【沖縄の地鳴り】

編集後記と辺野古関連月表 2016.2.18〜3.17

仲井 富


<編集後記>

 2月から3月にかけての最大の動きは、国と県の取り消し処分をめぐる訴訟が急転し、工事を中止して話し合いを行うという和解が成立したことだ。しかし4日後の4月7日には、国は文書は翁長知事の埋め立て承認取り消し処分は違法だとし、県に対して15日までに埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求めている。「地鳴り」のなかで「澤藤統一郎の憲法日記」が端的に示している。これが酷薄アベ流「ダ・マ・シ・ウ・チ」なのだ。安倍政権の参院選最大の課題は、沖縄の参院選での島尻当選なのだ。宜野湾で勝ったが、あの歯舞色丹さえ読めない、しかも沖縄のポスター配布で公選法違反で告発され、落選運動第一号に指名されている島尻擁護の休戦なのである。

 しかしあれだけの高姿勢を翻しての工事強行を中止せざるを得なくなったのは、すでに600日を越える座り込みを中心とする全国に広がった運動のの成果でもある。その座り込みを撮り続けた、井上智恵監督の映画「戦場止みぬ」は戦後70年の視点で、先頭に立つ文子おばあの闘いを描くが、条件派にも温かい眼差しを向けている。その対談を見てほしい。

 今回から沖縄現地と日本各地の辺野古反対ブログを紹介していきたい。名護市辺野古への埋め立て用土砂採取計画に関連し、徳之島町の南原海岸で鹿児島県外の業者が計画している土砂の積出施設の建設について、同海岸に漁業権を持つ徳之島漁業協同組合は、3月25日、臨時の総会を開き、あらためて施設の建設に同意しないことを全会一致で決めた。関連する動きを三重等のブログで紹介した。デモ以外にも連帯の闘争はあるのだ。本土の護憲運動に厳しい目をむけたのは「ヤマヒデの沖縄便り」だ。本土側の護憲運動に対する違和感を覚えるという眼差しは鋭い。

 辺野古新基地反対闘争はすぐれて環境問題であり、あのジュゴンのサンゴ礁の海を埋め立てで破壊するなという視点こそが重要だと指摘してきたのは河野道夫氏だ。彼の「宜野湾の敗北(下)〜環境問題の軽視〜」という指摘こそ米軍70年の支配下における様々な沖縄全土の恐るべき環境汚染を告発するものだ。その延長線上に辺野古の豊かなサンゴの海を守るという運動がある。(編集部 仲井富)

<辺野古関連月評 2016・2・18〜3・17>

◆16・3・16
 総務省の第3者機関「国地方係争処理委員会」は、沖縄・宜野湾市のアメリカ軍普天間基地の移設問題をめぐり、翁長知事が行った審査申出を受理したと発表した。
 翁長知事は、国が裁判で和解した内容に沿って、移設先となる名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認の取り消しを是正するよう指示したことを不服として、国と地方の争いを調整する委員会に審査を申し出ていた。委員会は、90日以内とする地方自治法の規定により、6月13日までに判断する。

◆16・3・15
【ワシントン時事】米海兵隊のネラー総司令官は15日、上院軍事委員会の公聴会で証言し、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設について、日本政府と沖縄県の和解を受け、今後1年間は工事が停止されると示唆した。
 メイジー・ヒロノ議員(民主党)の質問に答えた。
 総司令官は、和解に基づけば、日本政府と沖縄県の協議が続いている間は工事は行われないと指摘。「3月までは裁判所ないし司法当局が本件(移設問題)を再審理することはないと見込まれている。3月に何が起きるかを見極める必要が出てくる」と語った。 

◆16・3・14
 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設を巡り、県は14日、移設先の名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消し処分に対する国の是正指示を不服として、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出るため、関係書類を発送した。

