【沖縄の地鳴り】

編集後記と辺野古関連月表 2016.4.17〜5.16

仲井 富


<編集後記>

 今月の月表を振り返って、特筆大書すべきは、「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」が沖縄県名護市辺野古の新基地建設用の土砂搬出が見込まれる西日本各地の“いま”をまとめた冊子『どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない』を完成させたことだ。そして4月17日から20日まで西日本の住民運動が集まって「辺野古埋立土砂搬出反対全国連絡協議会」が沖縄で開かれた。昨年5月、関係する全国の7団体で結成された。この1年、沖縄と西日本の土砂搬出地、さらには三重県津で建造される埋立用ケーソンに反対する運動など12県18団体がつながり、去る4月17日〜20日には初めて沖縄現地での学習交流集会・フィールドワークが実現した。メインとなった18日名護市内で開催された集会には、「本土」からの28名を含む300名の市民らが参加した。これこそ本土が辺野古と連帯する真の運動の姿だ。埋め立ての殆どに西日本各地の土砂が使われる。埋め立てで辺野古の海を殺し、それがまた、本土各地域の環境を破壊する。今回はこの問題に取り組んでいる方々の報告を載せた。

 憲法記念日の5月3日、久しぶりの有明公園の集会に参加した。といっても土砂搬出問題に取り組んでいる毛利さんに引っ張り出されて、物品販売のブースで、辺野古土砂搬出反対の署名と上記の『どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない』の販売を手伝った。署名もパンフ販売もけっこう好調だった。辺野古の問題は本土とも共通との意識を強く感じた。憲法集会の方は参加する時間があまりなかった。だが時折覗くたびに参加者が増えていた。会場となった芝生からはみ出した参加者は場外のコンクリートまで溢れた。あまり悲壮感はなく、夫婦や家族・仲間でけっこう楽しそうだった。天候も良かったが、昨年の3万6千人を上回る5万人と聞いた。よくぞ昨年9月の安保関連法案強行採決後もデモが続いていると感嘆する。われら60年安保世代の老人には想像もできない粘り腰だ。新たに参加した若いママたちや若者の姿に感動する。安倍政権のお陰で、良くも悪くも護憲意識は格段に広がり、過半数の国民が改憲、なかんずく九条改憲にノーの世論となった。保守支持層無党派を含む安倍政権への批判は広がっている。この盛り上がりが一名区の統一候補となって全国各地で結実しているのだ。

<辺野古関連月表 2016.4.17〜5.16>

◆16・5・16
 横浜港の米陸軍施設「横浜ノース・ドック」と周辺で大型連休中などに、米空軍横田基地(東京)のヘリコプターが、日本側へ通知せず特殊訓練をしていたことがわかった。一帯は訓練施設ではなく、訓練は日米地位協定に抵触する可能性がある。付近は商業・観光施設が集まる横浜の中心部で安全面の懸念もあり、防衛省や横浜市、県は事態の確認を始めた。(朝日新聞デジタル)

◆16・5・15
 沖縄が日本に復帰して15日で44年となる。那覇市では、「基地のない沖縄」を目指す集会が行われた。15日、那覇市の公園では主催者発表で約2,500人が参加して集会が行われ、参加者らは、アメリカ軍普天間基地の閉鎖・撤去と、名護市辺野古への移設を断念するよう求めた。集会では、基地強化への反対や日米地位協定の改定を求める宣言文が採択された。
 郵便局の退職者でつくる「沖縄郵政OB・OGの会」の男性(77)は、「米軍基地がそのまま残る復帰は、我々が望んだ復帰ではなかった。複雑な気持ちは今も変わらない」とあいさつ。「辺野古の警備に使う金は私たちの税金。熊本や東北の復興、貧困対策に役立てるべきだ」と、新基地建設を進める政府を批判した。

◆16・5・13
 沖縄の本土復帰から15日で44年となるのを前に、米軍基地返還などを訴える「平和行進」が13日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古を起点に始まった。全国からの参加者が県内の基地周辺で「辺野古の新基地建設反対」と訴え、15日まで抗議活動を展開する。

◆16・5・11沖縄タイムス
 沖縄県名護市辺野古沖の新基地建設予定海域で、海上警備を請け負うマリンセキュリティーの複数の従業員が、沖縄タイムスの取材に応じた。日ごろは帽子やサングラス、マスクを着け、その表情はうかがい知れない。過酷な勤務実態に苦しむ心情を初めて明かし「理不尽だ」と訴えた。ある男性は、求人誌を見て応募した。仕事の内容が分からないまま、日当9千円とだけ聞かされた。労働基準法で会社に義務付けられる労働条件の明示や、契約書もなかった。漁船で1度海上に出ると、基本的にトイレにも行けない。「ペットボトルを持って行くか、我慢するか」。支給される「昼食」は菓子パン1個と缶コーヒー1本だけという日も多い。

◆16・5・9 沖縄タイムス
 「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」は8日までに、沖縄県名護市辺野古の新基地建設用の土砂搬出が見込まれる西日本各地の“いま”をまとめた冊子を完成させた。「どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない」を合言葉に、県外搬出地の市民団体で連絡協を設立して約1年。署名活動や学習会などを続けてきたが、各団体の自腹に頼る活動には限界もある。冊子配布を通して寄付を募り「息の長い運動」(阿部悦子共同代表)につなげたい考えだ。(社会部・篠原知恵)

