~福島県に長期後障害支援体制を作れ!~

■農業は死の床か再生のときか               濱田 幸生

放射能の雲の下に生きる~福島県に長期後障害支援体制を作れ!~

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◆母親の皆さん、
国にしっかりとした放射能後障害に対する長期的計測と医療処置を
取るように要請してください!
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 まだ若かった時に、「黒い雨」という今村昌平の映画を見たことがあります。
亡くなられた田中好子さんが演じる矢須子が、空から降り注ぐ黒い雨に打たれる
所から悲劇は始まります。黒い雨に打たれた村人の野辺送りが絶えません。そし
て彼女の豊かだった黒髪は抜け落ち、やがて彼女は原爆症だと分かります。そし
て結婚差別。

 私は見ていませんが、今村監督は巻末に原作にない19分のシーンをつけ加え
たそうです。矢須子は死なずに、40数年後、四国を巡礼しているシーンだそう
です。このシーンを今村監督は悩んだ末にカットしました。そしてオリジナルバ
ージョンでは、矢須子がトラックに乗せられて去るのを見送る、という死を予感
させる場面だっただけに、救いを感じます。

 さて、広島においてもっとも強い放射線量にさらされたのは、実は爆心地では
ありませんでした。原爆は広島市の頭上600mで炸裂し、巨大な火球になり、
上昇気流を発生させながら、核爆弾の中にあった核物質の10%が核分裂を起こ
し、90%は高度1万メートルの大気圏外に達しました。この10%の高エネル
ギー放射性物質が広島市に注いだのです。光線と爆風、高熱により一瞬にして燃
え上がった民家が、黒い煤煙となって風下の北北西方向に流れていきます。これ
が黒い雨の正体です。

 爆心地では一瞬にして大量の人々が命を奪われました。遺体すら消滅してしま
った方が大勢います。そのときの放射線量はガンマ線で100シーベルト(10
万ミリシーベルト)、中性子線で140シーベルト(14万ミリシーベルト)に
も達します。そして爆心地から離れるにしたがって放射線量は下がり500m地
点でガンマ線28シーベルト(2.8万ミリシーベルト)中性子線で31.5シ
ーベルト(3.15万ミリシーベルト)になっています。

 この数値は直後に計測できるはずがありませんので、推定数値ですが、おおよ
そ200mについて被爆量は半分になっていきます。しかし、問題はもっと別に
もありました。それは爆心地より、黒い雨が降った地域のほうが高い残留数値を
出していたことです。

 爆心地の残留放射線量は、意外にも、黒い雨降下地域のほうが多いのです。も
っとも多い放射性物質の残留が見つかったのは、爆心地ではない場所でした。そ
れは爆心地の約10倍にも登りました。原爆内のウラン235の半減期は2億年
ですが、この多くは爆発直後に成層圏外に飛ばされてしまい、1970年代の測
定では核分裂しきっていない濃縮ウランの形で微量発見されたにとどまりました。

 この風下周辺地域と、投下の翌日から救助のために市に入った人々、そして家
族を捜索に入った人々の「入市者」の中から大量の被爆者が生まれました。これ
が映画「黒い雨」の主人公の女性のような人々です。この被爆者のデータは詳細
に取られています。発ガンに関しては10年後から乳ガン、胃ガン、大腸ガン、
肺ガンを患う人が増えました。白血病は2年後から増え始め、子供の発症は大人
の2倍になりました。また白血病は、5年から6年で減少に転じて、20年たつ
と日本人平均にまで落ち着いています。

 1990年の放射線影響研究所の調査結果によれば、後障害により白血病によ
る死亡者数は0.18%、固形ガン死亡率は0.68%とされています。 
http://www.jichiro.gr.jp/jichiken/report/rep_gunma30/jichiken/4/24.htm

 この被爆者を襲った放射線量は100ミリシーベルトと推定されました。この
100ミリシーベルトを境にして一挙に発ガンリスクが高まるという経験値はこ
の広島の被爆者の疫学調査から生まれています。これが今にも残るICRP(国
際放射線防護委員会)の100ミリシーベルト閾値です。

