編集後記132

【編集後記】

加藤 宣幸


◎12月14日の衆院選の開票結果は安倍首相の思惑通りになり、多くの国民はシラケた。彼はアべノミックスの先行きが怪しくなる前の解散を狙い、しかも沖縄知事選敗北ショックを隠す必要もあった。国民はまさにしてやられたのだから低投票率もやむを得まい。オルタの編集企画も総選挙は想定外だった。急遽ベテラン記者OBの羽原清雅氏に『衆院選結果は何をもたらすか』として緊急に論じて戴いた。

◎12月11日沖縄・読谷村からきた河野道夫氏とオルタ仲間の竹中・羽原・荒木・浜谷氏らとともに昼食会をもった。河野氏はウチナンチュではなくヤマトンチュだ。私は1968年頃まで日本社会党本部にいて彼は入れ替わるように入ったので初対面だ。政策審議会事務局長から村山総理秘書官をつとめたというからもの静かな政策マンのタイプを連想したが、社会党を退職後スコットランドに留学し、修士を取得した理論家だが、感ずることがあって沖縄に移住した行動派で情熱家だ。

彼は今月号のオルタに、翁長新知事誕生後の沖縄情勢について『世直しを志した者の再挑戦―「誇りある豊かさ」をオール日本でー』を寄稿してくれた。当日の懇談で彼が強く訴えたのは、『本土の人たちが、沖縄知事選の勝利に学んで、従来の「革新」や「護憲」勢力という枠組みから抜け出し、新たな大枠として「誇りある豊かさ」を求めて共に進んで欲しい』。『沖縄の闘いはオール沖縄で勝ち取った新知事を先頭に始まったばかりだ、本土の人たちもオール日本で翁長新知事を護って欲しい』という2点だった。

私たちが琉球の歴史を学ぶ時、彼らが清国・薩摩にいかに向き合ったか、日本やアメリカが沖縄で何をしたのかがよくわかる。読谷村に住むヤマトンチュ河野は『3・11のあと多くの人が東北に向かったように、本土のヤマトンチュが一人でも多く観光にてもよいから沖縄に来て、街のど真ん中にある広大な普天間基地を肌に感じ、そして名護の美しい海を護ろうとする人々と連帯して欲しい』。と訴えた。

◎今月は沖縄に焦点をあてたのだが熱い思いを込めて多くの方が参加して下さった。桜井国俊沖縄大学前学長は『名護市長選・沖縄県知事選・衆院選の勝利の先を見すえて』。長元朝浩沖縄タイムス専任論説委員が『「政府・沖縄関係」重大局面に』。猿田佐世新外交イニシアチーブ事務局長・巌谷陽次郎次長も『これからの沖縄外交を考える』。選挙分析専門家の仲井富氏からは『無党派層の動向から県知事選と国政選を考える』をそれぞれ寄稿して戴いた。さらに特筆したいのは【沖縄・侃々諤々】に沖縄現地の人々が主となって安藤博・新垣毅・平良長政・富田英司・毛利孝雄・仲西美佐子・新里春子・前泊美紀・三上治・羽原清雅の諸氏が素晴らしいコメントを寄せられたことで、これはオルタが運動の要を担った思いがする嬉しい一瞬だ。

【書評】『日本人移民はこうして「カナダ人」になった』は昭和初期の日本が厳しい労働条件の森林伐採労働者を移民として送り出す国家であったこと、そして移民たちが現地で差別と闘いながらも生き抜いたことなどを知る人は少ない。
今の日本はオリンピックを控えて外国人労働者の問題を論ずるが技能実習生などという誤魔化しでなく、労働条件を護る正規の移民としてて受け入れるべきなのだ。この本の評者は全統一労組委員長で『移住労働者と連帯する全国ネットワーク』代表として日夜格闘しているのだから説得力を持つ。もう一冊の『虚像の抑止力』の評者は気鋭の研究者だが書評文は、この本の運動に占める位置に相応しく『これからの沖縄外交を考える』の中に組み入れた。

【オルタのこだま】には軽妙な筆致で例月いただいいている豊間根評のほかに、読後感がなんと中国・吉林省の町田さんから送られてきた。グーグルの読者分析によるとアメリカ・中国・タイ・フランスなどを始め世界中にオルタの読者がいるのには改めて驚く。【オルタのネットワーク】を新設したのは社会を良くしようと素晴らしい活動をしている多くのWEBメデイアのサイトをオルタの読者に紹介し、一人でも多くの方に広めて戴こうとオルタがポータルサイトの役割を果たしたいためだ。それぞれの活動は小さくてもネットのアライアンスを組むことで、大きな運動の輪を創りたい。オルタがその一翼を担えればどんなに嬉しいことだろうか。今月の「WANネット」は著名な社会学者上野千鶴子氏を中心とするもので親しみ易く、そして明戸氏が構築された反レイシズムのサイトも見事なものだ。是非とも訪れて欲しい。そして「心をひとつ」に前に進みたい。

【自由へのひろば】には創刊期からの読者で姫路の三木さんから『「軍師官兵衛」を地方史から読み解く』という異色の研究が寄せられた。話題性もありオルタの幅がまた一歩広がったことになる。

【日誌】11月21日ソシアルアジア研究会・中国の労使関係・山田陽一。22日トークセッション『市民社会を強くする』・メデイアの役割・大河原雅子・津田大介・明珍美紀。28日日韓社会文化シンポ・「日本社会の構造的変化と日韓関係」・徐正根・柳赫秀・加藤典洋・木宮正史・張仁成・金鳳珍・鈴木邦男・南相九。30日「日韓関係の過去・現在・未来」シンポ・各紙(元)ソウル特派員・支局長に聞く・箱田哲也(朝日)ペグギン(東亜日報・東京)安男芳典(共同)・五味洋治(東京)。12月3日・北東アジア動態研究会・「中国から見た日中首脳会談と今後の日中関係」・庚欣・木村和重。3日新外交イニシアチ-ブ(NDの会)・「戦後レジュームからの脱却と日本外交」・山口二郎・東郷和彦・マイク・モチズキ・猿田佐世。5日ソシアルアジア研究会・「日米協会100年の歩み」・川嶋瑠美。8日仏教に親しむ会・荒木重雄・竹中・浜谷。10日矢野凱也・山田高・会食。11日沖縄・河野道夫囲む会・竹中・羽原・荒木・浜谷。11日岩根邦雄・会食会。18日シルクロード研究会・「古代における中国と中央アジアの考古学的関係」・加藤九柞。20日梁・初岡・藤沢・山中懇談・会食。
                (加藤宣幸 記)

【今月の動画】  仏教に親しむシリーズ;真言宗    荒木重雄


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