■俳句 「栃の木」 富田 昌宏
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初夏や馬刺頬張る狩人(またぎ)村
トラクター出陣の譜や柿若葉
外井戸の蓋斜(はす)かひや樫落葉
(栃木県庁舎)県庁屋上ミツバチの巣や栃の花
秘め通す約束ごとや鉄線花
集ひ来て母屋(おもや)ふくらむ子供の日
田植機を御して一日中寡黙
脚細きワイングラスや冷奴
(追憶)母の日や卆寿の母を車椅子
(妻の一周忌)一周忌済みて立夏の月の暈(かさ)
(作者は俳句結社「渋柿」代表)
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