編集後記120

【編集後記】

◎2013年12月7日安倍政権は臨時国会で衆院約45時間、参院で約22時間という僅かな審議時間で、多くの国民が疑念を深め、強く反対する欠陥法案「特定秘密保護法」を強引に成立させた。安倍総理が尊敬してやまない祖父岸信介は1960年5月19日に国民の激しい反対を押し切り安保条約を強行可決した。しかし条約成立と引き換えに退陣に追い込まれる。それは国民が条約の内容にもまして、警官隊の導入など議会主義の手続きを無視した暴挙に民主主義体制破壊の危機を深く感じたからだ。ちなみに12月9日付け共同通信社の世論調査では「修正・廃止」の計が82.3%、「法律に不安を感じる」が70.8%で内閣支持率は10.3%急落し47.6%になった。安倍総理が1強に驕り民意を軽視すれば、やがて祖父と同じ道をたどり、まさに歴史は繰り返す。

◎戦前の悪法「治安維持法」と今回の「特定秘密保護法」を必ずしも同一視しないが法律を恣意的に運用する危険性は全く同じものである。私事になるが私の父は労働運動家で国会議員でもあった1937年12月に、治安維持法違反(いわゆる人民戦線事件)で372名の仲間と共に全国一斉に検挙され、1945年の敗戦で同法が廃止されるまで約2年の拘置所生活を含め約8年間、当局の監視下に置かれた。

反戦・反フアッショ活動の首魁として懲役3年という量刑の当非を別としても、問題は同時に検挙された372名の殆どが不起訴または無罪になったことだ。これは当局が労働運動家などを「不穏分子」として拘束・監視下に置き、この法律の存在によって国民を「委縮」させ、「自己規制」に追い込むのが目的で「人民戦線事件」とは「治安維持法」の完全な恣意的運用によるデッチ上げだったことを意味している。この悪法も制定時の国会では若槻礼次郎内務大臣が絶対に恣意的運用はないと断言していた。安倍首相の口約束など何の保証にもならないことを日本の歴史が示している。

◎今年11月22日はジヨン・F・ケネデイ大統領没後50年にあたり、世界中が人類を核戦争の危機から救った大統領の死を悼んだ。私たちが彼に格別の思いを寄せるのは、そのリベラル思考や決断力、そして悲劇的な死だけではない。最近明かされたように彼が自室にカメラや隠しマイクまで付け、政策決定過程のすべてを後世に残そうとした姿勢にある。これに比べ、沖縄返還密約の存在を米国と吉野元外務省アメリカ局長が認めても頑として否定する日本政府の公文書管理思想は目を覆うほど貧しい。そして、それを監視するマスコミの力も弱い。今号では「特定秘密保護法」にからむマスコミの在りようについて【マスコミ昨日今日】で批判した。

◎来年の中間選挙を前に成果を上げようとゴリ押しする米国に対し新興諸国が激しく抵抗し、日・米政府が目論む年内妥結は難しくなったが、TPPの脅威は無くなってはいない。生活クラブ生協(35万人)の活動家で『遺伝子組み換え食品の真実』(白水社刊)の訳者でもある生活クラブ・スピリッツ代表取締役白井和宏氏に「TPPが破壊する日本の食」(第1回 TPPへの序章)を論じていただき、濱田幸生氏には「地球温暖化」を検証するため、新たな視点から「不機嫌な太陽と揺らぐ温暖化人為説」として問題提起をして頂いた。
 
◎国民の多くは劣化の著しい日本のマスコミに苛立っているが、今月から【マスコミ昨日今日】という常設コラム欄を設けた。この執筆者は大新聞のデスクも勤めたベテランだが、何にも捉われずに健筆を振って頂くため匿名でお願いした。さらに【自由へのひろば】欄を常設し、読者からの投稿を編集部が随時選択し掲載するようにした。(応募詳細は編集部に問い合わせ)

◎【日誌】11月22日ソシアルアジア研究会・『中国の市民社会とNPO―市民社会のエンパワーメントのヒントを求めて―』・駒澤大学教授・日中市民社会ネットワーク代表・李妍焱(リ・ヤンヤン)・http://csnet.asia 。23日芸大美術館・法隆寺展。・27日中国事情懇談・篠原令。・28日運動史研究会・浜谷淳・山口希望。・30日東アジア問題研究懇談・南雲智大妻女子大教授・趙方任助教授・荒木重雄元桜美林大学教授。

12月2日岩波ホール『ハンナ・アーレント』。4日新外交イニシアチーブ・『ワシントンに声を届けてー対米ロビーイングを語るー』・山岡清二元共同通信記者。6日ソシアルアジア研究会・『日本・韓国経済と教育の現状』・重松清文NPOサポート品川顧問。7日谷中・瑞輪寺・加藤シズエ13回忌法要。9日大津・社会党青年部OB会。10日大阪・西村徹・荒木傳・木村寛氏懇談・。12日午後・仏教に親しむ会。・夜・不安定研究会勉強会・岡田充他。16日学士会館・田中良太・荒木重雄懇談。17日参議院議員会館・運動史研究・浜谷淳・山口希望。19日新宿・岩根サロン。

◎2013年の年末にあたり、メールマガジン「オルタ」に御力添えを戴いた執筆者・読者各位に心からお礼を申し上げます。今年はホームページの改良・動画の配信などを試みましたが、来年は創刊10年になりますので一層の充実を目指したいと思います。
皆様良いお年を

                           (加藤宣幸 記)

■【今月のオルタ動画案内】
  YouTube配信 http://www.youtube.com/user/altermagazine

『TPPで日本はどうなる。』  篠原 孝 衆議院議員
佛教講座:『釈尊の教え』    荒木重雄 元桜美林大学教授


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