■俳句                             富田 昌宏

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 農に生き農に果てなむ破魔矢受く

 群青の筑波二峯や鍬始め

 鉈に注ぐ酒数滴や山始め

 息災に生きて傘寿や屠蘇に酔ひ

 身の箍(たが)を緩め初湯を溢れしむ

 読初や松本清張「直訴の記」(注)「北原二等兵の直訴」

 人垣を拡げゆく火やどんど焼

 どんど焼火伏せの護符が火の鳥に

 (亡妻と)七草や遺影と交わす赤ワイン

 千金の陽を吸い取りて福寿草

           (俳法「渋柿」代表同人)

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