 これは学者の学説から生まれたのではなく、多くの尊い被爆者の生命で贖った
ものだということを日本人は忘れるべきではありません。またこの被爆者の疫学
調査では2万5千人の被爆2世の調査も行われました。この結果、遺伝的影響は
ないという結論が出ました。もちろん、よく言われるように「黒い雨」の主人公
がそうであったように被爆者差別は根強く、結婚を拒否されるという例が多くあ
ったのも、残念ながら事実です。

 日本の広島・長崎に対する事後対応には学ぶべきものを多く含んでいる思って
います。その最大のものは「被爆者手帳」です。被爆国としてわが国は戦後復興
期という、現在と比較にならない困難な状況下で、30万人を超える被爆者を救
援しました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A2%AB%E7%88%86%E8%80%85%E5%81%A5%E5%BA%
B7%E6%89%8B%E5%B8%B3

 「被爆手帳」は正式には被爆健康手帳でこのような人たちに交付されました。
・原爆投下時に広島・長崎の両市とその隣接する地域で直接被爆した人
・投下から2週間以内に爆心地から2キロ圏内に立ち入った人(入市被爆者)
・被爆者の胎児

 この被爆手帳によって得られる国家支援は以下です。

 「医療特別手当・特別手当・原子爆弾小頭症手当・健康管理手当・保険手当・
介護手当(費用介護手当・家族介護手当・葬祭料などの手当。
  また、指定医療機関・一般疾病医療機関での治療について、本手帳などを提示
することで全額国費で、あるいは自己負担分を負担しないで受けることが出来る。
また、なんらかの理由で手帳を提示しなかった場合についても、後日都道府県知
事に払い戻しを請求することが出来る。」(Wikipediaより)

 つまり、放射能の後障害はもちろん、一般病まで含めて被爆者は原則無料で受
診することができます。この被爆手帳により22万人(2010年現在)、最大
時で37万人(昭和55年度)が医療サービスを受けました。

 これは、直接被爆者のみならず、比較的低い被爆量、今風に言えば「低線量内
部被爆」の人々も対象としているために、多くの後障害(晩発性障害)に怯える
人々を救済しました。そして広島・長崎の放射能禍がいかなる被害を人体に対し
てもたらすのかの膨大な疫学データがここから生まれました。

 米軍調査団のように冷厳にデータ採取しただけではなく、治療しつつ、その後
40年以上にわたって付き添いながら測定していったのです。この膨大な臨床記
録が、広島・長崎の疫学データです。これを無視して放射能災害を語ることは許
されない存在です。

 そして原爆投下から65年。広島市の平均寿命は全国一の86.3歳(女性)
の地位を誇っています。素晴らしいことです。現在、わが国で早急に求められて
いるのは単なる補償金ではありません。それすらするそぶりも見せない冷酷非情
な政府ですが、忘れてはならないのが被爆者に対する手厚い事後処置です。定期
的な測定と医療体制、カウンセリングなどが、ただ今直ちに必要です。そのため
に必要な「福島第1原発事故被爆者支援援護法」を作らねばなりません。

 いま、政界は被曝した人々をおきざりにして増税と政局にうつつを抜かしてい
ます。まさしく為政者の責任放棄です。しかも広島・長崎と違って、福島第1原
発事故は人為的事故です。 東電は私企業として会社を潰してでもこれらの人々
を救済しなさい! 国は被爆救援法を制定しなさい!
  福島の皆さん、特に母親の皆さん、放射能に怯える気持ちは痛いように分かり
ます。私も茨城で「被曝」しました。

 私と家族は被曝者手帳をもらう資格があります。ですからあえて言わして下さ
い。避難だけを主張するだけではほんとうの解決になるでしょうか。チェルノブ
イリでは数万の避難者が出ましたが、その避難自体によって多くの障害が発生し
ています。

 特に、避難した地域になじめないことによるストレス障害、失業など、避難は
必ずしも最良の選択とは言えません。国にしっかりとした後障害に対する長期的
計測と医療処置を取るように要請してください。家族を守るのは母親しかいない
のですから!

