恩返しを

堀内 慎一郎

 加藤宣幸さんと私との出会いは、修士時代に河上民雄先生からのご紹介でお会いいただいたのがきっかけだったと記憶しております。

 それからまもなくして、一・二ヶ月に一回程度のペースで加藤さん、山口希望先輩、岡田一郎先生と私の四人で都内某所に集まり、加藤さんから結成時の社会党や総評、あるいは江田三郎、構造改革派のお話を伺いながら、加藤さんの支払いで終電間際までウォッカを何本も空け、泥酔した挙句に加藤さんを一人で終電で帰らせるということを繰り返すようになりまして、ある日ついにご長女の真希子さんに怒られたことなどが懐かしく思い出されます。今から思うと、帰路に怪我や事故がなくて本当に良かったのですが・・・。

 もちろん、加藤さんにはご馳走になっただけではなく、私の数少ない研究業績を成立させるために貴重な証言をしてくださったこと、あるいは私を書生のようにしてくださった河上先生が亡くなって、その「偲ぶ会」の事務局を私が務めたとき、政治関係者の方から様々なご意見がある中で、そのプレッシャーから私を庇い、サポートしてくださったことなど、感謝してもしきれません。

 加藤さんという素晴らしい人格と知見を持つ「本物」に出会い、お付き合いをいただく中で、素晴らしい時間を過ごさせていただきました。また他者、特に自分よりも若い人や立場の弱い人との接し方など、人間として大切なことも教えていただきました。

 いま、お世話になった加藤さんに対してどのような形で恩返しをするべきで、私に何ができるのか、皆目見当がつきませんが、何かしなければいけないな、と思案している次第です。

 加藤さん、本当にありがとうございました。

 (慶應義塾大学大学院)

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