◆16・3・13
 ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表らは13日、名護市辺野古のテント村で記者会見し、辺野古新基地建設をめぐる県と国の和解に関する声明を発表した。キャンプ・シュワブゲート前や海上で警備している警視庁機動隊や海上保安庁、民間警備会社などが撤退することが、和解に盛り込まれた「円満解決に向けた協議」の前提になるとの考えを示した。
 その上で、(1)機動隊、海保、民間警備会社の撤退(2)ゲート前の警備車両と波形鉄板の撤去(3)大浦湾の臨時制限区域の撤廃(4)フロート・オイルフェンス・コンクリートブロック撤去、作業船の撤退(5)陸上のすべての関連工事の中止—の5点が和解の前提と強調。「それなくして和解も円満解決もあり得ない」とした。

◆16・3・10
 名護市の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では10日も、新基地建設に反対する市民ら約150人が早朝から座り込んだ。座り込みは613日目になるが、政府が海上工事を中断したことを受け、16日以降の早朝抗議を継続するか、現場の状況をみて判断することになった。沖縄平和運動センターの山城博治議長は「県と国の訴訟が和解したが、シュワブ内では、まだ解体工事などが行われている。今後の様子を確認して16日以降、早朝抗議行動を続けるか検討していく。油断せずに行こう」と声をあげた。

◆16・3・8
 知事、敗訴でも権限行使 辺野古是正指示、係争委に訴えへ
翁長雄志知事は名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐる訴訟で県と国が和解したことについて県議会2月定例会本会議で報告を行い、議会はこれに対する緊急質問を実施した。翁長知事は和解が及ぶ範囲について「裁判所の判決には行政として従うと話したが、承認取り消しに伴う2件の訴訟の和解だ。今後、設計変更などいろいろあるが、法令に従い適正に判断する。今日までの(新基地建設反対の)姿勢を持ちつつ対処していきたい」と述べ、今後想定される国の是正指示に関する訴訟で県が敗訴した場合でも知事権限を行使し、新基地建設阻止に向けた姿勢を堅持する考えを示した。仲村未央氏(社民護憲)への答弁。
 翁長知事は同日、記者団に是正指示を不服として国地方係争処理委員会に審査を申し出る考えを示した。

 今後想定される知事権限の行使としては、埋め立て承認後に生じた事由を根拠に行う「承認撤回」や、大規模な埋め立て工事ではほぼ必須となる設計概要の変更申請を不承認とすることなどが挙げられる。変更申請を不承認とした場合について町田優知事公室長は「申請が認められない場合、申請に基づく工事はできない」との見解を示した。渡久地修氏(共産)への答弁。

 県の町田優知事公室長は8日、移設問題に関する国との和解に沿った訴訟で県が敗訴した場合、辺野古移設に協力していくかを問われ「あくまでその裁判の判決の効力が届く範囲で従う。あらゆる手法を用いて辺野古新基地は造らせないという方針に変わりはない」と述べ、埋め立て工事の設計変更申請への対応など、県が関与する部分で対抗していく考えを示唆した。
 県議会2月定例会本会議で照屋守之氏(自民)の緊急質問に答えた。
 緊急質問に先立ち、翁長雄志知事が登壇し、国との和解成立について報告した。知事は「埋め立て工事が停止したことは非常に意義がある」と強調した。

◆16・3・7
 石井啓一国交相は7日午後、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐり、翁長知事による埋め立て承認取り消し処分の是正を指示する文書を県に発送した。文書は翁長知事の埋め立て承認取り消し処分は違法だとし、県に対して15日までに埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求めている。県は是正指示を受け入れない方針で、指示文書が到達した翌日から7日以内に指示を不服として国地方係争処理委員会に申し出る構えだ。国地方係争処理委員会が何らかの結論を出した時点で、移設をめぐって国と県との新たな訴訟に発展する可能性がある。県との間で成立した代執行訴訟の和解は是正指示を促す一方、「円満解決」に向けた県との協議を行うよう定めているが、協議の場は設定されていない。和解成立後、協議を経ずに是正指示を出したことで、国が新たな訴訟の判決を得る手続きを優先したことになり、名護市辺野古新基地建設を強行する姿勢が一層鮮明となった。

