■農業は死の床か再生のときか  

放射能雲の下に生きる ~霞ヶ浦放射能汚染の実態~ 濱田 幸生──────────────────────────────────

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■霞ヶ浦放射能の汚染は深刻だ
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 毎日、梅雨ともいえない激しい雨にたたられております。雨はともかくとして、
日照時間が少ないのがいやですね。作物の生育にもよくありません。かといって
農業にとって、梅雨がなければ、そのほうがよほど大変なのですが。
 暑いときには暑い、寒いときには寒い、雨が降る時期には降る、台風は稲刈り
の後にしてほしいなどと、われら農家は天気に注文が多いことよ。

 さて、霞ヶ浦の放射能汚染の詳細なデータを入手しましたので掲載いたします。
計測者は、茨城県内水面試験場元場長の濱田篤信氏です。
 氏とはたまたま同姓というご縁もあって、親しくご教示頂いたことがあります。
長年にわたって霞ヶ浦を愛し、研究を重ねられた優れた研究者です。
 霞ヶ浦は多数の流入河川が広域に分散している特殊な構造のために、測定箇所
が多く大変な作業です。そのために本格的な調査にはまだまだですが、この苦境
の中、
ひとりの民間人として手弁当で測定して回られた濱田篤信氏の功績には頭が下が
ります。

 この濱田篤信氏の報告書を読むと、霞ヶ浦の放射能汚染の実態が浮き上がって
きます。以下、濱田氏のレポートに拠ります。
*「霞ヶ浦の放射線汚染」 濱田篤信
 http://www.kasumigaura.net/asaza/images/kasumigauranohousyanouosen.pdf
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■流域面積が小さい川(短い川)ほど高濃度を示す
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  環境省が2011年9月から10月の霞ヶ浦に流入する河川の川底のモニタリ
ング数値を高濃度順に並べたものをみます。
※ 図・上記「霞ヶ浦の放射線汚染」濱田篤信より
 環境省 2011年9-10月の各河川底質モニタリング調査結果の高濃度順

① 河川流量が大きいほど汚染濃度が高まる
 では、なぜ湖までの距離が短い河川のほうが汚染濃度が高いのでしょうか?
それは河川流量は流域面積の大小によります。そして河川流量が多いほど速やか
に下流、つまり霞ヶ浦に向かって流れ込むことになります。したがって、河川流
域が大きく、流量が多い河川ほど河川内にとどまらずに、短期に霞ヶ浦に流れ込
んだことがわかります。

 つまり、短い川(河川領域の少ない川)は、流れる水(流量)が少ないために
河川内に放射性物質を溜め込みやすいといえます。一方、長い川(河川領域が大
きい川)は、流れる水の量が多いために、常に下流に放射性物質を移動し続ける
ために河川内濃度は低くなります。

② 霞ヶ浦水系の農業潅漑用水の汚染濃度は高め
 また、霞ヶ浦流域の河川は農業用潅漑としても利用されています。田んぼに水
を河川や湖から取り入れる潅漑時期(3月下旬~9月)には流量が大きく、冬季
には流量が落ちます。

③ 水量が多い春から夏は線量は少なめで、冬季は多めに流量が落ちた分だけ、
河川内に溜まることになりますから、冬季には同じ河川でも放射能濃度が高めに
出ます。
 農業用水路は、河川や湖から引き込まれるわけですが、河川と違って水路底の
高低少なく平坦な構造をしています。そのために農業用水路は放射能汚染を溜め
込みやすいといえます。
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■既に小河川からの流入は相当に進行してしまっている
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 霞ヶ浦などの放射能汚染が複雑なのは、その原因がいくつもあるからです。原
因を川上からあげてみましょう。
① 水源地である森林地帯の放射能汚染の移動・・・茨城県の場合3000bq
(去年9月県北の測定値)

② 流域市町村の地上部放射性物質の下水への移動・・・最大検出地・那珂久慈
浄化センター 2号炉焼却灰 13,365bq/kg(今年5月測定)
*ただし、この数値は下水汚泥の焼却後の数値であって、これがそのまま水系に
移動するわけではない。
・茨城県環境放射線監視センター
 http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110620_03/index.html

