【編集事務局便り】238

■今月は、井上定彦氏から、「「エコロジーと親和する社会民主主義」構築へ 、21世紀政治(思想)潮流の思考軸を考える」をご寄稿いただきました。

 すでに、戦後78年を経て、「『戦後革新』『戦後なるもの』が、とうに遠くなったせいなのか、いまやためらわれることなく、面白い物語として、あるいはまじめな分析・思考の対象となるだけの、十分な時間が経過した」なか、「これらを素材として、政治史ないし政治思想の範囲を越え、近現代の日本と世界をも視野にいれるような議論をかわすことも可能になったということもあるだろう。」
「左翼」「戦後革新」「社会党」などに関して新しく刊行された多くの書籍を中心に、横断的に概括いただいた上で、これまでの時代での左翼的思想に不足した点を補い、「エコロジーと親和する釈迦民主主義」の示唆にとむご提言をいただいています。
 振れすぎてしまったかのような「資本主義」への揺り戻しのように、昨今、行き過ぎた格差の解消を唱え、地球環境に負荷をかけないように、平穏に暮らしていかれるように、という根源的な願いが声になって、特に若い人々の叫びになってきているように思います。
 「エコロジーと親和する社会民主主義」の論の広がりを期待しています。

■羽原清雅氏から、10月13日に統一教会に対して文部省が解散命令を出すように請求したことに対して、「統一教会「解散」の措置は有効か —根を張る関連諸団体に警戒を」をいただきました。

 昨年秋以降5回にわたる、統一教会問題へのご寄稿は、以下の通りです。
2022年9月号「宗教困窮者を見捨て、「票」目当ての「広告塔」でいいのか—国会議員らの旧統一教会問題をめぐって」
2022年10月号「政治家の衰退した倫理観と旧統一教会問題 —判決、そして各界プロの発言からわかること」
2022年11月号「旧統一教会問題をめぐる政治状況―付・安倍晋三元首相と旧教会の関わり」
2022年12月号「36,37年前旧統一教会の実態は報道されていた―政治は黙殺、被害者量産 その責任は」
2023年2月号「全国に広がる統一教会の罪過―統一地方選挙 ひとつの焦点」

■【アフリカ大湖地域の雑草たち】は今月休載になります。大賀敏子氏からは、
「先日、UN安保理が、ハイチの治安維持に多国籍警察チームを派遣することを決めましたが、その実は、ケニア警察主導とのこと(米国の資金援助)。反対するケニア市民たちが裁判所に訴え、その理由が「ケニア憲法では警察の海外派遣は想定していない」とか、あたかも、日本の憲法9条論みたいになっています。おそらく日本の自衛隊海外派遣のことを良く調べ、参考にしたのでしょう。フォローしています。」とご連絡いただきました。今後のご報告が楽しみです。

■今月は、以前【メイ・ギブスとガムナッツベイビーの仲間たち】を共同で翻訳いただいていた、吉川佐知子、高沢英子氏から、「松尾芭蕉の俳句、英訳(誤訳?)のこころみ」をご寄稿いただきました。お二人は共に松尾芭蕉と同郷の伊賀のご出身で、英語にもご堪能とのことで試みられた作になります。

■皆様から毎月ご寄稿をありがとうございます。

■10月7日に突如始まった中東パレスチナのイスラム組織ハマスのイスラエルへの奇襲からはじまった双方の攻撃ですが、一刻も目が離せない状態です。
 日本から9200kmと遠く、よく知らないことばかりでしたが、これを機会に様々に検索してみると、どちらの側にも胸を締め付けられるような民族の歴史を抱えていることがわかってきます。現在の普通に暮らしたい人々に危害が及ばないように、憎しみの連鎖がつながらないように、とただ祈るしかばかりです。

 約600日前のロシアのウクライナ侵攻、それに続いて、今回のパレスチナとイスラエルの軍事攻防と、スマホでの現地の映像など戦いのリアルが、日常の世界に飛び込んできています。一方、同じ頻度と精度でフェークの画像や情報が流れているであろうことも注意していかなけれならない時代となりました。これから、ますますAIによる画像生成等も巧妙になり、何がリアルか全く認識できない状態になるかもしれない、10年前ですら想像ができない世界になりそうです。
 
 かろうじて保ってきた各国間の平和の均衡は意外ともろく、何が起こってもおかしくない、いつ壊れるかもしれないと、あらためて感じた、2023年10月になりました。

■神保町の老舗ロシア料理店「ろしあ亭」が、の今月末をもって閉店とする連絡がはいりました。前編集長の故加藤宣幸は、大好きなお店で、多くの方と一緒に、酒を飲み、大いに語らったお店です。28年間、どうもありがとうございます。長い間、本音で語らう場を提供いただいたオーナーの北市氏に、心から感謝申し上げます。
ろしあ亭閉店 ろしあ亭+車いす
(最近北市氏は写真にうつっている電動車いすで通勤していました)

■10月に入り、平年より気温は高いとはいえ、秋の気配が漂ってきました。近くの公園の金木犀も満開です。これから徐々に秋も深まりますので、体調管理には十分お気をつけてください。(MK)

(2023.10.20)
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