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◆広島、長崎にみる長期的影響
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●遺伝子や染色体に対する影響

 前回載せた被曝疫学調査40年間の資料によれば「性染色体異常」、「平衡型
染色体再配列」など、いわゆる奇形に関する統計データには有意な差は認められ
ていません。 このデータは、責任ある現地大学医学部研究機関による、実に
20万人以上の、しかも40年間という被曝者の半生にも渡る追跡調査です。統
計母集団の多さと長期間にわたるこのデータ解析の信憑性は極めて高いと思います。

 この広島・長崎の被曝者に対する40年間の調査の結果、以下のような放射能
の影響があることがわかっています。 障害は被曝後数週間で発生する急性障害
と、数か月から数10年の潜伏期間をへて発症する後障害(晩発障害)に分けら
れます。これは受けた放射線量によります。

・250ミリシーベルトを短時間に受けた場合・・・・早期に影響が出る
・250ミリシーベルト以下・・・臨床症状が出ないが後障害に注意を要する
・500ミリシーベルト・・・・・リンパ球の一時的減少
・100ミリシーベルト・・・・・吐き気、倦怠感、リンパ球の激減
・1500ミリシーベルト・・・・半数の人が放射線宿酔(頭痛、吐き気など)
・2000ミリシーベルト・・・・長期的なは血球の減少(白血病)
・3000ミリシーベルト・・・・一時的な脱毛
・4000ミリシーベルト・・・・30日以内に半数の人が死亡
(「放射能と人体」1999年による)

 広島・長崎では500ミリシーベルト以上被曝した場合、その線量によってガ
ン発生率が増大することがわかっています。つまり、1時間に年間許容限度の放
射能を浴びてしまうと、人体はDNA損傷を修復できなくなってしまいます。そ
れがガンなどの原因になる可能性があります。

●安全か危険かを問う前にしてほしいこと

 さて、私が福島住民の被曝に関して、安全か、危険かと問う前に確認していた
だきたいことがあります。

①どこで、どのような状況で被曝したのか。そのときの空間線量の値を知るこ 
と。 室内なのか、屋外なのか。
②被曝期間の長さ。数時間なのか、それ以上なのか。
③妊娠していたのか、していなかったのか。乳児はいたか、いないか。
  成長期の子供はいたのか、いなかったのか。
④安定ヨウ素剤を飲んだか、飲まないか。
⑤被曝直後なにを食べたのか。
⑥ホールボディカウンタで診断を受けたか、受けないか。

 これらの住民の状況を把握することは体系的にやらねばならず、現在県外に避
難している人々も含めて最低でも浜通地域のすべての住民を対象にして、国家が
責任をもって行うべきです。

●放射能によって奇形がでるという説があるが

 放射線によって奇形異常があるという説も承知していますが、それの多くはそ
の科学者の知見、要するに意見です。たとえば低線量被爆についてはECRR
(ヨーロッパ放射線リスク委員会)のバズビー氏がチェルノブイリ以降にスウエ
ーデンで数万規模の発ガンがあったと唱えていますが、疫学データの裏付けに疑
惑が持たれており、国連科学者委員会(UNECEAR)では採用されていませ
ん。

 知見の発表は尊重されねばなりませんが、疫学的データに基づかないものは仮
説の域を出ません。
  しかし残念ながら現在仮説を百倍膨らました妄想のような意図的差別言辞がネ
ットを中心に多く流されて福島の人々を苦しめています。許しがたいことです。
  これらの愚劣な言辞は、福島の人々を差別し、結婚差別や児童差別を生み出す
だけではなく、今後の福島の人々のあるべき健康管理を妨害しています。この人
たちがよく使う表現でいえば、かれらこそ真の「東電の手先」です。

●α線とγ線では、人体(染色体など)に対する影響が違うのではないか

 私は専門外ですが、α線であろうともβ線であろうとも、飛ぶ距離や、透過す
る厚みなどの違いはあっても、いかなる放射線の種類であろうとも人体に対して
の影響は出ると思われます。核種による放射線の種類は欄外資料をご覧ください。
 
