■俳句 富田 昌宏
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蛍飛ぶや外科医一人の診療所
蛍火や日光街道水車小屋
晃石山(てるいし)の絞る真水や蛍狩
(湯西川温泉)
湯の里は平家の末裔(すえ)や月見草
丁髷(ちよんまげ)の骨董店主や合歓の花
廃校と決まる校舎や月見草
精神病棟固き扉や夾竹桃
広けたる空の青さや百日紅(さるすべり)
紫陽花や涸れることなき釣瓶井戸
筍の十二単(じゅうにひとえ)を順に剥ぐ
(俳句結社「渋柿」同人代表)
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