③ 流域の里山から水田を経由して農業用水からの移動・・・未計測
 これらは、いったん河川に流入した後に、デッドエンド(終末点)である湖に
入っていきます。これが湖の底泥に蓄積されていくわけです。

 霞ヶ浦固有の条件としては、元来が陸地内部に封入された湾であったために、
外洋とのつながりがあったにもかかわらず、近年、逆水門で遮られてしまったた
めに巨大な水ガメ状態となり、湖内の汚染が外洋へと拡散することができなくな
りました。 つまり、汚染物質は逃げ場がなく、溜まる一方なのです。

 では、具体的に現在の河川の放射能汚染の度合いを見てみましょう。この流入
河川の測定で高い数値が出たのは以下です。(NPO法人「アサザ基金」測定)
 http://www.kasumigaura.net/asaza/03activity/01lake/save/bizengawa%20ke
kka.pdf

・土浦市備前川・小松橋付近(河口まで1.65km)・・9550bq/kg
・美浦村勝橋・清明川(河口まで3km)・・・・・・・・6250bq/kg

 一方、去年10月の環境省の測定で5500bq/kgあった土浦・神天橋の
新川では1260bq/kgと低くなっていることが分かりました。

 この汚染濃度の低下の原因はなんでしょうか。それは、小河川では川の流れる
速度が早いために、速やかに河口から湖へ放射性物質が移動してしまうからです。
 たとえば、もっとも高い測定値を出した土浦市備前川(資料参照※表の下から
3番目)は、流域面積が3.7平方キロと狭く、流入河川としては3番目に短い
川です。そのために流速が速く、速やかに放射性物質は湖まで到達したと思われ
ます。
※資料・前出「霞ヶ浦の放射線汚染」濱田篤信より
 表1 環境省モニタリングからの濃度倍加増率

 セシウム合計の変化をみて下さい。資料表の第1回目セシウム合計と、第2回
目の合計を比較してみると顕著に低下しています。
 去年の環境省第1回モニタリング調査では備前川は2600bqあったものが、
第2回では10分の1の221bqにと1桁急落しているのです。この差が霞ヶ
浦へ移動した分だと考えられています。

 2番目に高かった新川(※表の下から7番目)も同じく流域面積は15.6平
方キロで短い河川に属し、第1回目が5500bqから、2回目は4400bq
へと低減しています。

 このような小河川では濃度が低下する、つまりは既にかなりの量の放射性物質
が河口から湖へと流入してしまったということになります(*例外の小野川、清
明川については固有の河川構造があるのではないかとみられている)。

 現在、短い河川は既にかなりの量の放射性物質を湖に移動してしまっており、
今後さらに流域面積の大きい河川の移動が進行するということになります。
 これを防ぐには、河口付近になんらかの放射性物質除去装置を作ることです。
予想以上の速度で、河川からの流入が続いている現在、手を打つなら今です。

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■縦割り行政が放射能汚染の防止策を妨げている
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  霞ヶ浦の管轄は国交省です。「国土交通省・関東地方整備局・霞ヶ浦河川事務
所」という長ったらしい名前の部署が担当しています。湖畔を歩くと、よく国交
省のパトロール車と出会います。 http://www.ktr.mlit.go.jp/kasumi/

 ただし、環境政策は環境省、環境教育は文科省、内水面漁業は農水省で、茨城
県にもそれぞれ管轄する部署があります。消費者が湖の魚を心配する時の窓口は、
「農水省・消費・安全局消費者情報官・消費者の部屋」が受け付けています。た
だ、木で鼻をくくったような回答しかしてませんね。
 http://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1105/a02.html

 また茨城県も県としても霞ヶ浦水産事務所があります。上部組織としては漁政
課です。 http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/nourin/suisanji/
 http://www.pref.ibaraki.jp/nourin/gyosei/gyoseika.htm
 だんだんイエローページみたいになってきましたが、まぁ典型的な縦割り行政
で、実にややっこしいのです。

 今回のような放射能問題で漁業がピンチだとなると農水省の管轄にころがりこ
みますが、できるのは魚介類の監視と出荷制限までです。 環境省も一緒で、環
境測定はしても、それを浄化する力がありません。かんじんの地元行政である茨
城県は、臭いものに蓋をしたいようでスッキリとなにもしていません。

