■俳句 富田 昌宏
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富士不動東洋城の忌なりけり(東洋城=「渋柿」の創始者)
樫の瘤擦れば秋の声洩るる
鋤き起こす土秋声を発しけり
長き夜や吾を虜にする源氏物語(げんじ)
ペン胼胝(だこ)をさすり箸割る走り蕎麦
一条の飛行機雲や鬼やんま
秋蝶の羽を休めて裸婦の像
蔵の街猫も影曳く月夜かな(栃木市)
露天湯に浮かびし月を掬いけり
重陽や八十路は人生道半ば(重陽=九月九日)
(俳句結社「渋柿」代表同人)
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