■ 【特別レポート】

2012年米国大統領予備選挙(4)
オバマと大統領を争うロムニーとは?             武田 尚子

   
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  オルタ99号までは、曲がりなりにも4人の候補者がいたのはご承知の通りで
ある。その後いくつかのプライマリーで、ギングリッチもポールもまったく投票
数では低調を極めたので、ロムニーの組織と莫大な軍資金に、金の力によらず、
もっぱらその信仰と個性に支えられて、ただ一人サントーラムが対抗してきた。
 

 4月3日現在、これまでロムニーは大統領指名に必要な代議員1144票のう
ち666票を、サントーラムは282票、ギングリッッチ140票、ポール67
票をそれぞれ得ている。まだ後20のプライマリーは残されているが、自分のホ
ーム州、ペンシルバニアのプライマリーを3週間後に控えて、サントーラムが突
然、選挙戦線からの引退を発表した。

 こうして指名選挙戦線の状況の変わったいま、11月の総選挙で、オバマとア
メリカ大統領を争うのはロムニーとほとんど確定した。今回はロムニーがどんな
人であリ、どんな政治的な立場を持ち、オバマに勝つたなら、どんな大統領にな
るかを知るための材料を提供したい。

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  ロムニーの賛同する共和党の予算案
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 ほぼ1週間前、共和党の国会議員、ポール・ライアンが作成し、議会をパスし
た予算案を、ロムニーは最上級の賛辞で迎えた。彼は大統領に就任した第1日
に、ライアンのと同様の予算案を導入したいと昨年から考えていたという。ロム
ニーは「ライアン予算を強く支持したい。驚嘆すべきものだ」とまでいった。ロ
ムニー自身の予算案は出されていないいま、ライアンのそれを紹介することで、
彼の考え方の大要はご理解いただけると思う。

 オバマはその予算案の最も近視眼的な政府への攻撃をチェックした。財政援助
のカットでいうと:ほとんど1000万ドルに及ぶ大学生援助のカット;医学奨
励金はこれまでより1600件も少なく、科学リサーチ奨励金はこれまでより4
000件少ない。2014年から、20万人の子供がヘッドスタート・プログラ
ムを受けられなくなり、200万人の母親とその子供たちが、食料援助プログラ
ムから除外される。『我々は自分たちが呼吸する空気を保護する法律を実施する
能力も持てなくなるだろう』とオバマはいう。

 メデイケイドは抜け殻にされるだろう。メデイケアはバウチュアプログラムに
変わるだろう。しかし共和党はそれでもなお、次の10年間に4.6兆ドルの税
金をカットするという。例によってカットは、ほとんど富裕者に向けられたもの
である。

 共和党の予算案は、表向きは連邦予算の不足をへらすためだというが、オバマ
は『それはトロイの木馬だ、薄いベールに隠された社会的進化論だ。その真の目
的は政府を不具にすることなのだ』『この予算案は我々が長続きのする経済を打
ち立てるために最も成長させる必要のあるもの、すなわち教育とトレーニング、
リサーチと発展、我々のインフラ下部組織を骨抜きにしてしまうもので、凋落へ
の処方箋にほかならない』という。

 共和党は、オバマ大統領にはアメリカが借金危機にあることがわかっていない
から、はっきりと示してみせたのだという。オバマ曰く。「我々は借金で危機に
陥っているのではない。我々は中期から長期の予算問題をかかえているが、それ
は主として高齢化人口と人口増加に結びついた医療コストの高騰という問題だ。
健康保険改革は、それを処理するための正直な試みである。

 ブッシュの富者への税金カットを期限がきたら廃止することだ。それも正直な
問題解決の試みだ。さらに働き口の欠乏という問題、収入の不成長、未来の見通
しが縮小し、機会が減ってきたことが問題だ。ロナルド・レーガンもこのことを
よくわきまえていた。

不足金がコントロールできなくなったら政府プログラムの予算カットと同時に、
高額収入者を手はじめに、税金を増やさなくてはならない。レーガンはそれを何
度もやってのけたのだ。」

 国庫の不足金を借金で補っていることについてアメリカは過大な心配をする必
要がないと、ノーベル受賞学者ポール・クルーグマンは何回かにわたってニュー
ヨークタイムズで解説している(よい機会に、ぜひ紹介したい)。彼はここにあ
げたオバマのライアン-ロムニー予算へのコメントを全面的に支持している。