 茨城県は、霞ヶ浦から取水している水道水に検出されなければ重い腰をあげな
いつもりでしょうか。そうなったらもはや手遅れなのですが。 となると、消去
法で放射能による水質改善をする権限は国交省となるわけですが、未だ指針すら
なく、果たしてやる気があるのかないのかさえ分からない状況です。

 こういう時にこそ政治主導とやらに期待したいのですが、与党の選出議員殿た
ちは内部抗争に打ち興じて霞ヶ浦などという票にならないものには振り向きもし
ません。 というわけで、霞ヶ浦は忘れられた存在になりかかっており、56本
の河川から日々放射能が流入している状況です。

 いうまでもなく、いったん湖に放射性物質の流入を許してしまえば、もう対策
のとりようがありません。このような行政の不作為により、大きい方の湖である
西浦だけで、約172平方キロ、最大水深7m、小さいほうの北浦は面積約36平
方キロ、最大水深7m、合わせて208平方キロにおよぶ日本第2位の湖の底泥
の中に放射能は降り積もって行くことになります。

 下図が霞ヶ浦の現在の放射能汚染状況です。

●環境省・霞ヶ浦に流入する河川底泥の汚染状況
 場所    2011.09~2011.10セシウム合計  2012.02セシウム合計
 西浦湖心         221Bq         900Bq
 北浦釜谷沖        130Bq        1000Bq
 玉造沖          330Bq        1300Bq
 外浪逆浦         184Bq          91Bq

※ 図・前出「霞ヶ浦の放射線汚染」濱田篤信より 表2 霞ヶ浦北浦にお
けるセシウム濃度の分布

 内水面研究者の濱田篤信氏によれば、「(環境省第1回モニタリング時)
2011年9月の時点ではすべての地点で330bq/kg以下であったが、
2012年2月の今回は霞ヶ浦湖心、玉造沖、釜谷で一気にセシウム濃度が高
まった。」(同上)

 「河川から流入したセシウムが湖内に流入し、沖側に移動していることを示し
ている。湖心に近い玉造沖、湖心では5か月で4倍に、北浦釜谷では8倍に急上
昇した。」(同)

 このように霞ヶ浦の放射能の堆積は時を追うごとに高まっており、今この時点
で湖への流入を阻止しなければ、霞ヶ浦の放射能汚染は極めて長期に及ぶものに
なっていくでしょう。しかしこの対策をとるための壁は、実は行政組織の縦割り
の壁がもっとも厚いのかもしれません。
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■茨城県は霞ヶ浦の放射能汚染を隠蔽せずに、
  しっかりとした測定をしろ!
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 霞ヶ浦に放射能が蓄積されつつあるというのは事実です。これは地上と異なっ
て徐々に拡散・消滅していくことなり、一定期間増加し続けると見られています。
 それは湖沼が、河川のデッドエンドである場合が多いからです。陸上の汚染は
下水道を通じて河川に入り、そして湖や海に達し底泥に沈殿します。

 霞ヶ浦の場合、大小56本もの流入河川がありますが、それを調べて見ると放
射性物質が徐々に河川から湖に移動してきていることがわかってきました。
 これは被曝した湖沼、河川すべてに共通する現象で、京都大学の調査チームに
よれば、年間数キロの速度(*この移動速度は河川の高低差や流量により異なり
ます)で海や湖に移動しています。

 つまり、2年から5年のスパンで、河川の放射能汚染は湖沼や湾、あるいは沿
岸に流入を続け、放射性物質は湖底に蓄積され続けることになります。
 このような動向は残念ながら、政府、自治体の不作為によって放置され続けて
います。環境省は56河川のうち24河川と半分ていどの調査しか行わず、それ
も各河川1ヶ所のみの調査でお茶を濁しています。

 茨城県に至っては、あろうことか調査すらしない方針でしたが、環境モニタリ
ング指標に入ったために渋々重い腰を上げざるをえませんでした。多分、茨城県
はおざなりの調査で済ませようと考えているはずです。「もう茨城には放射能汚染
はないですよ。安全ですよ」と、安全宣言を早く出したい茨城県にとって2年先
にピークが来るような霞ヶ浦の放射能汚染は「見たくない現実」なのです。

