【編集事務局便り】182

◇早いもので、前編集長加藤宣幸が急逝して一年がすぎました。
「とめるわけにはいかない」の一念で続けた「オルタ広場」ですが、ここまで継続できましたのはひとえに皆様からの信頼と継続いただいた投稿のお陰です、心より感謝申し上げます。

◇「オルタ」の過去の蓄積をWEBでみる機会が増え、15年の貴重な論考、信頼関係の積み上げに触れ、その内容の面白さにもひかれています。生前、加藤宣幸が、「時間をかけて積み上げてきた『人とのつながり』、そして『信頼』は、何ものにも代え難く、創りたくてもすぐできるものではなく、お金ではかえがたいものがある」と言っていた意味も、実感します。

◇80歳をすぎてから創めたメールマガジン「オルタ」を通じて、父はその世界と友人を新たに広げていきました。また、新しい出会いの中で、過去との新たな縁を発見し、さらに他の方と繋げ、新たに縁を築いたりする姿を間近で見ながら、
歳を重ねていくことは、世界が小さくなることではなく、過去とのつながりを基盤に大きく広がっていくことなのだと、感じておりました。

「オルタ広場」もそのような場になれば、とも思います。そろそろと次の展開の可能性も考えてまいります。どうぞ引き続きご支援くださいますよう、お願い申し上げます。

◇今号では、大井二郎さんから、今国会で議論となっている「毎月勤労統計とアベノミクス」について、近代統計学の祖高野岩三郎氏、戦後統計学における最大の巨人大内兵衛氏もご紹介いただきながら、論じていただきました。

◇「沖縄の地鳴り」では大沢哲さんには継続して沖縄の基地をめぐる状況につきご投稿いただいています、県民投票がいよいよ24日に迫りその結果が気になります。
◇仲井富さんのご紹介いただいた「沖縄スパイ戦史」の自主上映は下記のサイトから確認ができます。公式サイト http://www.spy-senshi.com/
自主上映会スケジュールはこちら http://www.tofoo-films.jp/spy-senshi/#schedule

◇しばらくご家族の介護のために、オルタ(広場)への投稿を控えられていた高沢英子さんから久しぶりにご連絡をいただきお会いしました。1930年生まれの高沢さんが、ご自身の生きてきた時代を振り返り、今伝えられることを残しておきたい、とまたご執筆いただけることになりました。今回は、かつてオルタ叢書で出版した単行本『海峡の両側から考える』を韓国語に翻訳してくださった現全南科学大学校副教授・金正勲の近著「戦争と文学 ー韓国から考えるー」をご紹介いただきました。
書籍はこちらになります。ー>https://amzn.to/2EjltQ2

◇2013年夏からYoutubeのaltermagazineのチャンネルにアップさせていただいたオルタ編集委員の荒木重雄さんによる「仏教に親しむシリーズ」も、引き続きアップしていただいています。1月は、「日本仏教の展開5 南部仏教は知のワンダーランド『法相宗と華厳宗の世界観』」。https://youtu.be/84Yzp_IUVsc

18年春から、初心者も学びやすいようにと、改めて「釈迦の生涯と教え」から講義を始められています。下記からaltermagazineチャンネルへ登録可能ですのでご登録がまだの方はぜひこちらからどうぞ。http://www.youtube.com/user/altermagazine

◇毎回、楽しく俳優紹介いただいております映像ディレクター・映画祭コーディネーター清水浩之さんから、久しぶりにご投稿いただき,今回はイッセー尾形のご紹介をいただきました。また働く文化ネットでは、毎月第二木曜日に(今どきの)「労働映画鑑賞会」も実施していますのでよろしければお出かけください。 http://hatarakubunka-net.hateblo.jp/

◇11日八重洲ブックセンターで行われた「北朝鮮の非核化に日本は何をできるか」をテーマにした内容で昨年1月にオルタでインタビューをした柳澤協二さん他の対談があり、参加してきました。昨年インタビューでいただいた問題提起についても、また議論を深める機会があればとも考えております。