 税金について、デヴィド・ケイン(ピューリッザー賞受賞のジャーナリスト)
の意見を追加しておきたい。  

 ミット・ロムニーは、全てのアメリカ人の税金を安くすると約束はした。しか
し、最近のタックスポリシーセンターの調査で、最も貧しい12500万のアメ
リカ人の税金をひき上げることが判明した。既に裕福な人間の税金は減らし、苦
闘する貧しい人間の税金は引き上げる。これは共和党全てに共通の、0.1%の
対富裕者課税戦術である。

 G.W.ブッシュは0.1%の超富裕者に12.5%の税金カットをしたが、ロ
ムニーはトップ0.1%の1/10に全体で57%の税金カットをする。しかも
ロムニーのプランによれば、高収入者にかかる遺産税も贈与税もなくなるのであ
る。(デヴィド・ケイン;ピュリッザー・プライズ受賞ジャーナリスト)

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  ロムニーの外交政策
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 ロムニーは、大統領候補として共和党の指名を受ける確実性を前にして、きわ
めてタフな外交政策を立案しようとしているらしい。ただ、そのタフな政策の中
身は今のところ曖昧で、具体的なことはなにもわからない。わかるのは彼がオバ
マの業績には露ほどの賞賛も敬意も払わず、オバマの力は知れたものといなして
いることだけである。

 オバマのキャンペーン・チームは、彼のアルカイダ襲撃と、背後から糸を引い
て成功したリビアのカダフィのリーダーシップの除去を、オバマの敏腕の実例と
して評価する。一方、ロムニーのキャンペーン・チームは、オバマのリビアでの
やり方は、世界におけるアメリカの優越性を犠牲にしたと喧伝する。彼等による
と、オバマのロシアとの関係の築き直しはほとんど失敗であり、計画されている
軍事予算の縮小は、中国やイランのような国が軍事的にアメリカに挑戦する大き
な可能性を残したという(事実は、軍事予算は全く縮小されていない。誤解され
ているだけだ)。

 共和党の外交専門家リチャード・ウイリアムソンは、ロナルド・レーガンにも
ブッシュ大統領にもさまざまな助言をしてきた人たが、次の言葉がある。

 「ロムニー知事は、我が国は軍事力と経済力だけでなく、我々の価値観のため
に、アメリカの例外主義を信じている。」

 「だが現在の大統領はそうではない。彼は相手と契約することを求める。しか
しロムニー知事は、我々は強者の立場から彼等に対応すべきだと考えている。つ
まり‘もっと攻撃的なアプローチをすべきだと’。」

 しかし現在の最も切実な外交問題のひとつである、イランの核プログラムをス
トップさせる為に何が必要かについては、ロムニーはオバマと変わらない。ロム
ニーはテヘランへの財政上のプレシュアを制裁によって強め、軍事的な選択があ
ることをテーブルに残しておくというのだから。

 2012年3月4日、この問題についてロムニーはまた次のように発言した。
『オバマはイランに対するもともと効果の乏しい制裁を機能させることに失敗し
た大統領である。オバマはまた、我々には軍事的な選択が手元にあること、イラ
ンが核兵器を持つのをアメリカは許容できないことをコミュニケイトすることに
も失敗した、、、、もしもバラク・オバマが再選されたなら、イランは核兵器を
持ち、世界は一変するだろう』

 ワシントンポストは、こんな言葉は彼のキャンペーン用の誇大なうたい文句に
すぎないと評した。オバマチームは、ロムニーの言葉はほとんど意味のないレト
リックだと問題にしない。

 だが現実問題として、ロムニー大統領は中国、ロシア、中近東に対して、もっ
と攻撃的なアプローチをするだろうとウイリアムソンはいう。ロムニーは就任し
たらいち早く北京政府に『通貨の操縦屋』というレッテルをはり、核問題につい
てモスクワに妥協をせず、イスラエル擁護にもっと重点を置くという。

 2010年3月、ロムニーは、アフガニスタンへの米軍レベルをあげるという
オバマの政策に賛成した。2008年のキャンペーンでは、ロムニーはイラクか
らの軍隊撤退には時間の限度をつけないと述べていた。彼は2002年、ブッシ
ュ政権のイラク侵攻には賛意を表してもいた。