◆16・5・9
【平安名純代・米国特約記者】米国の映画監督オリバー・ストーン氏(69)は8日までに、米カリフォルニア州で沖縄タイムスの単独インタビューに応じた。外交政策「米国第一」を掲げ米大統領選挙の共和党候補指名が確実になったドナルド・トランプ氏と、軍産複合体の利益を代弁するヒラリー・クリントン氏の下で、米国の軍事優先主義がより強まる可能性に警鐘を鳴らし、米軍基地が集中する沖縄の過剰負担の軽減や名護市辺野古の新基地建設計画を阻止するには、米国が軍事力縮小に向けた真の変化を生み出す必要があると主張した。
 沖縄県の翁長雄志知事は9日午前、訪米のため那覇空港を出発した。10月に那覇市などで開く県出身者の交流イベントのPRが主な目的だとしているが、現地時間14日にワシントン入りし、米政府関係者らに米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する考えも伝える。

◆16・5・3
 沖縄タイムス社は3日までに、6月5日投開票の県議選に立候補を予定する70人に沖縄が抱える主要な政策課題についてアンケートを実施し、全員から回答を得た。米軍普天間飛行場返還を巡る名護市辺野古への新基地建設は42人が「反対」とし全体の6割となった。在沖米軍基地へのオスプレイ配備は県政与党と自民、公明を含めた56人が反対と答え、全体の8割を占めた。

◆16・4・30
【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は30日午前7時20分ごろ、辺野古沿岸部の立ち入り禁止区域を示す海上のフロート(浮具)とオイルフェンス(油防止膜)の撤去作業を始めた。沖縄防衛局が発表した。今後、少なくても数週間かけて作業を実施する見通し。
 辺野古沖の海上では30日午前7時すぎから複数の監視船がフロート近くに接近した。現場付近からは午前7時40分すぎに作業船がオイルフェンスを陸上に向かって引いている作業が確認できた。

◆16・4・28
 島尻安伊子沖縄担当相が28日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を支持する立場で夏の参院選に臨む考えを示した。普天間返還・移設問題が最大争点の一つになる中、今後焦点となるのが公明党との選挙協力の行方だ。島尻氏に対する公明党の推薦がまだ決まっておらず、連携を打ち出す自民党県連は気をもんでいる。普天間返還・移設問題で国外・県外移設を求める立場を堅持する公明党県本の今後の対応が注目される。参院選で自民は公明に対し、改選数1の1人区を中心に全国38選挙区で擁立する公認候補40人への推薦を求めている。公明は今月7日までに35選挙区37人の推薦を決めたが、島尻氏にはまだ出ていない。

◆16・4・22
【東京】国地方係争処理委員会で意見陳述した翁長雄志知事は22日の委員会後に記者団の取材に応じた。知事は「県の主張に委員は強い関心を持って審査に臨んでいると考えている」と全体的な印象を述べ、「中立公正な審査をしていただきたい」と話した。
 知事の埋め立て承認取り消しについて、国は行政処分の取消制限の法理を主張する一方、県は一般国民(私人)が対象の処分について適用される法理で、行政同士の争いには当てはまらないと反論してきた。この日の意見陳述の中で、小早川光郎委員長らは、国側主張に対し疑問を呈する質問をした。
 この点について代理人の松永和宏弁護士は「私人の利益の保護と、沖縄防衛局(の利益の保護)というのは全然違うんだというところに強い関心を持っていただいた」と述べた。
 外交・国防に関わる事業について知事が判断する権限がないとの国側主張についても委員が質問。松永弁護士は「知事が何か判断できるのではないかとの観点からの質問が相次いだ」と語り、「委員は国の主張についてかなり問題点があると考えているのではという印象を持った」と話した。

◆16・4・20
 名護市辺野古への新基地建設阻止に向け結成された「『沖縄建白書』を実現し未来を拓く オール沖縄 那覇の会」は20日、那覇市のパレット市民劇場で2016年度総会と講演会を開いた。講演には憲法学者の小林節慶応大名誉教授が登壇し、新基地建設について「露骨な憲法違反だ」と訴えた。約430人(主催者発表)が集まった。
 地方特別法を制定する場合に住民投票で賛成を得る必要性を求める憲法95条をひもときながら「国策のため特定の自治体に負担を掛ける時は住民による承認が必要。すなわち(住民には)拒否権がある。『95条の話ではない』と政府は開き直っているが、95条の精神によれば立派な憲法問題だ」と指摘した。野党共闘などの動きを紹介しながら「オール沖縄の成功が勇気を与えている」と述べ、沖縄の取り組みが全国的に影響を与えていることを強調した。

◆16.4・19
【東京】日本での表現の自由の現状を調査するために来日した国連のデービッド・ケイ特別報告者(米国)が19日、都内で記者会見して暫定の調査結果を発表し、沖縄県名護市辺野古の新基地建設に反対する市民らの抗議行動に対する海上保安庁などの制圧行為などに対して懸念を示した。沖縄のメディアへの圧力には「非常に重大な問題だと認識している」との見解を示した。調査結果をまとめて国連人権理事会に提出される報告書にこうした内容が盛り込まれる見込みだ。

◆16・4・17〜20
 「辺野古埋立土砂搬出反対全国連絡協議会」は、昨年5月、関係する全国の7団体で結成された。この1年、沖縄と西日本の土砂搬出地、さらには三重県津で建造される埋立用ケーソンに反対する運動など12県18団体がつながり、去る4月17日〜20日には初めて沖縄現地での学習交流集会・フィールドワークが実現した。メインとなった18日名護市内で開催された集会には、「本土」からの28名を含む300名の市民らが参加した。


最新号トップ掲載号トップ直前のページへ戻るページのトップバックナンバー執筆者一覧