【オルタの視点】

終わりの始まりか 安倍3選政権

羽原 清雅

 第3次の安倍晋三政権がスタートした。
 2021年9月まで、あと3年間の統治をゆだねることになる。3年間は長い。緊張ある日本の国際環境、国内情勢をどのように切り盛りするか、目を離すことはできない。
 だが、この長期政権、生まれた早々にしては、具体的な問題が暗雲を感じさせ、期待感が乏しい。それほど誇れる業績の首相でもなかった桂太郎の在任期間を追い抜いて、史上トップの長期政権になるといわれてはいるが、さてどうなるか。かなり大切な3年間であり、他人事ではなく懸念も走る。「裸の王様」にならないよう、健闘を期待しよう。

          <課題山積、政情不安定>

*多忙な日程 政治のみならず、首相に絡む周辺行事もかなり立て込んでいる。
 《2018年》 10月には、「包囲網外交」などと対立環境を高めていた中国に行かざるを得なくなった。11月には、ASEAN(東南アジア諸国連合)、APEC(アジア太平洋経済協力会議)、G20(主要20か国・地域)の各首脳会議が開かれる。報道は、これらの内容について部分的表面的に伝えるが、大局的な各国の取り組みや大きな流れなどはあまり知らせない。影響力を増す中国への対応は読み違えてはなるまい。
 10月下旬の臨時国会で、憲法改正案を提示するかどうか。連立の公明党の協力は断念して、党単独での改憲案を示そうとしているようだが、容易ではなく、独走してでも踏み切るか。ここを見逃せば、来年1月からの通常国会を考えるだろうが、この国会はそれどころではない多数の課題を抱える。

 《2019年》 通常国会はまず予算案の審議に始まる。3月末には成案を得たい。4月には4年ぶりの統一地方選挙で、国会議員たちも足場つくりに余裕はない。果たして改憲案採決の挙に出られるか。
 そして、改元の発表があり、4月30日に天皇の退位があり、5月1日には皇太子が新天皇に即位するなど、皇室行事に追われる。海外からの首脳たちも招かれよう。6月28日には大阪でG20首脳会議、8月28日には横浜でアフリカ開発会議が開催される。
 その間の7月には、3年ぶりの参院選。与党は3分の2議席を死守したいところだが、そう簡単ではあるまい。そして、10月には消費税を10%に引き上げるかどうか。安倍首相は財政状況打開のために強い決意を見せたが、国民の、とくに低所得層の消費意欲は下がり、強い反発を招きかねない。

 《2020年》 7月24日から東京オリンピック、8月25日からパラリンピックを迎える。警備なども大変だが、折からの猛暑対策、それまでの会場整備など、大会にたどり着くまでの準備、その政治的な役割、責任も相当な負担になる。また、オリパラ後に見舞う不況も十分に想定されよう。

 《2021年》 通常国会等もあるが、9月30日の自民党総裁の任期が満了するので、政局はすでに早くから各派各様に動きだして、安倍首相の影は次第に薄らいでいるだろう。次の政治の方向が話題の中心になる年に違いない。

          <暗雲下の政治現況>
*すでに不安材料 政権発足の冒頭には、野党などから批判も出るものだが、今度はその前に政権内部からボロが出始めたところに特異性があった。たとえば・・・
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・総裁選の地方での不人気'' これは改めて、触れたい。数字に表れた予想以上の不評だった。

 ・沖縄知事選の敗退 政権、自民党総がかりで、亡くなった翁長県政打倒に全力をあげたが、8万票の大差負け。安倍政権は、予算配分の削減、最小単位である地域への直接の国の予算配分、基地埋め立ての話し合いもない強引さ、そしてなによりも嘉手納以外にもう一つの恒久基地建設といった沖縄県民そっちのけへの怒りが後継知事つくりの票になったといえよう。

