【編集後記】

加藤 宣幸


◎8月の猛暑で温度計は上がったが安倍内閣の支持率は下がり続け8月8日9日の毎日新聞調査では32%と内閣の危険ラインと言われる20%まであと数パーセントになり政権側に焦りが見えた。ただ野党の支持率も上がっていないから無党派層が安倍から離れ始めたのだ。一強多弱に胡坐をかく暴走政権に国民が嫌気をさし、無関心層といわれた若者・婦人たちに動きが出て、安倍嫌悪の波がひたひたと広がってきたのではないか。ただ安倍談話などで内閣支持率は4~5ポイント戻したが、政府支持を明らかにする産経調査でさえ支持43%不支持45%で依然として不支持が支持を上回っている。

◎世論調査だけでなく、埼玉知事選の自民系候補の惨敗、仙台市議選の共産進出・自民大幅減票などに現れた民意離反の兆しに政権側も警戒し、国立競技場計画の白紙化、岩手県知事選の自民候補擁立断念、沖縄の作業1か月中断。広島での非核3原則カット批判に慌てて長崎では挿入するなどと手を打ち、70年談話も迷走のあげく、しぶしぶ侵略・お詫びのキーワードを入れた。これらについては羽原・岡田・木村・仲井各氏に論じて頂いた。

◎憲法学者3人の違憲証言で国会審議の流れは変わり、首相が子供だましのイラストを使って強弁するほど安保法制の論理は破たんし、「ホルムズ海峡」はいつの間にか消え、封印してきたと思われる中国脅威論を唐突に持ち出した。これには訪日中国人の増加で潤う地元民を前に与党議員さえも、今なぜ安保なのかの説明に窮している。

◎オルタは毎号【沖縄の地鳴り】欄で現地との情報を共有するが、今月は政権から標的にされる「沖縄タイムス」OBの元編集局長・平良知二氏の『嫌悪感』を載せた。特筆させて頂くのは、7月にWEBメディア「オルタ」が初めて『砂川基地と辺野古基地』反対運動連帯のために「砂川平和ひろば」の福島京子さんと社会学者福岡愛子さんとを辺野古に送り、その報告会を8月8日に「第一回オルタ懇話会」(約30名参加)として開いたことである。

◎8月11日安倍政権は国民多数の反対を押し切り川内原発を再稼働させたがオルタはしばしば原発ゼロを目指す立場から三上治氏・阿部知子氏などの論考を載せてきた。これからも諦めずに取り組みたい。今月から【自由へのひろば】で「原発」と「原爆」の被害者について山口光男さんたちのグループがまとめた『被ばく医師・肥田舜太郎が語る福島と広島』を連載する(3回)。この原稿は、全国でこれの朗読活動をしている金子達昭さんが、オルタが米国でも読まれているのを知って、是非英訳して米国人に読んで貰いたいのだと編集部に持ち込んできたものだ。編集部としてはボランティアで英訳して頂ける方を探し発信を実現したい。さらに私たちの活動はWEBだけでなく、今号でご案内するように9月19日に原発をテーマに『第二回オルタ懇話会』を開くが、荒木重雄氏を世話人代表として活動範囲は次第に広がる。皆様の積極的なご参加をお願いしたい。

◎【戦後70年を考える・私にとってのアジア】には予期した以上に多くの方々のご寄稿を頂き感謝に堪えない。これからも多くの方が参加できる企画を立てたいので皆様からのご提案をお待ちする。【記録から未来へ】ではNPO働く文化ネットの鈴木不二一さんの「日本の労働映画に新しい光をあてるために」とアンケート募集案内を載せたが、オルタとしてはぜひ協力し、これを契機に文化ジャンルの充実に努めたい。

◎【日誌】7月21日:東洋学園大・「アジア共同体の未来」・鄭俊珅・朱建栄。23日:自宅・安部俊助。24日:竹橋・ちよだプラットホーム・荒木。自宅・仲井。25日:学士会館・堀内慎一郎・自宅・山崎正樹。27日:医科歯科大・検診。28日:衆議院第二議員会館・「新安保法制はまだ議論すべきことが残っている」柳沢協二他・21世紀の憲法と防衛を考える会。31日:衆議院第一議員会館・「日米原子力エネルギーPJ訪米調査報告」・鈴木達治郎(元原子力委員会委員長代理)・猿田佐世・平野あつき・NDの会。

8月1日:市川・矢野凱也。2日:自宅・仲井。8日:竹橋・ちよだプラットホーム・第一回オルタ懇話会・「辺野古・高江を訪ねて」・福島京子・福岡愛子・羽原清雅。18日:神保町・桑原昌之・太原雄・荒木重雄。

■【今月のオルタ動画案内】
  YouTube配信 http://www.youtube.com/user/altermagazine

◎緊迫の辺野古・高江を訪ねて      福岡 愛子


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