【視点】

中国は日本の敵ではない

 ―中国なしに日本経済は成り立たない―

久保 孝雄

・バイデン戦略の背景
・対中包囲網の中核にされる日本
・安保と経済を両立させることは可能
・中国は「威圧的」「攻撃的」「力ずく」か
・戦前に酷似するマスコミの反中キャンペーン

 ◆ バイデン戦略の背景

 トランプからバイデン大統領に代わって5ヶ月経った。トランプ時代よりは理性的な国になると思ったが、幻想だった。トランプとの違いを示すためコロナ対策、格差是正、経済再生に向け史上最大の巨額予算を組んで取り組んでいるが、中国政策ではトランプ以上の強硬策を採っている。トランプは経済重点に貿易戦争をしかけたが、バイデンは急進派だったペンス、ポンペオ以上に、台湾、ウイグルなど中国の核心的利益に触れる内政干渉を強めるとともに、習近平主席を「専制主義者」と断じ、民主主義対専制主義を争点に体制問題や価値観にまで対立を拡大し、「西側同盟を率いて対決し、勝利する」と宣言した。

 バイデンはウイグル問題を「ジェノサイド」と認定したが、大国の大統領が軽々に口にすべき言葉ではない。複数の米メディアも「ウイグル・ジェノサイドは今世紀最大の嘘だ」「根拠なき攻撃をやめよ」(ニュースサイト「グレーゾーン」「プロジェクト・シンジケート」など)と声をあげ始めた。台湾についても高官派遣や武器輸出、空母、艦船、爆撃機の巡航など「一つの中国」を無視するあからさまな台湾擁護・介入の構えを強めている。

 それほどバイデンの危機感が強いということだが、それには3つの要因がある。1つは、中国の台頭により100年続いてきた米国の一極支配が崩れ、多くの分野で世界No.1の地位を失いかけていることだ。購買力平価GDPではすでに2014年に中国がNo.1になっているが、為替レートでも2028年に中国が世界一になると予測されている(英国シンクタンク 時事12.26)。科学技術、ハイテク分野のみならず、アジア、アフリカ、中南米などへの影響力、東アジアの軍事力でも中国に遅れをとり始めた。これまで100年間、米国の世界No.1を脅かす国は皆無だったので、中国台頭が米国に与える衝撃は大きい。

 第2は、もはや米国だけでは中国に対抗できず、西側同盟の結束で対抗するしかなくなっていることだ。「(同盟重視は)米国の利益のため、中国を抑えるため(だ)・・中国と向き合うにはソ連の時以上に他国の助けが不可欠」(米エール大ウエスタッド 朝日4.20)。「米中対立に比べれば、冷戦時代の米ソ対立など子供の遊びのようだ」(ビル・パウエル Newsweek 5.18)。このため日米豪印(QUAD)、日米韓、さらにASEANやEUも巻き込んで中国包囲網を構築しようとしているが、インドもASEANも中国包囲に反対、豪も中国への輸出でメシを食う国。NYTがいうようにQUADは「架空の同盟」になりかねない。EUにも足並みの乱れがある。

 5月、G7の外相会議が開かれ、6月の首脳会議の準備をしたがお粗末な内容だ。気候変動、コロナ対策以外の主要議題は中露対抗策で足並みを揃えることだった。本会議でもバイデン主導で「一帯一路」への対抗策など中国叩き一色になりそうだが、米英と独仏には温度差があり、どこまで結束できるか。プーチンも教書演説で「ウクライナ、ベラルーシで一線を越えることは認めない」と牽制している(日経4.22)[注]。そもそも今の世界でG7にどれだけの意義があるのか。世界人口79億のうち7億を占めるだけ、GDP(購買力平価)でも新興国G7(中露印、ブラジル、インドネシア、トルコ、メキシコ)の49兆ドルに対し43兆ドル(IMF2020)。もはやG7は世界を代表していない。「G7は時代遅れだ」(トランプ)との批判が当を得ている。