 しかしこれでは悪しき隠蔽体質と批判されてもしかたがありません。「安全・
安心」は、測定せずに隠すことからは生れません。臭いものに蓋というお役人的
発想ではなにも解決しないばかりか、それが露顕した場合の不信感は増大します。
 仮に2年後に高濃度の線量が霞ヶ浦の湖底の泥から検出され、底魚にも高濃度
被曝が発見され、それをNHKあたりが報道したらどうしますか。
 
まちがいなく風評被害は再度爆発します。そして情報を隠蔽したことが消費者
の印象を決定的に悪くするでしょう。茨城県は大変な勘違いをしています。県は
霞ヶ浦の内水面漁業の風評被害を恐れています。茨城県では既に沿岸魚が風評に
よって壊滅的被害を受けました。
 
そして県は対策として、政府基準値100bq/kgを半分にした独自基準値
で安全を訴えようとしています。私はこの方針も間違っていると思っています。
 基準値など軽々しくいじるべきではありません。100bqは国が安全を保証
している数値なのですから、堂々と守ればいいのです。

 売れないからといって自主基準を作って切り下げても、量販などの流通はそれ
をあざ笑うかのようにゼロベクレル宣言を発しています。流通が5bqだ、いや
ゼロだと付加価値競合をしている時期に、県がたかだか50bqごときにしてみ
てもなんの意味もないばかりか、自分で自分の首を締めているだけです。まった
くバッカじゃないかと思います。

 茨城県は、福島第1原発事故における政府の情報隠しがどれほど大きな失敗で
あったのか、まったく学んでいません。菅内閣は初動の遅れにより、事故を人為
的に拡大させたばかりか、放射性物質の拡散情報を隠蔽するという犯罪的な行為
により後世まで悪名を語り継がれることになりました。

 政府中枢が首都圏全域の危険を知り得ていたことは、それが漏洩したことが原
因と思われる小沢一郎氏の放射能逃避行で明らかです。小沢氏は、岡田、枝野両
氏が現地視察時に放射能防護服とマスク、ゴム手袋といった重装備で赴いたこと
の裏面情報を知り得ていたのです。だから、洗濯さえミネラルウオーターでさせ
るという徹底ぶりだったわけです。

 自分だけ助かればいいという小沢氏は論外として、行政が測定すべきをサボタ
ージュするならば、霞ヶ浦の真の放射能汚染の実態が分からなくなり、「正しく
恐れる」ことができなくなります。私自身、茨城の農業者として丸々数か月の売
り上げが半減するという被害に合いました。
 
だからこそ、風評被害は、情報隠蔽によって起こることを肌身に染みています。
正しい情報提供が去年の3月から5月にかけてあれば、私たち生産者がこれほど
までに苦しめられることはなかったのです。

 まずは茨城県は計測を56河川のすべてで、水源地及びその周辺森林の放射線
量を明らかにし、さらに中流域、河口付近と分けて、今後最低5年間にわたって
測定すべきです。同時にそこから取水する農業用水路の測定もせねばなりません。
特に霞ヶ浦、北浦の湖底の泥の計測は、採取作業が困難なために行政が主体で行
わねばなりません。

 現在NPO法人「アサザ基金」や濱田篤信氏などによって市民が自主的に計測
作業をしています。「SAVE霞ヶ浦!霞ヶ浦を放射能汚染から救え」
 http://www.kasumigaura.net/asaza/03activity/01lake/save/index.html

 環境省や茨城県は、このような行政より先行する市民の動きに対して支援を行
い、自らも徹底した計測をするべきです。リスク・コニュニケーションにおいて、
情報の隠蔽とみられることは避けるべきが鉄則なのですから。

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■100万人が飲む飲水取水ポイントまであと2キロ
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 霞ヶ浦の放射能汚染は事故が起きた去年よりも今年、そして今年よりも来年と
ひどくなっていきます。これは3.11をピークとして徐々に減少する傾向にあ
る平地の農地とは異なっています。