 辺野古代執行訴訟で4日に和解で合意した政府が週明けの7日、翁長雄志知事に埋め立て承認取り消し処分の是正指示を出したことを受け、翁長知事は「(安倍晋三首相は)誠意を持って沖縄県と協議をしたいと言った。いい方向に結論を出そうという中で、入り口でこういった形でやるのは大変残念だ」と述べた。7日夕、県庁で記者団に答えた。
 さらに「和解に応じる時も(安倍首相は)『辺野古が唯一だ』と話をしていた。これから協議をする前に辺野古が唯一だというのはどういう了見だと思った」と述べ、政府の強硬姿勢を批判した。
 今後、国の是正指示に応じるかについては「中身などがまだ届いていないので何とも言えない」と述べるにとどめた。

◆16・3・5
【ワシントン=問山栄恵琉球新報特派員】ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズの米有力紙2紙は5日付紙面で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐる代執行訴訟で、安倍晋三首相が和解案を受け入れ、工事を中止したことをそれぞれ大きく報じた。
 ニューヨーク・タイムズは安倍首相との会談後、官邸で記者団の質問に答える翁長雄志知事の写真を掲載し、紙面の半分を割いて報道。新しい協議が決裂し、最終的に司法判断が再び下された場合には国も沖縄県もその判断に従うと安倍首相と翁長知事が発言したと伝えた。移設に反対するヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表の受け止めについても紹介した。また裁判所が示した手続きには「予定表がない」と指摘し、日米政府当局者は2023年までに普天間の辺野古移設を望むが、今後の法廷闘争と政治論争を見越すとその期限は実現できないとした。

 ワシントン・ポストも紙面1ページの4分の1を使用して報道。安倍首相の決定を「180度の転換」と指摘した。ただ、普天間飛行場を県内に移設する政策を安倍首相は変更していないとも強調した。さらに首相の決定は法廷闘争の泥沼から抜け出すためであり、辺野古移設に反対する人々が祝杯を挙げるのは「時期尚早」と分析した。

◆16・3・4
 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐり、国が翁長雄志知事を訴えた代執行訴訟で、4日正午ごろ、福岡高裁那覇支部で和解が成立した。和解は(1)国は代執行訴訟と埋め立て承認取り消しに対する執行停止を取り下げる(2)工事を中断し、問題を再協議する(3)折り合いがつかなければ「最後の手段」とされる代執行手続きよりも強権的ではない地方自治法に基づく是正指示、国地方係争処理委員会での審査、是正指示の取り消し訴訟をやり直す—との内容。県と国の協議は判決確定まで続ける。埋め立て承認の取り消しをめぐり、この新たな手続きに沿った法的な争いの結論が出るまでには、今後1年程度を要することも想定され、その間、工事は中断する。安倍晋三首相は同日、中谷元・防衛相に工事の中断を指示した。

 県軍用地転用促進・基地問題協議会の要請で上京していた翁長知事は4日午後、首相官邸や防衛省で記者団の取材に応じ「工事が止まることは大変大きい」「裁判闘争を取りやめて話し合いを始めるのは望むところだ。展望を見いだしていきたい」などと述べた。

 4日昼に官邸で和解成立を発表した安倍首相は「延々と訴訟合戦を繰り広げれば膠着(こうちゃく)状態となり、普天間が固定化されかねない」などと述べ「裁判所の勧告を受け入れ、県と和解する決断をした」と表明した。
 一方、安倍首相は「普天間飛行場の全面返還のためには、辺野古移設が唯一の選択肢という考え方に変わりない」とも強調。翁長知事は「大変残念な発言だ。和解に応じた時に話す言葉ではない。県民に寄り添いながら協議を進めてほしい」と反発した。代執行訴訟では和解に至ったが辺野古移設計画に対する認識では大きな隔たりを見せた。
 和解で合意した「暫定案」には再び裁判になった場合、判決に従うことが盛り込まれている。このことが「辺野古新基地建設を阻止する」とした自身の政治姿勢に影響するかを記者団に問われた翁長知事は「辺野古基地は造らせないという公約で知事になった。あらゆる手段を使って基地を造らせないということをこれからも信念を持ってやっていきたい」と述べ、今後も公約を維持するとした。