[注]最近の北極評議会(5月20日)の場で米露外相が会談、首脳会談開催(6月16日)で合意した。また中国劉鶴副首相はタイ米通商代表、イエレン財務長官と相次いでTV会談を行なっている(CRI 6.3)。この会談が米露、米中の対話復活の糸口になるか、注目される。

 第3は、20年に及ぶ「テロとの戦争」で疲弊し、トランプが加速した格差、差別による社会の荒廃と分断への不満を外に向け、ナショナリズムを高揚させることで統合を図ろうとしていることだ。だがこれは政治の邪道であり、国際的信頼は得られない。

 ◆ 対中包囲網の中核にされる日本―台湾問題に関与すべきでない

 トランプの同盟軽視に比べ、同盟重視、国際協調、多国間主義に復帰したように見えるが、全ては中国包囲のためであり、世界がバイデンに期待した国際協調への復帰ではない。中国、ロシアを除いた多国間主義もありえない。この中国包囲網の中核に擬せられているのが日本だ。中国の隣国であり、第三の経済大国で、多数の米軍基地があり、米国に最も従順で、国民の反中意識も高い日本(各種世論調査で国民の8割が反中、嫌中意識を持つ)が最適だとみられている。国務、国防長官の初外遊が日本との2+2だったり、バイデンの初の対面首脳会談に菅首相が選ばれたり、異例の日本重視が演じられたが、何としても日本を反中最前線に立たせたい米国の周到な計画によるものだ。

 この日本重視に応えて外務・防衛当局は「ルビコン川を渡った」(2+2の関係者。日経4.10)。共同声明で日本は初めて中国を名指しで非難し、台湾問題への懸念と関与の可能性を明記した。中国は激しく反発し、日中共同声明に抵触する背信行為であり、米国の戦略的従属国であることを示した、と批判のトーンを上げた。中国の強い反発に配慮し、首脳会談では中国名指しや台湾言及は避けられると思ったが、2+2の合意がそのまま反映され、対中政策では米日一体化が合意された。菅総理自らが(政権維持のため米国に屈して)ルビコンを渡ったのだ。

 日本が台湾明記で合意したことは中国民衆の憤激を呼び起こしかねない。台湾は清国が西洋列強に襲われ弱体化しているのに乗じて日清戦争(1894)を起こして勝利し、2億テール(当時の国家予算の2年分と言われる)の賠償金、遼東半島(のち三国干渉により返還)、澎湖諸島とともに清国から分捕ったもので、中国にとっては屈辱の島だ。ここに旧宗主国の日本が手を出すことがあれば、中国人の琴線に触れ、何が起こるかわからないほど危険だ。

 台湾は輸出の3分の1が中国で、100万人(人口の4.3%)近いビジネス関係者が中国に定住しており、中台経済はすでに一体化している。世論は独立より中国との共存を望む現状維持が大勢だ。植民地時代の記憶もあり、親日一色ではない。尖閣領有権では日本と対立している。最近はコロナのリバウンドや米国産豚肉の輸入をめぐる米国寄り姿勢などで蔡総統の支持率も急低下している(日経5.20)。

 台湾はカイロ宣言、ポツダム宣言で中国への返還が決まっていたが、サンフランシスコ講和条約(1951)の際、中華人民共和国を承認していなかった日米政府が、台湾に残存していた国民政府に配慮し、日本の台湾放棄は明記したが帰属先を明記しなかったことが、今日の事態を招いている根因だ。

 日米首脳会談の時、菅総理の脳裏には日中間の歴史問題はなかったのか。さらに「国家百年の計」はおろか「十年の計」も無かったのではないか。十年後、経済力でも世界への影響力でも米中が逆転している可能性が高い。十年後の米国政権が、世界の構造変化を冷静にみて中国政策を転換している可能性もある。

 ◆ 安保と経済を両立させることは可能

 バイデンは経済面でも中国排除のデカップリング(米中分離)を進めたいようだが、不可能だ。世界経済発展への中国の寄与率は3割を超えている。在中国米企業がつくる米商工会(上海)の調査では、8割の企業が中国市場を離れる気はないと回答しているし、貿易戦争のさなかでも中国の対米輸出は伸びている。中国進出EU企業も60%が事業拡大を計画している(CRI6.9)。経済の絆は政治の絆より強い。

