■俳句                      富田 昌宏

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鴨引くや湖の静寂(しじま)の逆さ富士

引鴨や声こぼしゆく湖の碧

核持たぬ日本の空や雁帰る

春の雲ワルツ踊りて丘越ゆる

庭師来て形整ふ春の影

土手焼く火噂のごとく広がりぬ

野火の火くのいちのごと土手走る

群鳥の会話明るし野焼あと

(栃木市街)菱餅や歌麻呂通り美術館

土筆折る音の溜りし手篭かな

      (俳誌「渋柿」代表)同人)

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