◆16・3・2
【平安名純代・米国特約記者】ネラー米海兵隊総司令官は2日、米上院歳出委員会小委員会の公聴会で証言し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画に遅れが生じていると認めた。遅れている主な原因として「抗議活動や沖縄県知事の支援不足」を挙げた日本政府は、移設計画は2025年にずれ込むとのハリス太平洋軍司令官の証言を受け、遅れは生じていないと抗議したばかりだが、ネラー氏の証言は、辺野古移設の遅れが米軍幹部らの共通認識であることを示している。

◆16・3・1
【名護】稲嶺進名護市長は2日午前、市議会3月定例会の施政方針演説で、市辺野古の新基地建設について、「これから先も厳しい局面が予想されるが、いかなることがあろうとも、新基地建設阻止に断固として取り組む」と述べた。新基地建設をめぐっては、市長権限に係る許可申請や協議、文化財の調査など、国が市と踏むべき諸手続きが「一つもクリアされていない」とあらためて強調。

◆16・3・1
 米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しの撤回を国が求めた代執行訴訟は29日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で結審した。判決は4月13日。閉廷後、同支部は和解案を巡り国、県とそれぞれ協議したが、結論は出なかった。和解協議は継続し、話し合いによる解決の余地も残した。

◆16・2・29
【東京】安倍晋三首相は29日の衆院予算委員会で、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題に関連し、県側に理解を得るために首相が翁長雄志知事と何度も会うべきではないかとの質問に対し「会えば何とかなるなら私だって何回も会う。残念ながらそういう状況になっていない」と述べた。普天間返還合意時、橋本龍太郎元首相の秘書官だった江田憲司氏(維新)への答弁で、安倍首相は「橋本さんの時と今とはだいぶ事情が違う」とも強調した。江田氏は「危険除去を思えば辺野古移設しかない、しょうがないと思っている」と自身の考えを述べつつ、首相に「何度も沖縄入りし、知事と膝詰めで会わなければ駄目だ」と指摘した。対して安倍首相は「橋本さんの時と今とはだいぶ事情が違う。大田知事の後に稲嶺知事、そして仲井真知事という非常に協力的な知事がいた。順調に進めようとしていたが、(民主党政権で)『最低でも県外』となり、根本的に状況を変えられてしまった」と反論した。

◆16・2・28
 名護市辺野古の新基地建設をめぐり国と県で起きた訴訟の意義と現状を訴えようと、全国の行政法学者ら12人でつくる辺野古訴訟支援研究会は28日、緊急シンポジウム「辺野古裁判で問われていること」を那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハで開いた。登壇した弁護士や学者は新基地建設を進める国側の司法手続きに疑問を投げかけ、建設の強行で地方自治を保障する憲法が問われていると訴えた。市民ら約510人が参加した

◆16・2・25
 名護市辺野古への埋め立て用土砂採取計画に関連し、徳之島町の南原海岸で鹿児島県外の業者が計画している土砂の積出施設の建設について、同海岸に漁業権を持つ徳之島漁業協同組合は、25日、臨時の総会を開き、あらためて施設の建設に同意しないことを全会一致で決めた。同漁協は「海を守るために、いかなることがあっても計画に同意しないことを再度確認した」と述べた。同漁協はすでに2004年11月、施設が容易に撤去できない事や、現況復旧が見込めないことろ理由に全会一致で反対を決めている。

 辺野古への新基地建設に反対し、米軍キャンプ・シュワブ前で座り込みを続ける市民の抗議行動が、25日で600日となった。

◆16.2.24
 伊江村は、沖縄戦で「集団自決(強制集団死)」のあったユナパチク壕での悲劇を後世に伝えるための記念碑を3月に建立する。村によると、村内で「集団自決」に関する碑の建立は初めてで、「同様な碑は県内であまり聞いたことがない」(県)という。生存者の並里千枝子さん(79)=北谷町在住=や島袋秀幸村長らが24日、壕のあった場所を訪れ、み霊に手を合わせた