 3万3千社の在中国日本企業も、サプライチェーン見直しの政府誘導で中国を離れたのは87社、99%は中国を離れる考えはないとしている。日本の輸出の23%が中国で、中国は日本経済の命綱になっている。安全保障は米国、経済は中国という二股政策を米国は今後も激しく責めてくるだろうが、1億国民のメシの種、経済の命綱をたやすく手放せるものではない。日本経済は中国経済なしには成り立たなくなっているのだ。目指すべき基本は対米自立、自主外交だが、現状でも外交努力をすれば両立は可能だ。

 「安保と経済が違う方向を向いている状況を扱うのは大変難しい。しかし、不可能ではない。日本の役割は、米中間の緊張が制御できないレベルになることを防ぐこと。米中双方にとって日本がそういう役割を担う国だと思われることが、日本の国益なの(だ)」(ウエスタッド 前掲)。
 孔駐日大使も言う。「日米豪印(QUAD)は冷戦思考で100%時代遅れだ。日本は対中と対米関係をバランスよく両立させ、中国との共存をめざすべきだ。日本は米国への戦略的従属を脱却し、中国との関係強化をはかるべきだ。尖閣は中国の領土だが奪還に実力行使はしない(要旨)」(神奈川5.18)

 菅政権が日米同盟の強化、中国敵視を進めるほど、政治と経済の乖離、政府からの民間の離反が進む。民衆の声やメシの種を作る民間企業の意向を無視する政治が長く続くはずはない。中国にも「民を以って官を促す」という言葉がある。今こそ民の力を発揮すべき時だ。日本は、マスコミの連日の扇動・誘導で反中意識の強い国になっているが、それでも半数の国民が「日中協力を進めるべきだ」と考えている(言論NPOの調査)。民の声のキーワードは「中国は日本の敵ではない。中国なしに日本経済は成り立たない」だと私は思う。

 欧州外交評議会が西欧11カ国で行なった世論調査によると、安全保障政策では「米国から自立せよ」が67%、「十年後中国が世界No.1になる」が59%、「米中、米露対立に巻き込まれるな」も過半数を占めた。クールな欧州に学ぶべきだ。

 ◆ 中国は「威圧的」「攻撃的」「力ずく」か

 米国を先頭に日本を含む西側諸国が中国批判の常套句にしているのが、中国は「威圧的」「攻撃的」で、「力による現状変更」や「海洋進出」を「強行している」ことなどだが、果たしてこの批判は妥当だろうか。戦後に限っても威圧的、攻撃的で、力による現状変更をほしいままにしてきたのは米国ではないのか。

 世界の軍事費の36%を占め、世界中に600以上の軍事基地を展開し、巨大な攻撃力を持つ空母打撃群を11も保有する世界無比の軍事大国米国は、中国とは比べ物にならないほど威圧的、攻撃的存在だ。楯突く者は潰されてきた。ソ連は冷戦のアリ地獄に引き込まれ自壊した。米国は圧倒的な軍事力のせいで、何をしても、誰からも咎められない「例外主義の国」(プーチン)だったのだ。

 数百万のインディアンの血と涙で贖われた米国建国の歴史は措くとしても、戦後米国が起こした戦争や反米政権潰しは数知れない。今世紀に入ってからでもアフガン、イラク、リビア、シリアなどで戦火を起こし、無辜の民を含む200万人以上の死者、数千万の難民を生んできたのも米国ではないのか。中露抑制のため周辺で次々にカラー革命を起こし、今なおウクライナ、香港、台湾、ウイグルなどで問題を燻らせているのも米国ではないのか。ウイグルの人権抑圧を非難するが、イスラエルのパレスチナ人への人権蹂躙、殺戮を容認してきたのも米国ではないのか(空前の戦争犯罪である広島・長崎への原爆投下も謝罪してない)。

