【オルタ広場の視点】

千代田区長選 真の勝者はだれか 小池女帝凋落の選挙結果

仲井 富

◆ 千代田区長選挙は女帝小池・ドン内田との野合で勝利したが得票激減
◆ 千代田区を良くする女性勝手連ニュースが小池・ドン内田の野合指摘
◆ 日刊ゲンダイ・週刊文春がドン内田と小池都知事の取引を天下に暴露
◆ 築地移転で女将さん会を裏切り 希望の党失速と相次ぐ小池女帝の背信
◆ 次の選挙の地歩を築いた維新と首都決戦に海江田不在の立憲 逃げた公明
◆ 森田実の小池批判「希望の党」代表の二足の草鞋は愚行 「巧言令色鮮し仁」

 ◆ 千代田区長選挙は女帝小池・ドン内田の野合で勝利したが得票激減

 千代田区長選挙は、1月31日投票の結果、女帝小池と自民のドン内田の野合によって都民ファーストの現職都議だった樋口高顕が当選した。次点は自公推薦の早尾恭一、3位に維新推薦、共産自主的支持の五十嵐朝海の順である。

 この結果を前回、都民ファーストの内田前区長が圧勝した結果と比較してみよう。前回の区長選挙では石川前区長は、小池ブームを背景に、1万6千票を上回る得票で、2・3位の候補者合計8千余票の約2倍の得票だった。
 だが今回は小池知事が張り付いて連日の応援、しかも最終日まで選挙違反すれすれの投げ込みを全戸配布するなど、金と人を使って小池の顔を売り込んだ。しかし得票数は2・3位候補の合計1万3千余票に対して、9千5百余票である。小池女帝ブームは完全に去ったことを如実に示した。

 すでにその予兆は2020年の北区補欠選挙に現れていた。都知事選挙と同日だったにも関わらず、前回都民ファーストの候補が56,374票獲得し圧勝した選挙区で、23,186票しか取れず、自民は勿論、立憲、維新の後塵を拝し4位となっていた。
 前回の区長選挙の投票率は53.67%だったが、今回は得票率45.30%と落ち込んだ。また。また前回の石川区長の得票率は得票総数の67%という圧勝だったが、今回、樋口新区長の得票率は41%に過ぎない。特に前回に引き続いて立候補のいがらし朝青の健闘が光る。いがらしは維新推薦、共産党自主的支持だった。

 2017年 千代田区長選挙結果 投票率 53.67%
画像の説明

 2021年 千代田区長選挙結果 投票率 45.30%
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 ◆ 千代田区を良くする女性勝手連ニュースが小池・ドン内田の野合指摘

 友人の千代田区議から1月半ばに「千代田を良くする女性勝手連ニュース」をもらった。千代田区の前女性議長ら3名が、もう黙ってはいられないと「千代田を良くする女性勝手連」を結成し早尾候補支援の声を上げた。女性勝手連ニュース第三弾「今回の千代田区長選挙における小池百合子の大いなる野望」という記事だった。

 1月13日午後、都民ファーストの樋口たかあき議員の千代田区長選出馬表明が開かれ、昨年末に出馬表明している自民党推薦の「はやお恭一前区議」と事実上の一騎打ちとなる。推薦が決まったのにもかかわらず、早尾氏は自民党の中を二分する与謝野派で、最大勢力の内田派とは肌合いを異にするため、党全体の纏まりが悪い。そこに出現したのがこの小池・内田前区長派の樋口都会議員の区長出馬表明だ。

 小池百合子は総理になりたい女で有名だ。コロナ対策や学術会議の任命問題などで不人気の菅を担いだ二階キングメーカーが、ポスト菅を誰にするかで脚光を浴びつつあるのが小池百合子だ。そこで小池氏は自民に戻りたい・・?!
 彼女は4年前の千代田区長選挙でドン内田を黒い頭のドブネズミと称し、トリプルスコアで石川を当選させ、5期に及ぶ長期政権を継続させた。その結果が今回辞任の原因になった百条委員会だ。この石川の悔しさを背負って出馬したのが「樋口たかあき」である。

 ドン内田には区議会議員の娘婿の後継者がいるが、次の都議選出馬を明言して町内回りをしている。早尾氏は自民党の中では珍しい環境派で、区長となると内田自民としては甚だ不都合であり、ドン内田後継者の都議選挙には樋口がジャマ。そこから始まるのが千代田闇鍋選挙の幕開けである。小池、二階、内田、石川、四方の利害が一致した樋口選挙の幕が上がる・・・・(千代田女性勝手連ニュース No3)

 ◆ 日刊ゲンダイ・週刊文春がドン内田と小池都知事の取引を天下に暴露

 自民党のドン内田氏は今回の千代田区長選で、自民党が推薦する早尾恭一前区議ではなく、なぜか小池氏が創設した都民ファーストの会から出馬する樋口高顕都議を支持するというのだ。これを1月21日付けの日刊ゲンダイや1月28日発売の週刊文春が暴露した。小池知事の子分を内田氏が支援するウラで聞こえてくるのが、ある密約の存在だ。「内田氏は、今年の都議選・千代田区選挙区で、娘婿の直之区議を何としてでも当選させたいと考えている。区長選での樋口支援の見返りに、都議選では千代区で都民ファーストに候補擁立を見送らせる条件をのませたというのです」(全国紙社会部記者)

