安東自由大学に参加して      段 躍 中

- 東アジア市民社会と草の根の交流 -

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  「安東自由大学」のパネルディスカッションに参加しての雑感を記します。
 日中韓が集まり「東アジア市民社会と草の根交流」について討論したのですが、民間レベルのディスカッションとしては初めてではないかと、会場で言われました。中国人は私だけだったのですが、権重東・韓国元労働大臣といった「大物」も参加されていました。

 韓国の中国人社会で驚いたことは、在韓中国人はわずか2万4千人ということです。在日中国人(日本国籍を取得した方を入れますと)は70万人といわれているのに比べ、人数は多くありません。

 しかし、力強い。世界華商大会を日本より先に開催しています。少ない人口ながら、国際会議を主催できるというのは、パワーの象徴ではないでしょうか。

 また、韓国で生まれた第2世中国人が、「韓国のトヨタ」といわれる現代自動車の副会長となっています。日本では、まだそういうことは考えられません。日本より国際化が進んでいる感があります。

 安東とソウルのあちこちを見学しましたが、もっともショックだったことは、街の看板が殆どハングルで、漢字の看板は5%か多くとも10%でした。

 また、記念館や博物館でも、韓国語の他に、日中英が併記されています。しかし、中国語の間違いが結構ありました。

 安東自由大学のシンポジウムの時にも提案いたしましたが、漢字の看板を多く作ると、中国人が喜んで多く訪韓し、観光からはじまる交流が促進されるのではないでしょうか。

 中国語とは逆に、日本語は普及していると感じました。観光客は、日本人が一番多いため(二番目が中国人)、店員も簡単な日本語に対応しているところが多かったです。日本語がわかればどこへ行っても通じそうと感じました。

 また、韓国の大きな書店に行っても、日本の本はたくさんありましたが、中国語関連は少ない。中国の新聞は、まったく見当たりませんでした。ソウルの一番大きい書店で韓国で出版した中国地図を開いてみたところ、私の故郷である湖南省婁底市の「婁」を「楼」に間違っていました。

 とはいえ、中国の伝統文化の影響は田舎に行けば、すぐ感じられます。人口17万人しかなく、面積はソウルより大きい安東市を見学したとき、漢字で対句を書いた紙を貼っている村落を見て、すごく感心しました。

 安東礼節学校を見学したとき、1冊、記念にもらってきた『四字小學』という教科書では、以前中国で使われていた教科書と全く同じ内容が書かれていました。1ページに4字×4列の漢字を載せ、漢字の上にはハングルで意味を紹介しています。一行目は、「父生我身」・・・

 韓国と中国の関わりを途絶えさせることなく、日中韓で東アジアにおける更なる民間交流が必要なのではないでしょうか。例えば、安東自由大学のようなディスカッションが日本でも頻繁に開催されることを望みます。

               (筆者は日本僑報社編集長) 

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