 中国の「海洋進出」が問題にされているが、中露の近海を含む世界中の海で我が物顔に振舞っているのも米国ではないのか。中国の南シナ海での行動(ASEANで行動規範の協議中)や沖縄本島・宮古島間の公海から太平洋に出る訓練航海が「海洋進出」だと言われるが、最近は米日に誘われ、何千キロも離れた英、仏、独がはるばる南シナ海近辺に軍艦を派遣し、日米豪印と合同演習したりして中国を牽制している。どちらが威圧的・攻撃的か。西洋列強が競って中国・アジアに襲いかかった帝国主義時代を思い起こさせる。

 「力による現状変更」も米国や西側によるものが数えきれない。これに対し中国の威力行使は、中国に対する制裁や挑発への「報復」、攻撃に対する「反撃」であり、相手に先んじて威力を行使することは殆どない。米国家情報局長官ヘインズも上院軍事委員会で次のように証言している。「中国は米国との戦争に関心を持っていないが、もし米国が台湾海峡での衝突に軍事介入すると決めれば、中国は安定への破壊として反撃行動に出るだろう」。中国の対応は「受け身」と見ているのだ(岡田充「虚構の<台湾有事>切迫論」本誌5月号参照)。

 そもそもアジアでは(世界でも)有史以来中国が唯一の超大国であり、長らく歴代王朝が朝貢体制などで支配的地位を占めてきた。これを力によって変更したのが英国先頭の西洋列強や日本であり、戦後は、日本を占領、従属国化、不沈空母化した米国が勢力を拡大してきた。改革・開放以来の中国が国力の発展、充実とともにアジアや世界で自己主張を強めているのは、あえて言えば「原状回復」の動きに過ぎない。

 ◆ 戦前に酷似するマスコミの反中キャンペーン

 バイデンやブリンケンが懸命に主導する反中キャンペーンが西側中心に世界中で高まっているが、日米同盟最優先の日本のマスコミの同調ぶりが際立っている。政府の尖閣キャンペーンも加わり、反中・嫌中は勢いを増すばかりで、最近はいささか暴走気味だ。米国のピューリサーチの調査(西側14か国)によれば、反中意識がトップだったのは86%を占めた日本だった(豪州81、英国74、米国73、独71、仏70、伊62など)。
 今なお情報・メディア、思想、価値観、文化における覇権を握る米国の強い影響下にある日本は、反中キャンペーンが最も浸透している国の一つだ。日本を含む西側ではいまだに「米国の正義」が「世界の正義」であり、日本では「米国=善、中国=悪」が罷り通っている(中国も遅ればせながら習近平主席の指示で国際発信力を強化、改善し、中国の実情や考え方を積極的に広報して国際世論に働きかけ、人類運命共同体建設の機運醸成に努めていくことを決めたようだ 中国網6.2)。

 それを示したのが日米首脳会談への日本国民の評価だ。「日米同盟を強化した」と菅総理が自賛する会談を「評価する」が50%、台湾海峡に関与することに「賛成する」が74%の多数を占めた(日経4.26)。国会で政府と対決する野党も全て日米首脳会談を評価し、台湾有事への「懸念を共有する」「台湾明記は一歩前進」としている(立憲民主党枝野代表など)。国会ではまさに「反中翼賛体制」ができている。なぜこうなのか。なぜ対米自立、日中友好を主張する政党や政治家がいなくなったのか。

 いわゆる有識者の役割も大きい。解説者としてマスコミに登場する学者・文化人は、ごく一部を除いて大多数が反中キャンペーンに同調、鼓吹している。右派知識人だけでなく、リベラルないし左派とみられる学者・文化人でも激しい反中論を展開する人がいる。「米中対決では米国側につくのは当然」「中国の大国主義を許すな」「米中対決のフロントラインに立つ覚悟を」「台湾有事に備え防衛力を強化せよ。有事には米軍に加担せよ」などと説く学者も出てきた。マスコミを覆うこれらの論調が世論に大きな影響を与え、日本社会に一つの「空気」を作っているのは否定できない。