 ・組閣・党人事のおかしさ 組閣では、安倍支柱の温存が目立ったが、モリカケ問題や公的文書をめぐる責任を問われる麻生太郎副総理・財務相の留任が最大の不評。新閣僚は12人と多いが、「女性が輝く社会つくり」を政権のうたい文句にしたものの、女性閣僚の起用は以前の5人から4、3、2、1人と減り続け、ついに片山さつき地方創成相のみだった。また、新入閣の地方議員出身が6人と多く、これまで中央での活動の場面はほとんど見せておらず、60歳代後半ぞろいながら、いささか緊張のせいか暗いイメージが強い。
 すでに柴山昌彦文科相が、教育勅語の評価発言で追及されたように、相変わらず歴史音痴というか、物事の認知度の低い時代錯誤の感覚の人物が多い。すでに、失言候補には、目立ちたがりの片山さつき大臣、重責のわりに心もとなく、すでに慰安婦発言をとがめられた桜田義孝五輪担当相らもいて、国会答弁を不安視される。
 党側には、国会でカネ、不適切発言や答弁ぶり、などを追及されて日の浅い甘利明選対委員長、下村博文改憲推進本部長、稲田朋美筆頭幹事長などの首相取りまき組を起用、名誉回復の機会を与えた印象だ。

*不祥事の行方 安倍政権の強みが、「お仲間」「お友達」の結束とすれば、それがまた弱みにもなっている。前段で触れた党内の幹部人事がそのことをよく物語っている。

 ・モリカケ問題は、かなり重く有権者の気持ちに残り、安倍首相の「釈明」とか「公平・公正・謙虚」とかのことばとは裏腹に繰り返される言い分の数々は、向こう3年間疑惑のままだろう。従って、総裁選や組閣などの人事の終えたところで、やっと記者会見に出てきた加計孝太郎理事長だが、むしろ「安倍ルートによる策謀」の印象を強めている。取材力のない野党の追及ぶりは期待できないが、ひょこっと新たな証拠、証言が出てこないとは限らない。今後も、疑惑と追及の手は収まるまい。

 ・それ以上に重要なのは、公的文書をないがしろにして恥じない官僚群。この管理強化が進められてはいるが、どこまで廃棄や偽造、隠ぺい、改ざんはなくなるのか、わからない。公文書は歴史を確認する材料であり、国民への忠実性の証しであるという意識が官僚に育たない限り、またぞろ問題を引き起こすに違いない。そして、その追及の際には、安倍政権時代の実態があらためて追及され、またいつまでも問題視されるだろう。

 ・官僚の汚染度の高まりは、財務相の責任放棄、財務次官のセクハラ、文科次官の裏口入学問題、同省幹部の連続的供応、あるいは職務上の虚偽の答弁や国会に対する不誠実対応など、恒常的と思わせる事態を生んだ。強大化した内閣人事局による官僚支配が、強い者になびきやすい体質を作り上げた。これも当面、直らないだろう。

 ・沖縄にみられる住民無視の恒久基地建設を進め、地位協定のおかしさを改めようとしない外務、防衛省、アンチ政権の自治体への予算削減を恥じない財務、自治省・・・など、行政のゆがみも、当面は変わることなく続くだろう。

*外交の行方定まらず 安倍首相の自慢である外交は、先が読めず、不安材料が多い。首相は3選後、課題として「戦後日本外交の総決算」を挙げたが、当面、その成果は見えてこないだろう。表面的に言う「親密」「経済協力」の前提として、双方の違いを理解しつつ、その納得を育てる意欲がなければ、本来の外交は成熟しない。この点、安倍政権の外交はどうか。

 ・対米関係 米国の中間選挙は、トランプ大統領の中間評価になり、これからの米国のありように大きく関わってくる。とりわけ、安倍・トランプの親密関係を売りにする安倍首相にとって、今後の対応が大きく揺れることにもなる。通商問題、北朝鮮問題をはじめ、課題は大きい。また、トランプは個人的関係だけでは動かず、経済人としての計算に走るので、さらに難しい。

