【コラム】
あなたの近くの外国人(裏話)(45)
「近く」と「遠く」のコロナの話し⑥
「私は陽性です」「入国拒否」続報
不安定な天候の関東甲信越地方。『オルタ広場』38号が出る頃には梅雨入りしているはずだ。
先日、私は梅雨熱中症のような症状があった。その日のことだが、朝、検温したら37.7まで上がっていた。学校に仕事に行っているので、検温は肝要だ。コロナだったらどうしよう、ベランダのラベンダーの匂いを嗅ごうと窓を開けたら、その途端にいい香りが漂ってきた。嗅覚は大丈夫だった。味覚は? 果物を食べた。美味しい! 熱が出ている割に食欲もある。吐き気もない。腹痛もない。咳もないし、喉も痛くない。だが筋肉痛がする。倦怠感がある。
風邪を疑い、葛根湯を服用した。だが収まらない。配偶者に頼んでスポーツドリンクを買ってきて貰い、大量がぶ飲みをした。だが熱が下がらない。解熱剤を飲んだ。この日、オンライン授業2本予定していたからだ。しばらく身体を休めた。ひと眠りしたら…逆に体温が35.5と低すぎた。1本終了して、もう1本頑張ろうと思ったら、次のクラスの生徒の連絡を見つけた、欠席休講。理由は後述する。
翌日、まだ解熱剤が効いていた。高校の仕事は、大事を取り電話で前日37.7あったことを伝え、行かないことになった。その日も昼間は身体を休め、ようやく平熱に戻った。翌日は朝のオンライン授業を終えてまたまた休息を取った。すると塞翁が馬? 禍福は糾える縄の如し? 今までの休みなしの疲れが全部取れ、腰や背中の凝りもほぐれ、かえって調子が良くなった。ああ、人間は休息が必要だなと気づいた。みなさまも熱中症にお気をつけてください。
さて、今回も残念ながら前回の続き。
◆ 1.現地の実家に帰っていった社会人生徒たちその後と国内残留のIT生徒たち
現地の実家からまだ戻れない生徒たちはやはり時差3時間半分の残業をしていた。インド本国のロックダウンによって実家からのテレワークをしていた。ある生徒は、コロナ関係およびワクチン接種のシステムやコントロールの仕事をしていた。データの仕事をしている生徒は、日本残留組も含めてキリがないほど仕事を抱えていた。
残留組のうち1人は、先月でプロジェクトがひとつ終わったと言ってオンライン授業に復帰した。それでも残業が減らないようだ。もう1人は日本国内のデータセンターで働いているので企業・役所から送られてきたデータを処理している。業務内容が守秘義務契約のため、通信機器の持ち込みができないので、帰宅まで連絡が取れないし、残業していると帰宅が遅い。
◆ 2.ナマステ程度の友達からの悲しい報せ
毎日合掌の絵文字🙏を送り合って挨拶だけのネット友達。ワーラーナスィ在住。時々ローマ字打ちのヒンディで簡単な会話をすることもある。しばらくチャットがなかった。久しぶりに🙏を。
「元気?」とまで打ってきた。お互いに元気であることを確認したので「そっちはコロナどうなの?」「こっちは4月から少しずつ収まってきている」「日本は?」「第三波」「家族や友達は?」「実は父を失った」…え? だからしばらくチャットがなかったんだ!「ああ…(涙の絵文字)😥」「病床満杯だった…」「何歳でいらしたの?」「76歳」「まあ! そんなにお年を召していらっしゃらないのに…」「そうだよね」「あ…ごめんなさい。あと3分でオンライン授業をはじめます。また後ほど」「いつも私の相手をしてくれてありがとう」
◆ 3.パキスタンから連絡が途絶えた「私は陽性です。骨が壊れたみたいに痛い」回復
前回、お伝えした同年代の男性。あれから音信不通。状況からして、こちらから連絡できない。今、思いついて彼の Facebook のタイムラインを閲覧した。すると…安心した。5月14日からしばらく投稿していなかったが5月28日から投稿を再開している。ああ、良かった
◆ 4.先生、陽性でした(無症状)の生徒は隔離生活で○○が食べられるようになった