 多くは米国や日本政府の主張(外交青書など)はそのまま受け入れて立論し、中国側の反論や反証はまともに取り上げないのが特徴だ。米国の独立系ニュースサイトが政府の反中キャンペーンの嘘や捏造を果敢に批判しているのと対照的だ(国際関係や中国問題で、国際的に通用する専門家が日本には極少数しかおらず、彼らの大半はマスコミには出られない)。
 日本における反中論の横行は国内矛盾への不満の矛先を外に転ずる伝統的世論操作に加え、今、資本主義世界を覆う反知性主義(否定的なものは「否認」する)の所産でもある(白井聡『主権者のいない日本』参照)。

 これらを見ると、戦前のラジオ・新聞が「暴支膺懲」一色の報道に徹し、国民の対中敵愾心を煽り、対中侵略を正当化、鼓吹して部数を伸ばした(昭和6年満州事変を起こした頃から戦争記事が受け始め、朝毎読3紙の部数は400万から昭和16年日米開戦時の800万まで倍増した。朝日20.11.28)のを彷彿させる。日米の国力が1対10で敗戦必至なのを知りながら、「鬼畜米英」「米英撃滅」を煽って太平洋戦争を正当化、推進したのも同じである。

 かつて軍国主義の先導役を演じ、内外に甚大な被害を生んだ戦争に戦犯的な役割を果たしたマスコミが、今また反中キャンペーンの先頭に立っているのは、過去に学ばない極めて危険な兆候だ。将来、米中が和解し、米、EU、中露印、ASEAN、CELAC(中南米共同体)、AU(アフリカ連合)などを中心とする多極共存の新しい世界が実現した時、中国敵視・蔑視・包囲・抑圧で活躍した政党や政治家、マスコミや学者・文化人はどう言い訳するのだろうか。

 米国の一極支配が崩れ、中国の台頭が続くなど、歴史的構造転換を遂げる現代世界における米中、日米、日中関係を冷静、客観的に見つめれば、日米同盟一辺倒に固執し、中国に敵対することがいかに日本の国益に反し、日本の存亡にさえ関わることは明らかだ。日本とアジアの平和と安定のためには、永遠の隣国であり一衣帯水の中国とは、敵視せず、対抗せず、平和共存を目指すしか選択肢はない。これが日中15年戦争の教訓であり、平和憲法の指し示す道でもある。

 次の言葉を以って結びとしたい。
 「中国はどれほど成長しようとも永遠に覇権を求めず、拡張主義も採らない。米国に取って代わろうとも、今の国際秩序を壊そうとも思わないが、グローバルガバナンスは変化した世界の政治経済構造と合致させるべきだ。ひとつまたはいくつかの国が決めたルールを他国に無理強いしてはならない。偉そうな態度で他国に指図し内政に干渉しては、人心を得られない。中国は平和発展の志を変えることなく、さらに素晴らしい世界(人類運命共同体)を建設するため貢献していく(要旨)」(習近平、中国海南省の「ボアオ・アジアフォーラム」での演説やその他の発言から要約 朝日4.21、CRI記事など)

 「中国が05~20年にGDPを6倍に増やし、同時に軍事力を強化した結果、アメリカの一極支配は終わりを告げた・・アメリカ一国で新たな世界秩序を形成する時代は終わった。もう一人の主役である中国の動向も同じくらい重要だ・・現在の中国は世界の半数以上の国々にとって最大の貿易相手国だ・・アメリカと同じように多くの経済的利点を提供している・・しかも・・アメリカのようにルールや規範を押し付けようとはしない」(元米国家情報会議情報分析次官グレン・カール Newsweek 5.18)。

 「中国は人類史上最も偉大な貧困削減計画を達成したが、西側諸国ではホームレスの数が(史上)最多を更新した。6000年近くの歴史を有し14億の人口を持つこの国は、人類の進歩のほぼすべての指標で北半球諸国を上回り、どの国に対しても侵略せず、爆撃せず、制裁しない。我々は何を学んだのか」(欧州議会議員ミック・ウオーレス 人民網5.12)

 (アジアサイエンスパーク協会名誉会長)

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