 ・北朝鮮との和平 金正恩とトランプの関係は、米中間選挙の結果を見、その後の展開を見ないとわからない。変り身の早い強気の人物同士、また簡単にはいかない核廃絶をかけた交渉であり、いずれも世論を意識して動く課題でもあるので、簡単ではない。その動向で、安倍首相が動けるかどうか、だろう。彼の自主判断の余地はほとんどなく、この問題もトランプ追随だ。
 また、拉致問題打開後の日・北関係、という位置づけでいいものかどうか。拉致問題打開がない限り、交渉が始まらない、との日本政府の姿勢でいいのか。これは、交渉前の建前だけで、今後緩む余地を持たせたものなのか、あるいは対決のための壁であるのか。韓国仲介による、時間をかけた協議でもいいし、国交容認を前提とした交流の開始でもいい。あくまでも交渉の糸口を開く姿勢がない限り、この問題は打開できまい。
 拉致された家族たちは、本当に対決姿勢を求めているのか。ややゆとりある対応で、韓国なり中国なりの仲介が必要ではないか。また、その国はアメリカではなく、対日戦争を経験した、苦しみのあったアジアの国の方がいい。もちろん、日本側の歴史的和解の姿勢があってのことにはなるのだが。

 ・日中関係の打開 安倍訪中は望ましい。しかし、大きな信頼関係回復は望めまい。これまでの日本の包囲網外交、中国の日本海域や南シナ海進出など、両国の不和状態が打開されるのは安倍時代後になるのではないか。信頼関係の醸成と両国民の直接的交流、まずその風土をつくり、親しみを持てる状態のうえで、外交交渉が必要だろう。中国の今は、米国を意識し、その配下的な日本を好まなかろうし、経済的優位にまかせた姿勢はかたくなである。

 ・ロシアとの関わり プーチン大統領は突然、北方領土問題の前に、前提条件なしの日ソ平和条約締結を持ち出し、想定外だった安倍首相はたじろぎ、一歩引く形になった。一枚上手、の印象だ。日本は2島、4島の返還云々というが、ロシアは適当にあしらい、その気は見せていない。領土というものは、大小は問わず、そう簡単に動くものではなく、日本の首相は、打開の道が閉ざされたままであることを知りつつ、国内向けに発言しているのではないか。この問題は、3年間のいのちを得た安倍政権時代には、まず動くまい。

*経済は大丈夫か この問題は、次の項でまとめて触れたい。

          <それでも、安倍政権は強い>
 安倍政権の問題点を指摘してきたが、かなりの人たちが感じていることを整理したに過ぎない。ただ、安倍政権を支える環境は極めて強固である。いわば、≪安倍政権の援軍≫たるものを、いくつか整理しておこう。向こう3年間を支えていくこれらの環境は、あまり変わらないのではあるまいか。

*制度の「援軍」 まずは選挙制度。小選挙区制度は、大きい政党には得票率以上の議席をあたえて「一強」状態を作る。また、1区当選ひとりの制度は、政党幹部、とくに総裁に方針決定や人事、カネなど、絶大な権限を与えて好みの人選を可能にし、その議員は柔順に従い、ものを言わないので、統率しやすい。候補者一人の制度なので、党の公認を取り付けるためには逆らうわけにはいかない。概して思いのままに立法の方針を決め得る。これが、安倍体制の強さをもたらしている。
 首相官邸に権力を集中することに成功して、内閣人事局は官僚抜擢に発言権を握り、思いのままに官僚を扱えることになる。疎外されたくないし、出世も欲しい。人事権を握る首相集団は強いのだ。

*野党の「援軍」 民主党政権の失敗は、当分二度と政権を持たせたくない、という不信感をもたらし、そのせいで当選者が増えない。当選数が少なければ、発言権は得られず、伸びたくても、魅力をかきたてることはできない。万年野党化である。しかも、少数党がいがみ合い、原発問題などの党内対立の問題は避けて通り、統一見解を示そうとしない。ときに、大与党にすり寄ろうとする。
 政党の組織強化、政権への堅実な方向明示とアピール、人材の育成、追及テーマの徹底した調査、政権攻勢の手法の研究など、極めて不十分。モリカケ問題の自前の材料を求めきれず、メディア情報に依存した姿勢など、政権への打撃を減殺させていた。
 野党には気の毒だが、政権はその維持をゆったりと許され、「一強」にあぐらをかき、選挙での全体的な敗北などあまり警戒しないで済む。政権への戦略、当面の戦術も弱いのだ。
 こうした状況が、野党が民意としての不満に近づかせず、政権の跳梁を許すことになる。