 オバマの、アフガニスタンからの米軍撤退については、彼が時期を発表したと
非難し、ロムニーには冷戦時代の恐怖が残っているとメジアに評された。

 共和党のキャンペーンは、ロムニーがオバマよりも軍事的な手段の使用に乗り
気であることを確かに示したがっている。オバマがイスラエルを牽制しながら1
1月6日までの何ヶ月か軍事的な対決を避けようと綱渡りをしている間、共和党
は確かにタフな口をきくことができるというものだ。とりわけ、イランに対する
厳しい制裁は既にオバマの手であたえられているのだから。

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  医療問題
  マサチューセッツ知事ロムニーの健康保険 コモンウエルスケア
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 2009年、ロムニーは議会が通し、オバマがサインした健康保険アフォーダ
ブルケア(別名オバマケア)に強く反対していった。『アメリカは最も恥知らず
な権力の乱用を目撃した』『我々の(大統領候補指名)選挙キャンペーンは今日
から始まった』そして彼は、オバマケアはロムニーが大統領に選ばれたあかつ
き、第一に廃棄すると、支持者に告げた。

 このオバマケアは、2006年ロムニーがマサチューセッツの知事であったと
き、同州の法律となったロムニーの健康保険が下敷きであリ、基本線は同じであ
る。州民のほとんど全てをカバーし、健康保険を買う低収入者には保険額を安く
し、収入に応じてそれを多くしてゆく税金上の優遇策を含むかなりリベラルな法
律である。

 マサチューセッツの選挙民はロムニーの現在の苛烈なオバマケア批判に頭をか
しげ、多くの評論家は、ロムニーの矛盾をついた。オバマケアは米国人ほとんど
すべてに保険を買わせ、買わないものは罰金を払う。そのかわりこれまで保険を
持てなかった多数の市民も子供も低額で医療を受けられるようになった。

 しかし誰もが必ず買わねばならないというのは憲法違反だと共和等から批判が
でて、2012年4月、最高裁がその合憲性を論議することになった。3日間の
論議は終わったが、結論は6月に出される。9人の最高裁判事のうち5人は共和
党寄りであり、4人は民主党寄りのリベラルである。往々にして、最高裁は政治
的な判断で、5-4に分かれるのである。最高裁の論議は、もしこの保険の核に
なるインデビヂュアル・マンデイト(個人必買の要求)がどうなるかをみると、
オバマのアフォーダブルケアは違憲という空気である。

 最近アメリカで話題になっている健康に関する政治問題のひとつに、オバマケ
ア(Affordable Care)に含まれている女性の無料の避妊薬が問題になった。そ
れは全国民が買うべき保険なのだから、避妊にも堕胎にも反対する立場の教会関
係の医療施設や病院、大学などにはうけいれられない、宗教的な自由への侵害だ
と強く反対された。オバマはその理由で反対する教会や病院他には、無料で配布
する避妊薬の購買を要求しないことで妥協した。

 ついで妊娠可能年齢のアメリカ女性の大半が避妊のためだけでなく、健康のた
めに依存している避妊薬を保険から除去されることは大きな損失だと女性たちが
声を上げる。なかにジョージア大学の法学部の大学院生が、国会でオバマに、女
子学生を代表して避妊薬除去反対の陳情をした。

 これを受けて、極右のTVトークショウ・ホストのラッシュリンボーが、この
女子大学生が避妊薬を求めるのは、彼女自身が不身持ちで、売春婦に等しいから
だと非難して全国の話題になった。女性たちを含む市民の大きな巻き返しにあい、
たちまち多くの広告主を失ったリンボーは、この大学生に対して不適当な言葉を
使ったと、TVで謝罪せざるを得なくなリ、形だけでも実行した。

 オバマはこのまじめな女子大生に対し『貴方のご両親には、私が貴方の勇気を
誇りに思っていることを伝えてください。』と国会でねぎらった。こんないきさ
つもあるほどこれは、女性にとっての大きな問題なのである。

 さてロムニーはこの問題についてどう考えるか。
  マサチューセッツ知事としてのロムニーは、彼の健康保険コモンウエルスケア
を設定した。避妊薬は保険から得られ、さらにプランド・ペアレントフッド (
家族計画アメリカ連合-仮訳)では性教育から、避妊法、安全な堕胎の指導など
を受けられる。ロムニーのマサチューセッツでは、堕胎が必要になったとき、5
0ドルの払い込みをすれば、残りはケアが支払うというもので、堕胎には公金を
出さないオバマケア以上に行き届いていた。