前回、成田空港近くの療養宿泊施設に10日間隔離され、無事に自宅へ戻り、その後、2週間の自宅自主隔離。家にいるのでリモートの仕事をたっぷりさせられた? いや帰ったら帰ったで、本社がインドにあるので相変わらず時差3時間半の仕事を続けていた、今も続けているようだ。
昨年12月に日本語能力試験N4レベルを高得点で合格した後は、この7月の日本語能力試験N3を目指して週2回に増やした。しかしインド帰国中、仕事が忙しいわ、ロックダウンで実家では忙しいわ、でクラスを休むことにした。この生徒が欠席していた間、残りの生徒たちと授業を続けていたが、他の生徒たちも欠席せざるを得なかった。
5月23日から週1回2時間の授業が戻ってきた。まだクラス授業ではなく、個人レッスンの状態だ。インド人には、個人レッスンよりもクラス授業のほうがいいと私は考えている。私を置いていっても徹底的に討論するし、ロールプレイも上手だ。生徒が生徒を教える高度な教育を受けているからだ。
この生徒は個人レッスンでもクラス授業でも優れている。学級委員長に自然になっていた。彼は7月の日本語能力試験を受験するつもりではあるが、この1カ月で学習計画が狂ってしまったので、12月の試験での合格を目指してゆっくり確実にすすめることになった。
さて、彼は長い隔離生活で新しいことを覚えた。「行列ができる」というトピックで「ああ、私の会社の近くに2軒そういうラーメン屋があります」「並びますか?」「いいえ、私は行列に並びません」「忙しいですものね」「いえ、ラーメンが食べられなかった(の)です」ああ! なるほど!「でも、ホテルに泊まってラーメンを食べることを覚えました。家に帰って外に出ませんから、家でもラーメンを食べることがありました」ノンヴェジタリアンだから良かったかもしれない。
その後、品物の「保証期限」という語彙を勉強していて「食べ物や牛乳は他の漢字が書いてあります、なんと読むのですか?」「しょうひきげん 消費期限」「しょうみきげん 賞味期限」奥さんとお子さんをインドに残して一人暮らしだし、ずっと隔離生活だったので、こういう質問が出るのだろう。何があっても前向きに生きているインド人らしいと感じた。…あ! 彼の質問に答える私の宿題を忘れていた。「洗剤」の名前と種類と使い方!
◆ 5.いつまで続く?「入国拒否」
前回お伝えした、日本に戻る日を目前にして水際対策強化「政府、インドなど3カ国から入国拒否」となり、まだ戻ることができない生徒。タミルナドゥ州の状況は、5月26日をピークに少しずつよくはなっている。新規感染者が減っている。どちらにしても現状では日本に戻るのはまだ時間がかかりそうだ。
オンライン授業を5月16日から再開したいと申し出をした。この日は問題がなかった。次の週5月23日は停電によりネットも電気もないので、スマホでメッセージを送ってきた。「まだ停電が終わりません」何回か送ってきたが断念したようだ。5月30日は問題なくオンライン授業ができた。この時、「友達(敏腕トラベルエージェンシー)がなにか情報が入ったら教えてほしいと伝えてください」と言われ、友達にメッセージを送った。
次の週…「ワクチン接種で熱が出て勉強できません」と連絡があった。彼のようなマッチョが? 副作用! 配偶者がその日ちょうど1回目の接種をしてまったく何事もなかったのに。「その生徒は2回目とちゃうか?」と配偶者が言う。配偶者はテレビなどで「強い副作用は2回目に多い」という報道を見聞きしている。私は「筋肉注射だからマッチョのほうが枯れたオヤジより強く効いたんじゃないの?」と根拠がないことを言った。
この生徒も7月に日本語能力試験を東京で受験する予定だった。今、すでにN4合格ラインを越えているので受ければ合格だったのに。この時期に戻れないので受験は無理だし、現地試験もないだろう。彼はいつでも日本に戻れるようにしようとしているようだ。やはりインド人は前向きだ。
一日も早く、ワクチン接種終了、抗体ができて陰性の人たちが入国できるようになることを願う。
(東京ベイインターナショナルスクール顧問)
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