*脅威の「援軍」 北朝鮮が核、さらにその運搬ミサイルを開発して、日本の脅威を誘う。また、中国が軍備を拡張し、尖閣周辺に軍部の艦船を、また日本海や太平洋の領海近くに大量の漁船が出動すれば、警戒心を高める。そこに、米国が危機をあおり、日本が最新の軍事装備を備え、沖縄の基地を増強するよう求める。「同盟」を名乗る以上、言うとおりにする。
 だが、一方で、財政の膨張のみならず、相手国や近隣の諸国からは日本に対する警戒の念を強めさせ、親しい平和的外交を一歩後退させる。しかし、その方は明確に見えてこないため、米側の要求の方が優先する。詰まるところ、脅威警戒のための軍事最優先の政策がとられ、時の政権を支持する空気が高まる。

*経済の「援軍」 アベノミクスはプラスかマイナスか。首相が自ら高い評価をアピールし続けるが、都合のいい数字ばかりを挙げがちだ。例えば、税収増24兆円と威張るが、国と地方の合計で、就任の2012年度と昨17年度の差額は15兆円、しかもそのうち7兆円は消費増税による。自民政権以前と現在の名目国内総生産(GDP)は、58兆円増というが、基準改定の効果などで30兆円以上もカサ上げされている。舌先3寸気味だが、一般には、そんなものか、いい線行っているじゃないか、と受け止められる。このような主張が、実態とはかい離していても、「野党時代よりマシ」となり、安倍体制をテコ入れする。
 実際には長い眼で見ると、不安が多い。アベノミクスを支える国債は日銀が買い続け、価格も上昇する。その分、国の借金は増える一方だ。国の利払いに不安が出れば、海外を含め投資家が見限るだろう。5年半も異例に長く続く大規模な金融緩和だが、金融は正常化せず、マイナス金利が続く。国内企業の業績は株価も高く、好調のようだが、日銀の短観は連続悪化しており、企業は景気の先行きを懸念し始めているようだ。
 年金、福祉、介護、医療など少子高齢化対策よりも、まず目が向くのは法人や富裕層への優遇。トランプご期待の兵器、軍事機器など、防衛強化の名のもとに財政支出も惜しまない。
 だが、野党などの追及は弱く、また対抗案も出されず、トータルとしての経済の解明が広く国民に届かないことで、安倍政権の持続を助けている。

          <世論とかい離した総裁選挙>

 自民党内の総裁選挙は、一般の国民とは別世界の結果、ではあるが、①国会議員 ②自民党員 ③一般国民(世論調査) に表れた数字を見ると、一般の有権者と自民党総裁、つまり首相との考え方が、いかに離れているか、にあらためて驚く。
 3選された安倍総裁・首相は、党内の信任を受けたことで改憲に取り組む、という。だが、世論調査によると、自民党内でも党員と首相との間には政治姿勢において相当の違いが見られ、まして一般の有権者とはまるでかけ離れた数字が示されている。
 つまり、首相がこうしたかい離状態を理解せず、政治の方向を進めていいのか、謙虚に世論というものを考えなくていいのか、と思わざるを得ない。選挙で第1党になったから、何でもできるのではなく、権力を持ったのだから、広く、深く世論の動向を見定めよう、とすべきではないのか。「終わりの始まり」状態に、無茶なアクセルを踏まないで、せめてあと3年間を、国民と共に歩こう、くらいの思いに近づいてほしいものだ。

 以下、数字で見ておこう。ちなみに、自民党党員党友は107万人弱で、投票率は61.74%なので、約60万人が参加したことになる。

*3選与えた自民党 安倍3選を決めた自民党総裁選挙。
 安倍か、石破かー―結論はわかっていたが数字としての出方が注目された。

       国会議員票  党員党友(地方)票   計
 --------------------------------------------------------------
  安倍   329(81%)   224(55%)    553(68%)
  石破    73(18%)   181(45%)    254(31%)

