葉山町長選挙

■【北から南から】

葉山町長選挙について        力石 定一

───────────────────────────────────
(A)下水処理場の設置場所をめぐって
  今、私の住む逗子市の隣り町、葉山町では下水処理場の設置場所をめぐって
町長選が激しく戦われている。私は山の上に立地させる計画はコストが高くつ
くという意見に反対で葉山町の西海岸の自然美を壊さないためにも大きな海浜
処理場は造るべきではないと考える。

その理由は
第一に御用邸と並存する水辺にはこれを避けるのが奥ゆかしいという
町民の心に沿っている。
第二に三浦半島西海岸全域の自然美を回復するという地域計画が県民の願い
である。昨年末、隣接する逗子市議会が決定した30年の基本計画には「国道
134号線を海面下のトンネルに移して、海岸線を自動車交通から取り戻し、
住宅地を自然の海に直結させよう」という方針がうたわれているが、これは
葉山町民の心とも響き合っている。

第三に海岸線でつづく逗子市はこれを実施することによって、鎌倉の由比ヶ
浜も自動車交通を同様に処理することを誘い出そうと考え、さらには藤沢市を
誘って、大船地域の混雑した現状を三浦半島西海岸入り口にふさわしい美しさ
に戻す計画を展望する時代に入っている。
というものである。              


(B)下水道事業について


下水道事業について候補者の一人森氏はビラで、

I)、葉山町で今後5年間に整備される区域は350haで、その後の9年間
(平成32年度で)に270haの整備を予定しており、果たしてどれだけの
事業費になるのか気が遠くなるばかりで、これまで守屋町長は、中長期
の全体計画を明確にしてこなかった。

II)、見直し案として、1・東伏見台パークド葉山四季等のコミプラを継続し
て活用、2.イトーピアの旧コミプラを葉桜の分を合流して復活させる。3.
上山口、木古庭地域は戸別の合併処理浄化槽とする(補助金助成で
導入を図る)。4.以上の政策転換で汚水処理量を減らすため平成20、
21年で計画している処理場増設8.7億円は不要。

以上のように書いていますが私は次のように考えます。

I)については、数字が混乱しています。
  葉山の市街化区域の面積Aは513haであり、そのうち町の公共下水道の
配管がカバーしている面積Bは246haです。
   A-B=513ha-246ha=267ha
が未着工の市街化区域の面積Cです。
  東伏見台パークド葉山四季の三つのコミプラ地域27haは、定義的にCに
含まれますが、配管は完全に出来ていますし、処理場は町が管理していま
すから、準公共下水道です。イトーピア、葉桜についてはBに含まれます。

 市街化区域で整備しなければならないのは267ha-27ha=
240haです。森氏は、350ha+270ha=620haという「気が遠くなるばかり」
の事業が予想されるように云っていますが、市街化区域にそんなエリアは
ありません。620haという数字で示されるエリアは、葉山の市街化調整区域
Dの622haです。
                    
  森氏はDの数字をAとゴッチャにしているのではないでしょうか。Dでは、
一部の固まった集落をのぞいて合併処理槽の適用問題であることは、森氏
も触れている通りです。

IIは、経験から得られた下水道計画の最適性を無視しています
  市街化区域の240haに配管を敷設し、これの汚水を裏山の中腹の横穴の
処理場に送って処理するに当たって、能力の増設が必要になることが予
定されています。この能力増加は、27haから発生する汚水を処理するコ
ミプラで代替できるかのように森氏は書いていますが、これは数字的に
とても無理な話でしょう。
  それに、都市計画の一種住居専用の用途地域の住宅街のなかに活性汚
泥法の化学工場の立地を住民が認め続けることができると考えるのも非
現実的です。

 日本社会の経験では、流域下水道計画ではスケールデメリットのみ大
きくて、自治体ごとの公共下水道計画が適当であること、反対に各個浄
化槽やコミプラは公共下水道計画に吸収されるのが適当であること、市
街化調整区域に孤立分散した居住については、公共下水道計画はスケール
デメリットですから、合併浄化槽が適当という常識が定着しています。
  この常識からハズレた構想は、やはりどこかで現実から修正を求められ
ることになります。
  葉山では、公共下水道計画についてコミプラの多元的温存でいいのでは
ないかという論議が長い間かわされた歴史がありました。この歴史問題の
影が今も尾を引いています。
  逗子において、公共下水道計画は、たくさんのコミプラを吸収し、統合
するプロセスがスムーズに行われました。

           (筆者は法政大学名誉教授)

                                                    目次へ