■俳句                       富田 昌宏

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眦(マナジリ)のなごむ仁王や帰り花

羅漢より欠伸もらいし小春かな

両国の浮世絵展や冬桜

蝋梅やワイングラスの触るヽ音

筆目の清き狭庭や石蕗は黄に

単線の列車軌めり麦二葉

時雨るや塩原の湯の鹿料理

湯豆腐や傘寿間近かのひとりごと

小春日や妻の遺品の耳掻棒

冬ぬくし抱けば微笑む妻の暮

             (作者は俳句結社「渋柿」同人代表)

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