 しかしロムニーはこの問題では、フリップ・フロップの評判をそのままに、2
転、3転と態度を変えた。

*1994年、上院に立候補したロムニーはプロチョイス(堕胎選択肯定)の立
場でキャンペーンをした。家族計画連合の醵金運動にも出席している。

* 2001年、プロチョイスを表明しなくなる。ただプロチョイスとレッテル
を貼られたくないだけで、その立場を完全放棄した訳ではないと釈明した。プロ
ライフ?

*2002年、再びプロチョイスに戻り、マサチューセッツ知事選に打ってでる。
*2002年、堕胎には州の資金で援助をすると、家族計画連合からの質問に答
えている。プロチョイス
*2002年4月、マサチューセッツ共和党大会でロムニーは発言した。『私は
女性が自ら選択する権利を全面的に擁護する。その権利は深く個人的なものだ、
、』と。プロチョイス

*2004年11月9日、彼はハーヴァードの、胎児のステムセルの研究者ダグ
ラス・メルトンとの会話で、プロチョイスの立場に疑問を持ち、人間生命の尊厳
について考えるようになったという。しかしメルトンはロムニーとステムセルに
ついての会話をしたことを否定している。プロライフに移行?

 だがロムニーのその後の言動は、彼のプロチョイスを否定するとはみえない。

*2005年5月27日、個人としてプロライフであることは、公式にはプロチ
ョイスであることを意味する』と、公式の場で発言! 彼の二股ぶりで多数を驚
かせる。プロチョイス+プロライフ

*2005年の証言との矛盾「自分はプロライフに変わったため、レイプの犠牲
者にモーニングアフターピルという堕胎薬を拒否した」と書いた。  
  彼がプロライフに変わったという証言とは矛盾するが、ロムニーは胎児リサー
チの禁止を擁護しないだけでなく、最小の胎児を政府の資金で致死的なリサーチ
に使うことを支持する。これは彼が、プロライフに転換したことも、その理由の
説明のいずれもが虚偽であることを示している。表向きプロライフ

*2005年12月、彼自身の意志に反して?病院にレイプの犠牲者に堕胎をす
ることを拒否させた 
*2005年12月8日の後に、ロムニーは全てのカソリック病院他に堕胎薬を
供給する最高官命令を出した。プロチョイス

*2005年12月9日、ボストン(グローブ?)の社説はいった『フリップフ
ロップ、フリツプフロップ、、、、、と立場を変えるロムニーはオリンピックク
ラスの、金賞付きの見事なフリップフロップをやってのけたのである。』と。

*2006年、ロムニー州政府は、家族計画連合をウースターに設立するために、
50億ドルの資金を承認した。プロチョイス
*2005年-7年以後も、知事としての任期の間、ロムニーはステムセルのリ
サーチに継続して支持を与えた。プロチョイス

*2007年には、彼がプロライフグループの支持を得るために自己資金を潤沢
に使い始めたことがハーパーズ・マガジンに報道された。ニューヨークタイムズ
は、大統領指名選挙に立候補を表明する前に、彼自身の金で1件につき1万ドル
から1万5千ドル程度の金をいくつかのマサチューセッツのプロライフを含む保
守グループに献金したと報じた。

 こうして、共和党から立候補を決めたロムニーは、プロチョイスを捨てて、保
守グループの支持を受けるのに懸命になった。2008年の大統領指名選挙には
敗れたが、2012年の大統領候補指名戦では、4月現在、ロムニーが指名を受
けるだろうと、大方の見方が定着してきた。

 健康問題についてはもう1つ加筆せねばならない。いうまでもなく、プロライ
フは共和党の立場であり、堕胎を保険で扱うことは、元々オバマケアの廃棄を意
図している共和党には受け入れられない。彼等は極端に右寄りの保守に傾いてい
るので、堕胎を未婚者にも認める1973年の歴史的な Roe and Wade 判決さえ
もくつがえしかねない。

