【コラム】沖縄の地鳴り

辺野古新基地容認すれば永久基地化

桜井 国俊


 辺野古新基地に反対する理由は三つある。第一に辺野古・大浦湾の海は折り紙つきの生物多様性に富む海で、やんばるの森と相まって。世界遺産登録に値する素晴らしい自然だからだ。これを守り後世に伝えることは、今に生きる私たちの責務だ。

 沖縄県は沖縄21世紀ビジョンを策定した。同ビジョンは沖縄の将来像を「沖縄らしい自然と歴史、伝統、文化を大切にする島」として描き、「沖縄の豊かな生物多様性の保全」を施策の柱としている。辺野古新基地、高江ヘリパットの建設・運用を容認することは、沖縄21世紀ビジョンを自ら否定するものだ。

 第二には、埋め立て申請の前提となった辺野古アセスがオスプレイの後出しなどに見られるように、およそアセスとは呼びがたい代物だからだ。アセスは、辺野古・大浦湾の海にジュゴンは暮らしておらず、従って基地の建設と運用は彼らに及ぼす影響は小さいと断じたが、アセス法違反の事前調査で辺野古・大浦湾の海をかき混ぜ、ジュゴンを追い出した可能性には頬かむりしている。しかしその主張は、大浦湾の海草藻場へのジュゴンの頻繁な訪問で完全に破綻した。

 そして第三には、名護市長選に始まり、知事選を経て衆院選に至るまで昨年の一連の選挙で繰り返し示された辺野古反対の民意にある。辺野古新基地の建設を容認するならば、沖縄は永久基地化する。それに対して県民は明確にNOという意思表示をしたのだ。

 今年は、沖縄戦から70年の節目に当たる。沖縄の地から始まる戦争と沖縄の地における戦争を拒否するという沖縄の民意を、ぜひとも日本社会において尊重させなければならない。
危機に瀕する日本の民主主義を救う可能性がそこには秘められている。

 (筆者は沖縄大名誉教授)


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※この記事は2015年1月1日付け沖縄タイムスから同社と執筆者の許諾を得て掲載したものです。