セシウムはベータ線・ガンマ線ですが、同じ放射線の仲間には私たちが体内に
大量に蓄え込んでいる自然放射性物質のカリウム40などもあります。

 横浜で発見されて大騒ぎになったストロンチウム90は(原因は米ソの核実験
野残留物質でしたが)、人体が取り込むと骨に蓄積し障害をおこすベータ線で
す。 あるいは、原爆で大量に放出される中性子線は人体を透過しますが、確実
に生命体を殺します。 決定的なことは言いかねますが、放射線の種類は、人体
に対する影響に関係ないのではないでしょうか。

 放射線はその量と時間によって、大量に一時期に被曝すれば活性酸素を発生さ
せてDNAに損傷を与えます。このDNA損傷に対して修復が間に合わない場
合、ガンを発生させます。少量の放射線は日常的な人体のDNA修復作業の中で
解消されるとされています。

 なお、低線量被曝についての異説は存在します。といいますか、今や異説のほ
うが社会的に影響力をもっているようですが、とりあえずこれが放射線防護学界
の国際的な共通知見だと思って下さい。ということで、このメカニズムは放射線
の種類によるものとは無関係だと思います。

●内部被曝と外部被曝の違い

 外部被曝と内部被曝の差は、おそらく影響と起きるタイミング、時期の違いで
はないでしょうか。内部被曝は食料、呼吸によって臓器内部に侵入しますから、
晩発性です。一方、外部被曝してしまうような条件は、空間線量が多いというこ
とですから事故初期に限られます。外部被曝は屋内に退避したり、それなりの防
護措置をすれば防ぐことができます。

 たとえば、昨年の3月から4月の一定の時期までは外部被曝に警戒が必要でし
た。しかし、今は避難地域を除いては、焦点は内部被曝という関節的なものに変
化してきています。内部被曝は食べないわけにはいかない食料や水を介します。
これについて結論的なことは控えますが、私は現時点では発ガン、あるいは奇形
を発生させることはないのではないかと思っています。

 それは放射能の影響を受けやすい細胞分裂が盛んな器官である、腸管、造血器
官、生殖腺、皮膚であるために、逆にいえば排出も早いことになります。また成
長過程の乳児や子供は警戒を要するのですが、これも比較的早く体外に排出され
てしまうことが知られています。これを生物学的半減期といいます。放射性物質
はセシウム136が半減期30年間などとよくいわれますが、現実には生体内か
ら排出されてしまうので身体の中で30年間あるわけではありません。

セシウムの生物学的半減期
・乳児の排出までの期間・・・9日間
・9歳児で・・・・・・・・38日間
・30歳で・・・・・・・・70日間
・50歳で・・・・・・・・90日間

 週刊誌に福島の子供たちの尿からセシウムが出たと大騒ぎしていましたが、あ
たりまえです。正常な人体の放射能防御だというだけの話です。週刊誌は他人の
不幸が嬉しいようです。

 ただし、呼吸器系は腸管などより排出はむずかしいようです。また微量の低線
量放射性物質が各種臓器に蓄積された場合、長期間のうちになんらかの影響が出
る可能性は否定しきれません。「福島でガン患者が40万人でる」などというE
CRRの発言は悪質な妄想の類だと思いますが、性周期の乱れ、呼吸器系の障
害、強い心理的ストレスなどは既に福島県の女性から多く寄せられています。

 何度も言いますが、国は責任をもって福島県の人々、特に子供と女性の健康管
理を徹底する必要があります。国は福島県浜通リを中心として県民の医療無料化
に踏み切るべきです。

●福島の住民の内部被曝線量の疫学データはあるのか

 不完全ですがあります。まだ測定の過程で1万人ていどの住民しか終了してい
ませんが、徐々になされてきています。非常に遅い! もう1年ちかくたってい
るのですから第1次測定は終了してもいいはずなのに。無能政府の不作為と言わ
れても仕方がありません。それはさておき、9月末までの福島県の住民4463
名の疫学データによれば、この内部被爆量は以下です。