 各紙の報道を見ると、安倍側は国会議員を派閥単位で確保できて当然の勝利としたが、予想より8票ほどが石破に流れ、隠れた「アンチ安倍」がいた、と指摘した。また、地方票では石破側が10県で安倍票を上回る善戦だったとし、次期総裁選への切符を手にした、と指摘した。
 つまり、安倍の人気は前触れほどではなかった。石破氏は党内では新党が足りないが、地方での人気はまだ続いている、というのだ。

*争点への自民党などの反応 総裁選挙前の9月11日付の朝日新聞によると、自民党改憲案を次国会に出すことの賛否は、自民党支持層では賛成53%、反対31%で、3割が反対である。一般では、賛成32%に対して反対49%だ。自民党内に31%もの反対があることに驚く。
 また、総裁選挙での争点として論議してほしいのは、

               安倍支持者  石破支持者
 --------------------------------------------------------
  ① 景気、雇用など経済問題  33%    ③ 15%
  ② 社会保障         20     ① 33
  ③ 外交、安保問題   19     ④ 11
  ④ 財政再建、税制   11     ② 21
  ⑤ 災害対策         10     ⑥  8
  ⑥ 憲法改正          5     ⑤  9

 となっている。つまり、安倍、石破の双方とも、「改憲」への関心がかなり薄いことがわかる。それだけ、生活に密着した緊急性の高い課題が山積している、ということだろう。
 安倍首相の最大の宿題は、憲法改正ではなく、国民の意に沿った各種の問題、ということになろう。
 ついでに示せば、辺野古移設の賛成は31%に対して、反対は45%、またモリカケ問題に対する安倍首相の説明に納得は14%、納得しないは76%にのぼった。
 「民意に沿った政治」とは、言うは易く、行い難し、というところか。
 権力の姿勢を見抜く力を持たない国民は、結果的に割を食うことにもなりかねまい。

*総裁選挙後の反応 総裁選挙後の読売新聞(9月2日付)、朝日新聞(9月11日付)、組閣直後の毎日新聞(10月8日付)の世論調査を見てみよう。
 内閣支持率は、読売が支持50%、不支持41%。朝日が41%対38%で、両紙とも支持の方が多い。組閣後の毎日は支持率37%、不支持率40%で、3月以来7回連続で不支持が上回っている。朝日調査では、7ヵ月ぶりに支持が不支持を上回った。各紙の支持、不支持の違いが面白い。

 改憲志向は、明確に支持されていない。朝日は前述したとおり、改憲の消極意見が強かったが、この点では各紙共通の傾向だ。読売は、次期国会への改正案提示に賛成36%に対して、反対が51%。首相の言う9条への自衛隊明記も賛成39%、反対43%で、これまでの結果を逆転させている。毎日も、国会への改憲発議について、急ぐべき19%に対して、急ぐべきでないが65%。総裁選での、首相の意気込みにブレーキをかける世論の傾向だろう。
 辺野古移設について、朝日は賛成31%、反対45%、毎日も賛成30%、反対45%で、読売も評価34%、評価しない47%。世論は首相の意に反して、沖縄知事選の結果を支援した格好だ。
 毎日は、麻生財務相の留任に不評価61%、評価25%と不評だった。
 全般に、世論の傾向は「終わりの始まり」を思わせ、長期政権の手口に「飽き」を見せているように思われる。

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「終わりの始まり」としての安倍政権だが、決定打が出るにはもう少し時間を必要とするだろう。しかし、「ハダカの王様」として、これまで通り、この3年間を過ごすとなると、国民はつらい。
 当面の政治日程のピークは、東京オリンピックの時点だろうが、未来に禍根を残さない政治のかじ取りをお願いしたい。頑固一徹の政治姿勢は「確固たる姿勢」にも見えるが、長く見続けると、有権者国民の目も「多様性欠如」「民意不理解」「視野狭窄」「右傾一筋」を見抜き始めているのではないかいか。

 (元朝日新聞政治部長)

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