■ 俳句                 富田 昌宏

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  賜はりし古書の重みや文化の日

 投函の封書の音や今朝の冬

 田も山も無言の構へ冬に入る

 ◎(亡妻の思い出)
  笹鳴や赤子まさぐる乳房(ちち)の張り

 研ぎ上げし古刀まぶしや笹子鳴く

 笹鳴や息止めて撮るレントゲン

 ◎(烏山市和紙会館)
  冬ざれや和紙漉く職人(ひと)の水さばき

 丹の千本に遊ぶ雀や神の留守

 里山に狸顔出す小春かな

 ◎(烏山市島崎酒造)
  洞窟に貯蔵酒眠る去年今年

                (俳句結社「渋柿」同人代表)

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