 都連関係者によると、昨年末、内田氏が自民党本部を訪れ二階幹事長に直談判。了承した二階幹事長が内田氏と小池知事の間を取り持ったと伝えられる。「子飼いの石川区長の失脚で頭を悩ませていた小池知事としては、内田氏の支援取り付けでニンマリでしょう。子分を区長に横滑りさせられるだけでなく、有力者の内田氏に恩を売ることにもなる」。
 地元では「小池知事はこれを足掛かりに自民党への復党を狙うのでは」と囁かれている」(区政関係者)。国政復帰に色気アリとみられている小池知事。足元の感染爆発をヨソに、「政局ファースト」とはあまりにも不謹慎だ。そんな中“都庁の女帝”小池百合子都知事(68)と“都議会のドン”内田茂元都議(81)談合が進んでいるのだ。(日刊ゲンダイ 1月21日)

 ◆ 築地移転で女将さん会を裏切り 希望の党失速と相次ぐ小池女帝の背信

 小池知事は、首相になりたい女の第一人者だが、今回も自民党の幹事長と年齢も同じでツーカーの関係にある内田ドンと組むことで、その布石を打ったといわれる。しかし小池女帝の派手なパフォーマンスも、いまや底を見られて、区長選に勝つには勝ったが、投票率は前回の54%から45%へ、得票率でも内田前区長の67%から今回は41%に下落した。

 第1回の都知事選挙では、築地の女将さん会に、築地移転の反対を匂わせて全面協力させたが、選挙後は一転、築地の移転に舵を切った背信行為。希望の党では、民進党首の前原と組んで新党結成に持ち込んだが、挫折。この時にも当時の菅官房長官とツーカーの橋下前大阪市長が「小池さんも前原さんも歴史に名を残す」と絶賛したが中途で破綻。立憲民主党誕生の引き金になった。

 ◆ 次の選挙の地歩を築いた維新と首都決戦に海江田不在の立憲 逃げた公明

 それにしても、この千代田区長選における、共産党や維新の公然たる、いがらし朝青候補の支援活動に比較して、立憲民主党は全く存在感がなかった。千代田区の事情に詳しい識者は「今回の区長選で旗幟を鮮明にした維新は、次の総選挙や都議選への地歩を築いた。最大の勝者は維新であり、その支援を得て健闘した、いがらし朝青」と指摘している。

 千代田区で共産党の支持を受けて、東京1区での当選を果たした海江田万里は影も形も見えなかった。千代田区の定数は区議会は定員25名だが、自民が14名、共産3名、公明2名、立憲2名、都民ファース1名、その他3名となっている。
 だが立憲の区議2名も一人は連合東京の意を受けて小池側に付き、今一人は共産党の自主的支持に乗った。地方選挙では自公の候補に乗る立憲の主体性なき姿を千代田区長選でも露呈した。東京都議会では、前回の2017年選挙で、定員127名中立憲民主党は、当選わずか5名である。

 自公連立の公明は一応自民の候補推薦の形を取ったが、支持者によると自主投票ということで、事実上なにもしなかった。立憲も公明も与野党に分かれてはいるが、京都市長選挙をはじめ自社公民連合で自民市長を応援する悪癖は依然として続いている。そういう実態を知ってか知らずか、次回総選挙で野党政権をなどと口走っている枝野立憲民主党首も世間から見れば笑いものである。

 東京都議会 定員127名 欠員1
 <与党系 98名>
   都民ファーストの会 東京都議団(46)
   東京都議会自由民主党(26)
   都議会公明党(23)
   無所属 東京みらい(3)
 <野党系 28名>
   日本共産党東京都議会議員団(18)
   都議会立憲民主党(5)
   無所属(都議会生活者ネットワーク)(1)
   無所属(自由を守る会)(1)
   無所属(東京維新の会)(1)
   無所属(表現の自由フォーラム)(1)
   無所属(旭の会)(1)

 ◆ 森田実の小池批判「希望の党」代表の二足の草鞋は愚行 「巧言令色鮮し仁」

 橋下氏の小池絶賛に対して、森田実氏は、小池知事の2017年の希望の党騒ぎを政治のモラルに反する愚行と以下のように批判した。

 ――東京都知事と「希望の党」代表の二足の草鞋は、政治のモラルに反する愚行であり、東京都民への裏切りです。どちから一つを選びなさい。「巧言令色鮮し仁」(孔子)
 小池百合子知事の希望の党結成と代表就任は、東京都民への裏切り行為だと思います。こんなことは、とうてい許されることではありません。東京都知事という職務は片手間でできることではありません。東京都には多くの解決すべき課題があります。その上、2021年東京オリンピック・パラリンピックは重い課題です。日本政府とともに東京都政の責任は非常に重いのです。とりわけ小池知事の責任は重大です。小池知事は東京都政に全力で取り組まなければなりません。

 しかるに、小池知事は全国政党を結成し、自ら党首に就任し、政権を担おうとしているのです。「二兎を追う者は一兎をも得ず」です。小池知事はどちらかを選ぶべきです。小池知事の今回の行動をみて、私の知人は「小池百合子氏にとっては、東京都政は政治権力への踏み台にすぎないのだ。1,300万人の東京都民への愛情が感じられない。東京都民をバカにするな!と言いたい」と語っていますが、同じ考えの人は少なくないと思います。――(2017年9月27日 「森田実 『世界研究室通信』122」)

 「巧言令色鮮し仁」(孔子)と言う言葉を使って、小池都知事を批判する方々は実に多いことをネット上で知った。とっくに化けの皮は剥がれているのだ。

 (世論構造研究会代表・オルタ編集委員)
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