・最大数値であった3ミリシーベルト・・・2人
・2ミリシーベルト・・・・・・・・・・・8人
・1ミリシーベルト以下・・・・・・4447人

 セシウムが、女性の卵巣に影響を与えるとすれば、650ミリシーベルト以上
の被曝線量が必要です。それがチェルノブイリでのラインでした。仮にセシウム
が全身均等被曝することなく、卵巣にのみ蓄積されたとしても、福島の最大内部
被爆量3ミリシーベルトは、チェルノブイリの750ミリシーベルトの、250
分の1でしかありません。ただし、繰り返しますが、これに関しては疫学データ
が圧倒的に不足していますので、結論的なことは言う段階ではありません。すこ
しでも早い住民の測定を願います。

●広島・長崎と福島とは違うのではないか

 原爆と原発事故は同じ性格の部分と違う性格の部分があります。
  ひとつは、原爆と原発事故で出る核種に違いがあることです。原爆は爆発的に
高エネルギーのγ線、α線、中性子線を出します。核種としてはプルトニウム、
ウラン、ストロンチウムなどです。1970年代に広島大学原爆放射線医学研究
所が広島市の土壌残留放射能測定をしましたが、結果はセシウム137はほとん
ど検出されず、濃縮ウランが検出されました。

 原爆はほとんどセシウムを出さずに、ウラン、プルトニウム、ストロンチウム
などを放出します。ですから、小出裕章先生が「広島で落とされた原爆140発
分が福島に放出された」という発言は、この広島大学の測定を知らないか、意図
的に無視した発言です。 もっとも小出先生の専門は原子炉であって、放射線防
護学ではありませんが。

 一方、福島第1原発事故においては、事故直後に放射性ヨウ素131が大量に
放出され、その後にはセシウム134、136が9割以上を占めています。スト
ロンチウム90やプルトニウムはごく微量が原発近辺で見つかったのみです。こ
のような核種の違いはありますが、どう考えてもプルトニウムや濃縮ウランとセ
シウムを同列に並べるわけにはいかないでしょう。言うまでもなく前者のほうが
数百倍凶悪です。

 次に広島・長崎と福島の共通点ですが、投下直後に亡くなった方を除いて、大
部分の方はいわゆる「入市者」という被爆直後に救援のために市に戻った人たち
家族、知人の安否を求めて帰った人々、そして映画にもあった「黒い雨」という
煤煙を含んだプルーム(放射能雲)からの雨を浴びた2キロ圏内の人々です。こ
の方々を中心にして40数年間データ採取されています。

 それが昨日に掲載した疫学調査結果です。これらの人々は誘導放射能(*原爆
から出た放射能が土壌に当たってはねかえて出る放射線)やフォールアウト(*
放射性降下)によって被爆しました。

 その数は、被爆直後に亡くなった人々より多い37万2千人(昭和55年度)
にも及びます。広島・長崎と福島と安易に同列に扱うことは憚られますが、しか
し初期における劇症の外部被爆を除けば、あるていどの時間がたった後の土壌や
食品、水などを介しての間接的な内部被爆という構図は一緒だと思います。いや
広島・長崎のほうが福島よりはるかに大きな放射線量を日常的に浴びていたり、
吸収していたのではないでしょうか。

●広島の再生は福島より早かったのか

 比較にならないほど速く広島のほうが福島より早期に復興しています。投下か
ら2か月たった広島市内には相当量の放射線が残留していたと思われます。当時
の土壌放射線量のデータが見つかりませんが、現在の避難地域以上の線量であっ
たことは確かです。 しかしその広島に、その年の10月には人が戻り始め、翌
年春には交通などのインフラが復旧しています。なんという再生と復興の力で
しょうか!

 広島市の女性、男性の平均寿命はともに、一目でお分かりのように、全国平均
を上回っています。三大疾病、つまりガン、心筋梗塞も全国平均より下です。そ
して広島市の病床数、病院従事者数は全国を上回っています。広島市の平均寿命
は女性で全国一です。日本一ということは世界一ということです。世界一の長寿
の県、これが「60年間草木も生えない」と言わしめた広島の現在の姿です。

 これは、決して一部のアメリカ人がいうようなホルミシス効果などというもの
のためではなく、被爆後の日本政府がとった長期健康支援システムが正しかった
ことによります。この核心となったのが被爆者手帳の存在です。

         (筆者は茨城県・行方市在住・農業者)

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