◆16・2・24
 沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では24日、早朝から新基地建設に反対する市民ら約500人が座り込んで抗議した。宮城や神奈川、北海道など県外からも多くの人が足を運んだ。マイクを握り「東北では今も原発事故による放射能被害がある。多数者が少数者に押しつける仕組みは許せないと思いここに来た」「沖縄の人を踏みつけるのはもうたくさんだ」などとそれぞれの思いを口にした。

◆16・2・24
 米太平洋軍のハリス司令官が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設時期が2025年になるとの見通しを示したことに、翁長雄志知事は24日、辺野古の新基地建設とは切り離して5年以内の運用停止を実現するべきだとの認識を示した。県議会棟で記者団に答えた。翁長知事は「辺野古と直結させずに、普天間の5年以内の運用停止をするという約束を守るところから始めてもらいたい」と述べ、普天間の危険性の除去が辺野古移設を前提としていることに、くぎを刺した。

 普天間飛行場の返還遅れ発言について、宜野湾市の佐喜真淳市長は24日、「返還期日が延びることはあってはならず、怒り心頭というか残念というか、そういう複雑な気持ちだ」と述べ、強い不快感を示した。

 兵庫県の民族歌舞団「花こま」の団員4人が24日、沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で辺野古新基地建設をテーマにした「面踊り」を披露した。
 オバマ米大統領の似顔絵の面をかぶり「辺野古の基地建設はどうなってる?」、安倍晋三首相の面で「安心してください。ちゃんと進めています。あんな遠い島の声は聞こえません」と進行する。太鼓の音、せりふに合わせ、ころころと面を変え、翁長雄志知事や沖縄のおばあさんも登場する。「花こま」は1990年に初めて来県したのを機に、沖縄をテーマにした面踊りを県内外で上演している。

◆16・2・23
【平安名純代・米国特約記者】公聴会に先立ち訪日したハリス米太平洋軍司令官が今月17日、防衛省での中谷元・防衛相との会談で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画の大幅な遅れに懸念を伝えていたことが23日、分かった。日本側はキャンプ・シュワブ周辺における抗議活動が工事に影響を与えているなどと説明していることから、警備がさらに強化される可能性もある。

 複数の米議会筋は沖縄タイムスの取材に対し、ハリス氏が22日に米上院軍事委員会のマケイン委員長やサリバン、ヒロノ委員らと個別に会談した際、訪日時に収集した辺野古移設をめぐる情報などを説明。このなかで、「日本政府は辺野古移設を進める固い決意を示していたが、(辺野古における)反対運動は拡大している」などと伝えたという。

 ハリス氏は公聴会前に米議会に提出した書面証言で、日本側が2015年度予算で計上した200件の代替施設関連工事のうち、「完了したのはわずか9施設で、8件が進行中」と遅れを指摘。さらにキャンプ・シュワブ周辺でのデモなどが建設計画に影響を与えているとし、「日本政府はいくつかの課題に直面している」と懸念を表明。日本政府が抗議活動の管理を目的に、本土から沖縄に警視庁機動隊を派遣した点に言及した上で、「状況改善はほとんど進んでおらず、抗議はエスカレートし続けている」と表明した。ハリス氏は16日に安倍晋三首相と首相官邸で会談している。

◆16・2・21
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古移設に反対する市民グループらが21日、国会(東京都千代田区)を取り囲み、「辺野古の美しい海を埋め立てないで」などと訴えた。 参加者は沖縄の海をイメージした青色のスカーフや衣服を身に着け、手をつないで国会を取り囲んだ。集会では「辺野古に基地を造らないで」「沖縄の民意に従え」などとシュプレヒコールを上げた。
 稲嶺進名護市長も駆け付け、「みんなで辺野古の美ら海を埋め立てるなと声を上げることで、闘いの輪は広がっている。国会はもっと国民の声を聞いてほしい」などと訴えた。

◆16・2・18
 名護市辺野古のキャンプ・シュワブ前には18日午前、新基地建設に抗議する市民約400人が集まった。辺野古弾薬庫に近い第2ゲート前で初めて早朝から集会を開き、「工事を強行するなら心臓部に近いここを封鎖する」と気勢を上げた。


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