【オルタの視点】
雑誌『ビッグイシュー』を佐野章二さんに聞く
書店では絶対に買えない雑誌『ビッグイシュー』とは?
有限会社ビッグイシュー日本・共同代表の佐野章二さんに、映像作家澤口佳代が聞いた。(要旨)
路上で雑誌を販売している人を見たことはありませんか? 路上でビッグイシューという言葉を目にしたことはありませんか?
『ビッグイシュー』は1991年にロンドンで生まれました。ホームレス状態の人が路上で販売している雑誌です。日本では佐野章二さんが、有限会社ビッグイシュー日本を設立し、2003年9月に『ビッグイシュー日本版』を創刊しました。ホームレスの人の救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援するための事業をはじめたのです。
毎月2回1日と15日に発行される『ビッグイシュー』は現在1冊350円で販売され、そのうち180円が販売者さんの収入になります。販売者さん1人で1日平均15冊から20冊程度を販売しています。主に、ホームレス状態の人が多い、大阪、東京、札幌などの大都市圏を中心に、駅の近くでの販売をしています。
(ビッグイシュー日本ウェブサイトに販売場所詳細あり http://www.bigissue.jp/sell/index.html )
ビッグイシュー日本・共同代表の佐野章二さんは、「ホームレス状態の人に魅力的な雑誌を売ることで商売をしてもらいたい」と言います。人は、なぜホームレス状態になるのか?という問いに対しては、「人それぞれではあるが、仕事を失って、収入を失い、そして、家を失う。助けを求めることができる絆を失っている。共通していることは、社会から孤立し、ひとりぼっちになっているということ。その中でも、『ビッグイシュー』を路上で販売している人は、このままではいけないと、お金を稼いで、積み立てて、自立をすることを目指す決意をしている前向きな人だと思います。そういう意味でも魅力的な人が販売者さんです」と言います。
『ビッグイシュー』を売る販売員さんと購入する人が、その時交わすたわいもない会話は、時に街角の小さな交流空間になると表現する佐野さん。購入した事がある私も、この点が『ビッグイシュー』の最大の魅力だと感じました。皆さんも『ビッグイシュー』を街角で見つけたら、販売者さんとの交流を楽しんでみてはいかがでしょうか?
(映像作家)
<追記>
ホームレス問題のような、人間にとって大きな問題であるが、積極的に解決のために取り組むことが難しい問題に、正面から取り組む佐野章二さんとビッグイシューのスタッフさんの取り組みについて、今後も引き続き紹介したいと思っています。現在では、販売者さんがいない地域でも購入できるように、年間購読の仕組みもあります。
ビッグイシュー日本 http://www.bigissue.jp/