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【編集後記】 
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◎新しい年を迎え皆様のご多幸を祈り、今年も恙無く毎月オルタがお届け出来ま
すよう執筆者・読者の方々の一層のお力添えをお願いいたします。
   
◎14日に発足した第二次菅改造内閣はなんとTPP(環太平洋パートナーシップ
協定)と消費税シフトだという。いずれも政権交代選挙のマニフエストにはな
かったものだ。 
  ことにTPPは唐突に持ち出され、政権交代の夢に賭けた多くの国民が唖然と
している。日本農業の再生をいうならまず国民に日本農業の現状や環境について
正確に説明し、進むべき途を納得するよう示すべきだ。また開国というなら、い
ま進みつつある節度ある二国間交渉(FTA)の積み重ねでは何故駄目なのか。
菅首相は何のために焦っているのだろうか。

 菅政権の姿勢に、時をおかさず、農業に競争力があっても工業に競争力がない
米国は早速歓迎の声明を出した。TPP交渉参加9カ国のGDP合計と日米両国
GDP合計の比率は90%を超え、TPPは実質的に日米自由貿易協定であり、問
題の所在を暗示するかのようである。
 
 今月の巻頭は論考でなく、毎号「農業は死の床か再生の時か」を連載し、農の
現場から健筆を振るわれている濱田幸生氏に、私たちの日本農業に関する生半可
な常識を正して頂くため『ニッポン農業常識クイズ』を提起して貰った。私など
は殆ど間違うという体たらくだが皆様は如何であろうか。オルタは日本農業につ
いて確りとした認識を持ってTPP問題を議論したい。

◎メールマガジン「オルタ」は7年前の創刊以来ボランタリーで百数十人の執筆
者の方にご寄稿いただいてきた。月刊なので長文の論考では毎月の執筆者や取り
上げるテーマには限りがある。今月は少しでもこれを補うため1000字または2000
字という短文で【私の視点】として荒木重雄・望月喜市・初岡昌一郎・船橋成幸
・岡田一郎の6氏に問題提起をしていただいた。読者のご意見を踏まえながらこ
の試行を続け、皆様の積極的なご参加を得て、より多くの方々にご執筆の機会を
広げたい。

◎今年も初岡昌一郎(海外論調)・濱田幸生(農業)・荒木重雄(宗教・民族)吉田
健正(沖縄)各氏の連載と西村徹氏の横丁茶話は毎号頂くことになっている。さ
らに今月からはアメリカの石田奈加子氏からのお便りが毎月届くことになった。
  また川西玲子氏は月刊ケー・ビー・エス・ワールド・ガイドに毎号『韓流批
評』で「韓国の歴史を学べば韓流映画がより面白くなる」という韓国映画紹介を
執筆されているが同氏のオルタ映画評も【玲子の映画批評】というタイトルに変
わり内容もより親しみ易くなる。
 
  先月から始まったアメリカの武田尚子さんの今月のエッセーは、人種差別問
題を取り上げ、日本にいては実感できないアメリカ社会の深部を鋭く抉られ
ている。高沢英子・佐藤美和子・川西玲子・武田尚子・石田奈加子氏とオルタの
女性執筆陣が充実するにつれ、オルタの内容が濃くなったように思うのは自讃
だろうか。

◎今月の【東アジア連帯】欄には現職の大学教授である金容義氏から編集部に
「オルタに勇気つけられた」と過分なメールをいただいたので、その一部をご本
人のご了解を得て掲載した。オルタは東アジアに真の市民連帯を築く為、ささや
かな努力を積み上げたい。

◎民主党政権に裏切られぱっなしの2010年であったが、1年を顧みる師走は確実に
やってきた。そして執筆者の方々への感謝と交歓の時をもった。10日に中華料理
店・赤坂・天府で執筆者の久保孝雄・竹中一雄・初岡昌一郎氏と22日には九段の
グランドパレスホテルで、執筆者の山中正和氏と河西玲子氏と会食し、さらに29
日には新宿・湖南菜館で石郷岡建・榎彰・羽原清雅・篠原令・北岡和義・船橋成
幸・横田克己氏など15人ほどの執筆者有志が集まった忘年会に参加した。
  かつて山中氏は日教組幹部、川西氏は教研集会講師というお知り合いだった
のがオルタの縁で10数年ぶりに今回の顔合わせとなった。 いずれの会でも民主
党政権の惨状が酒の肴となったが、29日の会での篠原令氏・石郷岡建氏の日中・
日露外交問題秘話には出席者全員が興味深く聞き入った。

◎新年に入って、3日に執筆者の山口希望・岡田一郎氏と新年会、14日にはソシア
ルアジア研究会でイ・チアンヒILO北京支局長から「転換期を迎える中国労使
関係」を興味深くお聞きした。19日には新宿小田急センチュリー・ホテルでオル
タのHPをボランタリーで更新してくださっている西風陽子さんと毎号珍しい写
真と文章でHPのトップを飾っていただいている増野潔さんと3人でランチ会を
もった。お二人のご協力に改めて御礼を申し上げたい。
  なお、近畿大学阿野貴司教授の『地球環境問題解決へのアプローチ』(下)は
次号に掲載しますのでご了承下さい。

                                (加藤宣幸 記)

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