■俳句; 富田 昌宏

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新調の地下足袋軽し今朝の秋

田の水を盗み盗まれ早稲稔る

噛みもして確かむ早稲の鎌入れ日

農機具の磨かれて秋涼来る

こぼすまじきタツキ生活の愚痴や赤のまま

平和論落ちし一葉を蹴りながら

蟋蟀に一夜宿貸す朝の靴

古里や空襲の夜も蛍飛ぶ