幸? 記)

====================================
====================================
最新号トップ掲載号トップ直前のページへ戻るページのトップ>バックナンバー執筆者一覧