【沖縄・侃々諤々】
辺野古新基地反対で沖縄知事選圧勝
自発的隷従を許さない民意
11月16日執行の沖縄知事選で、保革を超えてオール沖縄で立候補した前那覇市長の翁長雄志氏が現知事の仲井真弘多氏を約10万票差をつけて圧勝した。我々にとっては、1968年の初の首席公選(屋良朝苗氏当選)、1990年の知事選(大田昌秀氏当選)に次ぐ誇りある勝利、歴史的快挙であった。
「辺野古問題は県民投票で決着」を訴えた下地幹郎・元衆院議員と「埋立承認は取り消し」を訴えた喜納昌吉・元参院議員も出馬したが届かず、翁長氏が有効投票の51.6%の36万票余を獲得した。投票率は64.13%で前回の3.25%増。
辺野古新基地を認めるかどうかが、最大の焦点であった。翁長氏は「あらゆる手法を駆使して辺野古に新基地はつくらせない」「基地は沖縄経済発展の阻害要因」「米軍基地は全国で均しく負担すべき」「イデオロギーよりアイデンティティー」「誇りある豊かさ」を掲げて勝利した。
沖縄県民の誇りは、1609年の薩摩の武力侵攻いらい、ずっと傷つけられてきた。1879年の「琉球処分」(実は琉球併合)、皇民化教育、地上戦、米軍占領、サンフランシスコ条約によるアメリカへの売り渡し、今なお続く米軍基地の集中による過重負担などなど…。このような中、県民が誇りを持ちたい、自己決定権を持ちたいと思うのは当然である。今回の知事選は政府・自民党の醜い沖縄差別・侮辱との闘いでもあった。
翁長氏は、自民党県連幹事長も務めた保守政治家だったため、革新側から「当選後また裏切られるのではないか」との懸念が少なからずあった。しかし、「建白書」の闘い(2013年1月、県内41市町村長・議長、県議会議長・全会派責任者が連名で「県内移設反対」「オスプレイ配備反対」を掲げて総理に突きつけた)でも先頭に立ち、知名度も抜群で保革を超えて県民の心をとらえた。自民党県連から除名された那覇市議会「新風会」の活躍、有力企業の支援、公明党の自主投票(自公体制の崩壊)も後押しした。知事選と辺野古の闘いを結合させたのもよかった。
翁長新知事を誕生させたのは、アメリカに隷従する日本と沖縄を差別する日本に対し、「自発的に隷従する人は許せない!」と覚醒した沖縄県民意識の変化である。復帰後、11回に及ぶ知事選は、そのすべてで保・革が敵味方に分かれての闘いだったが、今回は思想の違いを認めながら、辺野古反対の一点で手を握り、小異を捨てて大同についた(これを翁長氏は「ハラ6〜7分の合意」と呼ぶ)。
これは、お互いに「寛容さ」を学んだからだ。とくに仲井真氏の埋立承認が県民の怒りを買った。石破幹事長の恫喝に屈し「さらし者」にされた沖縄選出国会議員のみじめな姿も、県民の脳裏に焼きついたままだった。
翁長氏が圧勝し辺野古ノーを突きつけたわけだが、政府は“粛々と”建設を強行する姿勢だ。民意が棄てられたら民主主義もおしまいだ。政府は埋立に向けた作業を速やかに中断し、県民と話し合うべきだ。政府が沖縄県民を見下し、民意に背を向け続けたら、琉球独立の気運が高まることを覚悟せねばなるまい。琉球の歴史と言語と文化を奪った日本人よ、「ウチナーンチュウをウシェーテーナランドー(沖縄の人を侮辱したら大変なことになるよ)」。
総選挙では反自民候補で全4選挙区を勝利し、翁長新知事を支え、基地のない沖縄、憲法が適用される沖縄をつくりたい。
(たいらちょうせい:元沖縄県議、元社民党沖縄県連幹事長、71歳、那覇市)