◇なお、先にご案内した「トランプ外交」につきましては、今後の課題とさせていただきます。

◇そろそろ沈丁花の花も咲き始めました。三寒四温でそろそろ春の気候になっていく頃ですが、つかの間の暖かさにもくれぐれも油断なくお過ごしください。(M.K)
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◇昨年一度インタビューに応じていただいた元防衛官僚柳沢協二氏の新刊「激変の北東アジア日本の新国家戦略」(かもがわ出版)の刊行記念講演会に行った(2月11日)。
かもがわ出版の編集責任者でご自身も著述家で(左翼)社会運動家でもある松竹伸幸氏との対談形式の講演会で内容の濃いものだったが、浅学の者には難しかった。少しづつ勉強していきたい。
柳沢さんは「戦争の本質から戦争を否定する論理を展開したい」とされ、軍事力の優劣から生まれる抑止力でなく、政治目的達成のコストと利益が合わないこと、コストを無視してまで達成すべき戦争目的が存在しないこと自体が、戦争を起こさないでいる」と指摘されていた。昨年からの米朝合意は、戦争が無意味である以上、「お互いが欲するものを相互に与える」約束であるので、二月末のサミットも、何をお互いに「自らの利益のために相手が欲するものを与え合うのか」,「抑止から利益へ」の新しい解決の歴史的な例となりうるだろうとされた。米朝サミットを見る新しい視点をいただいた感がある。

◇2020年の今頃には、オハイオとニューハンプシャーで民主党大統領候補予選がスタートしている。
既に予想されたメンバーが選挙戦を開始しているなか、ようやく党内野党系候補の本命であるサンダース上院議員が出馬を表明した。前回2016大統領選挙予備選では、非営利革新的Activists団体 MoveOn.org が会員のメール投票にて勝手連的にウオーレン上院議員をかつぐ ”Run Warren Run”運動を展開し、草の根資金も百万ドル単位で集めたが、結局はWarrenが辞退したため(後にヒラリー陣営との密約があったとされている)、仕方がなく圧倒的に少数の二番手であったサンダースを、再度の全会員のメール投票によって推薦したという経緯がある。これを受けてサンダースは勝算は問題でなく、民主主義のために「大統領選をヒラリーの戴冠式にしてはならない」との決意で出馬を決めた。民主党(全国)本部はヒラリー傘下(選対と党が一体)にあり、邪魔者の出現に色々な妨害を試みた。サンダースの露出を防ぐために、公開TV討論会の開催を例年より極端に少なくするなどの裏技を使ったのだ。

◇今回選挙では、Warren女史は早々と立候補し、メディアはそれを囃したが、前回期待を裏切った人は本命にはなりえない。民主党本部もサンダース陣営の圧力を受け、党大会での特別代議員の権限を制限したり、TV討論会候補者参加資格を早々と決めるなど「フェアーな選挙をする」としているので激戦が予想される。本命不在の中の選挙戦を一年間ウオッチして行きたい。

◇来年は東京オリンピックの年である。昨年の平昌オリンピックは南北朝鮮の対話のきっかけになり米朝会談に発展したが、その四年前のソチ・オリンピックの西側首脳の開会式ボイコットは、ロシアでの”伝統的家族価値を否定する宣伝物から子供を守る法令”が、ロシアの性的マイノリティーの権利を侵害しているというのが表向きの理由だった。日本でも同性婚を認めさせる運動が活発になってきたが、来年のオリンピックに向けて、日本の現状を海外に伝えてゆく中で前向きの動きが加速されるかもしれない。しかし、あの不自然なボイコットは、むしろほぼ同時進行で進んでいたウクライナでのレジーム・チェンジをカムフラージュするためだったのかもしれない(ソチオリンピック2014年2月7日-23日。ヤヌコヴィチ大統領キエフ脱出2月22日)。(Ha.K)

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