 農地は、私たち農業者が実地で証明しているように、「耕す」ということによ
り、地表下5cmまでに溜まったセシウム層が砕かれて、土壌中の粘土に取り込
まれていき、線量は減少の一途を辿ります。実にめでたいことで、この「土の神
様」のおかげで、私たち東日本の農業は救われました。

 それに対して、変化しない地形もあります。それが森林地帯です。森林は去年
の落ち葉層にセシウムが取り込まれたまま、分解して地表下に蓄積されていきま
す。ですから、雨で山を下って水系に流れ込んだもの以外の大部分はそのまま森
林内にあるままです。

 そして、これがいちばんやっかいなのですが、周囲の流入河川から集めて「溜
め込んで」線量が増加し続ける湖です。これは一般と逆な経年で増加するという
常識はずれのパターンを取りますから、喉元過ぎて気分的に落ち着きを取り戻し
た数年後に気がついてみたらとんでもない数値が出るということになります。

※ 図・NPO法人アサザ基金 シンポジウム資料より
 http://www.kasumigaura.net/asaza/images/shinpopp.pdf

 14)霞ヶ浦・北浦流域へ降下した放射能 セシウム134・137

 茨城県内に降下したセシウム134・137の分布図に、霞ヶ浦に流入する5
6本の河川を赤線で示したものを見ると、土浦から阿見にかけての放射性物質の
降下が多かったことがわかります。次に放射性セシウム分布図に、霞ヶ浦・北浦
の上水の取水ポイントを重ねてみます。

※ 図・上記資料より
 24)霞ヶ浦・北浦からの給水MAP

 霞ヶ浦(西浦)には2カ所「土浦入り」という地点にあります。この地名でも
分るように、土浦市市街地のすぐ外にあるわけです。

 この取水ポイントからわずか2km前後上流にある備前川小松橋で12年3月
8日市民モニタリングで測定した値があります。この地点が上図に黒い星印でド
ットしてあります。
・備前川小松橋付近セシウム値・・・9550bq

 衝撃的数値です。旧暫定規制値の土壌規制値である5000bqを軽々と2倍
せんとする数値です。私はこの数値を聞いた時に唖然としました。おそらく茨城
県で測定された放射線数値の最大クラスではないでしょうか。

 そしてあろうことか、このホットスポットが、霞ヶ浦100万人上水道の取水
ボイントの上流2キロ弱の地点に存在していることをです。上図の黄色エリアの
広さをご確認ください。
 
これまで何度か書いてきたように湖内の線量は、わずか1年間で1桁はね上が
りました。一番顕著なのは霞ヶ浦釜谷沖で、2011年の環境省モニタリング時
130bqが、2012年モニタリング時には1000bqに急上昇しています。
 つまり、河川からの放射性物質の流入が増加し続けていることを示しています。

 この間の内水面研究者の研究によれば、事故から2年目、(来年2013年)に
ピークを迎えると予測されています。その場合、どんな汚染分布になるのか、汚
染の度合いを示す化学的酸素要求量(COD)の分布図で予測してみましょう。

※ 図・上記資料より
 27)底泥の濃度の差分図(COD)
  汚染濃度が高い所が、見事に取水ポイントに重なってしまっています。
 まぁ、わが茨城県はよりにもよって、こんな一番汚い場所から汲まなくてもい
いのにと思いますね。そのために土浦市のジアソー消毒濃度は全国でも高い部類
に属しています。

 それはさておき、CODが溜まりやすい地点というのは、同時に放射性物質が
溜まりやすい地点であるわけで、おそらく来年に向けて上図のような放射能汚染
の拡大がみられると思われます。
 つまりは、土浦市、つくば市などの100万人がそこから水を飲んでいる取水
ポイントまで危機は2キロを切ったということになります。

 国は、湖の所管の国交省が言うように「放射性物質は法で定める汚染物質に該
当しない」(!)などとウルトラバカ官僚なことを言っていないで、直ちに対策
を打つべきです。 (筆者は行方市・在住・農業者)

※ この論考には図表があるのですが技術的な制約のため掲載できません。分かりに
くい文章になっていますが、参考資料のホームページをご参照願います。

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