 すなわち共和党は、堕胎を望む女性は、医師のもとで、女性器に器具を挿入さ
せ、ウルトラサウンド法によって妊娠を確定させなければ堕胎手術を受けられな
いという法案を通そうとしているのである。共和党は女性に戦争を仕掛けてい
る、女性の大敵だという声が日増しに高まってきた。それだけが原因ではないだ
ろうが、ロムニーの女性による人気率は、オバマのそれに大きく劣る。いま彼は
そのギャップを埋めようと必死で女性に働きかけている。 

 ロムニーは2005年、レイプの犠牲者に避妊薬を供給することをカソリック
教会にもとめた実績があるが、そんなことは今日の共和党の政策からは全く歓迎
されない。そこで彼はウルトラサウンド問題への意見を求められても、オバマの
やり方は皆まちがっているとだけいって、直接には答えない。

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  移民問題
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 ロムニーが非合法移民の入国を認めないのは当然だが、いったん摘発された移
民は『自己送還をさせろ』という。自己送還の手段についてはわからないが、ア
メリカが送還手段を供給しなければ、自己送還は容易ではないだろう。合法移民
にはそれぞれの努力で市民権を得られる道を用意する。ギングリッチが、長年此
の国に住み着いた非合法移民に、合法的な居住権を与えよといったことにロムニ
ーは反対した。

 オバマのドリーム・アクトは、年少者として家族と共に来米し、高校をアメリ
カで卒業し、あるいはアメリカの大学に行くか、軍隊に勤務した非合法移民には
市民権への道を開くという、元々超党派で作成された法案であり、カリフォルニ
アでは既に法律になった。大統領になったら、ロムニーはそれに絶対反対すると
いう。なぜなら、こんなシステムは、アメリカへの密入国者をおびき寄せる甘い
密になるだけだからという。

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  ガン・コントロール
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 2004年にはマサチューセッツの州知事として、襲撃に用いられる銃砲の所
持を禁止した。2008年には、NRAからBレベルと裁定された(銃砲所持や
使用に寛大であるほど、このレートはAに近くなる)。その後2008年の大統
領選挙の立候補にあたってNRAに加入している。

*NRA:NATIONAL RIFLE ASSOCIATION:憲法修正第2条にもとづき、銃剣所有
の権利を認め、膨大なロビイストを擁して銃砲の使用を訴え普及させているグル
ープ。

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  死刑の是非:
  2005年6月14日、マサチューセッツ衆議院での死刑証言
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 私ロムニーの意見では 国家の境界内でテロが実行されたときには、実行犯に
死刑を科すべきである。私が4月に提出した法案はテロリズムに責任を取らせる
ことが目的だった。それはまた少数の他の罪も含んでいる。法律の執行官、判事、
検察官、などを対象とする暗殺者は、刑法上の訴訟の進行の妨害をするので、死
刑を与える。私の法案では、長引いた拷問を受けた者や、1人以上の殺人をした
者にたいしては、陪審に死刑を考慮させる。被告が第一級の殺人で有罪とされた
もの、執行猶予なしに生涯刑期を与えられたものにも同様である。

■コメント■■
  以上簡単ではあるが、ロムニーの主立った政治的な立場を一とおり明らかにし
たつもりである。ここではふれなかったポール、サントーラム、ギングリッチ
は、3人ともくせのある、アメリカらしい政治家である。11月の総選挙まで
に、できればその肖像をお届けできたらと思う。いまは、あまりの極端さに驚
き、私自身いったんは愛想を尽かしたサントーラムが、危機を脱した幼い愛娘を
しっかりと抱いてキャンペーンに現れた姿を思い出し、彼が11州でプライマ
リーの勝者になリ、オバマの金の力に立ちむかってきたのをなるほどと思うので
ある。

 全てのプライマリーで、ロムニーは彼の2倍から5倍の金を使っているので、
サントーラムはかなりの離れ業でロムニーに対抗した。我々が政治家に求めるの
は、畢竟その政治家個人の政見やビジョンなのだろうか、明晰な頭脳なのだろう
か。いやその道徳的な背骨なのだろうか? その全ての結合が得られないとき、
最終的に我々に訴えるのはいったいなんだろう? ロムニーとサントーラムは、
考えさせてくれる。

■訂正■■
  98号のオルタで、選挙戦線を引退したジョン。ハンツマンの言葉、『票を売
るまねはできない』は『票の売り買いはできない』が正解です。

          (筆者は米国・ニュージャーシー州在住・翻訳家)

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