■北の便り
「日本一の動物園」? 旭山動物園 南 忠男
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自称「徘徊老人会会長」こと仲井富さんから來旭の連絡を受けたのは2日前のこと、今度はどこを案内しょうかと思案の結果旭山動物園が第一候補となった。
目下の旭川市政は黒い霧の中。私たち旭川市民にとって自慢できる希望の星は旭山動物園しかない。04年度の入園者数は東京の上野動物園・名古屋の東山動物園に次いで、全国第3位の145万人。動物の生態を自然に近い姿でみてもらう「ペンギン館」「ほっきょくぐま館」「あざらし館」などに人気があつまっている。
という私も人ごみが嫌いなので、マスコミでさわがれはじめてから同園を訪れていない。
遠来の客をダシにして誘ったが、さすが自然派のトミさん、「動物を檻に入れて見せるなんて、俺の性に合わんので断る。それより植物園を案内せよ」とのこと。
旭川には植物園と銘打ったものは聞いたことがない。とりあえず、三浦綾子の「氷点」の舞台となった見本林(正確には「外国樹種見本林」)へ案内したが、トミさんの指す植物園とは「北方野草園」のことであるとわかったのは後日の話。
旭山動物園の案内を断られた私、旭川市民の一人としてははなはだ残念だったが、この種の話は十数日後にもあった。7月2・3日に開催された「第15回旭川大雪ツーデイオーク」でのできごと。このイベントは日本ウオーキング協会公認のもと全国から約450人が参加し、1日6~30k歩く行事。私も初めて参加し2日で60k完歩した。
そして、翌日は「せっかくオーク」と称して恒例の旭岳登山・散策に加えて今年は旭山動物園散策コースが新設されたが、参加希望者は少数で、旭岳登山・散策が圧倒的だった。ちなみに、旭岳は旭川市内ではなくはるか郊外に位置する大雪山連邦の主峰である。
これも極最近の話である。レッサーパンダ等に芸を仕込んで売り込んだ動物園もあったが、これにたいし旭山動物園のスタッフの一人がうかつにも「動物は見世物ではない」とメールに書き込んだとたんに、「旭山動物園は動物を見せるところではないのか?」との反論があったとか。こんなことを書いている今配達された、7月12日夕刊「北海道新聞」によれば「~環境守って静かに案内~団体客はイヤホンで~湿原の生物に配慮~釧路市動物園~」(見出しのみ引用)と一面7段抜きで報道されている。
これこそほんとうに意義ある競争ではないか。両者共、市立だから官だ、民でなければ競争原理が働かないとおっしゃる小泉総理に聞いてもらいたい話し。公務員だろうが、民間会社員だろうが問題は意識改革にあるのだ。
標題の「日本一の動物園」とは、正確を記すために参照した旭山動物園のガイドブックの「園長のあいさつ」の見出し文字であるが、私は表現が少しオーバーだし、正確性に欠けると思い、電話で市に紹介したが、動物園に直接電話せよとのこと。動物園はお答えできる人間を探しますので少々お待ち下さい、「電話番号とお名前をお知らせ下さい折り返しお電話します」とのこと。閉館時間になっても電話がこないのはまぎれもなく「官」の証拠ではないか。たとえ園長のあいさつとはいえガイドブックに書かれている文面に書かれている意味くらい職員の誰もが説明できなければと思った。
(筆者は旭川大学経済学部講師)