【自由へのひろば】

ウイグルの人権問題(2)
生きる権利をはく奪されていく留学生たち

坪野 和子


 前回の続きです。今回は直接の難はなさそうに見えて、実は強制送還を危惧している海外在住留学生ウイグルの人たちの実態です。
 便りがないのは元気の証拠 No news is good news.… と言われますが、ある意味、そうかも知れない…昨年のロヒンギャ危機(民族浄化??)でも、今回のウイグル人権問題(ジェノサイド??)でも、わかることができる誰かとコミュニケーションを取りたい…だから長年音信不通の友達から連絡が来るのだろうと。少しでも多くの方々にご理解いただければ幸いです。

1.留学生 数か月後に私(ウイグル人語り手)は失われる

 当然のことですが、海外留学するということは、まずパスポートが必要です。そして留学先の国のビザが必要です。また中華人民共和国では旅行証も必要です。以前も申しました通り、一時帰国もしくは海外からの帰国者およびその親族は「再教育センター」去極端化教育中心に送られることになります。ウイグルに帰国するわけにはいきません。しかし、駐外中国大使館でパスポートを出さなくなっていて、現地で困っています。そして最近旅行証も出さなくなったそうです。パスポート切れ2か月前までになんとかして様々方策を図るのですが簡単にすすめません。

 例えば留学生をやめて就職し、就労ビザに切り替えるのも国によって厳しい状況にあります。実家との連絡もできません。したら盗聴されます。帰化も考えられるのですが、ほとんど帰化の許可も出なくなっているようです。意味不明ですが、一部のウイグル人には出しているそうです。中国の警察が当事者国に許可を出せなくなるような情報を流しているようです。例えば政治犯であるとか。
 ですが、ウイグル人に言わせると留学生が学業に支障をきたすような政治活動なんてありえない。パスポートが切れたら私は殺されるために帰国する? パスポートなしで滞在したら私は強制送還されて殺されるのを待つ? 家族とともに。私は難民になる? 難民として受け入れてくれる国はどこ? 私たちウイグル留学生に生きる権利であり人である証であるパスポートを持たせない。そんな国の人民なのです。

[ウイグル留学生事情] 経済面でも厳しいことになっています。留学生なので学業に影響がない程度のアルバイトしかしていませんし、実家からの仕送りに頼ってきた人もいます「再教育センター」に親が送られたり、海外送金を止められたり、電話等の連絡ができなくなったりなど様々な問題が起きています。(ずいぶん前に日本での元留学生が「ははは、日本の法律で留学生は週28時間以内って決めてるけどさぁ、そんなにバイトしたら勉強できないよ」というくらい学業優先する人たちだなって思ったことがあります。)

2.過去の中国が行っていたことが我が身の恐怖に 宗教

 2009年にウルムチで虐殺があったとき、まずは外国人を退去させました。先月、ラマダンのころにまた退去させられました。今回もまたみんなが殺されるのでは、誰かが行方不明になるのではないか、と心配しています。また1998年(語り手の記憶)に捕まった法輪功の人たちの内臓が売買されていました。「再教育センター」で殺された人も同じことをされているとの噂が高いです。
 法輪功の人たちは牢獄から出てきた人は繁殖を奪われたそうです。男性の性交能力がなくなったら民族は滅びます。ウイグル地域のムスリムは一夫一婦です。そして漢人と強制結婚させられることもあります。妻・子ども・姉妹が略奪のような結婚をさせられています。
 今、ウルムチは「漢族」の街になってしまいました。カシュガル・ホータン・グルダの3地域では「再教育センター」にどんどん連れていかれています。中国はムスリムを無宗教化させ、法輪功の人たちを無宗教化させ、中国の無宗教化洗脳を目指しているのでしょう。

3.世界からの声がほしい

 教育についても、現在ウイグル語での学校教育は禁止されています。世界ウイグル会議の報告を見てください。国連はウイグルで起きている問題にとても冷たい。世界からのシンパシーがほしい。なぜ私たちはこんな目に合わなくてはならないのでしょうか?

★世界ウイグル会議
 http://www.uyghurcongress.org/jp/

★署名キャンペーン
 https://www.change.org/p/united-nations-china-release-the-1-million-uyghurs-detained-in-nazi-style-concentration-camps
 日本語説明
 https://freedomsherald.org/ET/petition/petition2_jp.html

 (高校時間講師)

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