【視点】

America is not back, America is over.

 ―アフガン、ウクライナで加速する世界の構造転換―
 久保 孝雄

 ◆ アフガン―「テロとの戦争」の敗北

 バイデン米大統領は就任時の公約である America is back を推進するため「民主主義対専制主義」なる時代錯誤の対決目標を掲げ、中国(台湾、ウイグル)、ロシア(ウクライナ)、イラン(核合意)、北朝鮮(戦争終結、核)に対し、対決と制裁の棍棒を振り続けている。

 ウクライナではバイデンのロシア挑発が「レッド・ライン」(プーチン)を超えて軍事衝突に発展し、米欧は総力を挙げてプーチン糾弾、ロシア潰しに躍起になっており、一見「米国が戻ってきた」ように見えるが、国際世論は非米世界を中心にむしろ米国の衰退が加速していることに注目している。

 まず世界が目にしたのは、アフガンで20年も続いた「テロとの戦争」―2兆ドル余の戦費を使い、10万余のアフガン人を殺戮し、270万余の難民を生み(UNHCR)、自らも2万数千の米兵らの死傷者を出した―に敗れ、撤退(21.8)したが、世界最強の米軍の「敗走」とも言える混乱ぶりに世界は驚き、米国の威信は大きく傷ついた。

 ◆ ウクライナ―「バイデン外交」の失態

 今度のウクライナ紛争でも「外交のバイデン」の失態は明らかだ。米欧日など西側世界ではロシア糾弾一色だが、プーチンをここまで追い込んだバイデン(米国)の責任を問う声が殆どないのは不公平だ。ロシア軍がウクライナ国境に集結した時(米国はそれを逐一報じていた)、バイデンが「ウクライナのNATO加盟はない」と約束すればこの戦争はなかった。

 さらに言えばゼレンスキー大統領に「ミンスク合意」(2015)を実行させていればウクライナは平和だったのに、逆に「合意」を無視させ、東部2州のロシア系住民の虐待、虐殺に手を貸してきた。バイデン(米国)の責任は明らかだ。

 もっと言えば、米ソ冷戦の産物であるNATO(北大西洋条約機構)は、冷戦終結後、対抗組織であるワルシャワ条約機構をソ連が率先して解体した時(1991)、同時に解体すべきだったのに「1インチたりとも東方へ拡大はしない」との約束(1990年、ベーカー国務長官がゴルバチョフ書記長に約束)のもとで温存させた上、約束に反して旧ソ連圏の東欧諸国を次々に加盟させるなど、ロシア敵視、蔑視の政策を続け、ついにロシアの喉元に迫るウクライナにまで手を伸ばしてきたことが最大の原因だ。「今起きている戦争の責任は誰にあるのか? 米国とNATOにある」(ミアシャイマー・シカゴ大教授 『文藝春秋』5月号)。

 しかもバイデンは「力による一方的な現状変更」を激しく非難するが、これは戦後米国が「民主化」名目の反米政権潰しに繰り返してきた常套手段だ。近年でもリビア、イラク、シリア、アフガン、東欧のカラー革命(ウクライナもその一つ)など数知れぬ悲劇を生んできた。そもそもウクライナでCIAがネオナチ勢力と組んでクーデターを起こし、選挙で選ばれたヤヌコビッチ親露政権を打倒(2014)して親米欧政権を作り、ロシアとの関係を破壊したのも米国だ(中心的役割を果たしたのが当時のヌーランド国務次官補[注]、時の上司がバイデン副大統領。この時から事実上の米露戦争が始まっていたとも言える)。

[注]ヌーランドはクーデター勢力への資金援助の金額、新政府の人事まで指図していた。現在は国務次官。夫はネオコンの理論家ロバート・ケーガン。クーデター現場の「マイダン広場」でアジ演説したマケイン上院議員の外交顧問。

 ◆ ウクライナ―バイデンの3つの判断ミス

 ウクライナ問題でバイデンは3つの大きな判断ミスをした。
 1つは米国の力に対する過信だ。中国と対峙しながらロシアとも事を構える力はもはや米国には無い。にも関わらずウクライナでロシアに対峙したのは、America is back を狙うバイデンが超大国時代の感覚を脱却できなかったからだ。
 NATO諸国を率いて瀬戸際まで追い詰めればロシアは譲歩するしかなく、弱体化できると思って激しい情報戦を展開し、ゼレンスキーに大量の資金と武器を供与し、NATOへの早期加盟や核配備を要請させたりして(2月のミュンヘン会議)挑発を繰り返した。ロシアは「NATOの東方拡大はしないとの約束を破り、東欧諸国への拡大を続けてきた。我々の安全保障上の重大な危惧に米国は1ミリの譲歩もしなかった」として不信を募らせ、最悪の武力行使に追い込まれた。

 2つ目は、EUがエネルギー(石油・ガス)でロシアに大きく依存しており(EU全体で37~52%、ドイツは55~60%)、ガス供給が止まれば市民生活や産業活動に大きな影響が生じるので、ロシアとの決定的対立は避けたいとの戦略的ハンディを負っていることへの過小評価があった。
 独ショルツ首相はバイデンに屈服し、ノルドストリーム2の稼働を停止したがNS1は稼働しており、直ちにガス不足にはならない。米国はこの機会に自国産シェールガスの売り込みを策し(この3ヶ月で欧州への売り上げを65%伸ばした)、応急的には中東、日本などからの融通供給、さらには中東への切り替えや原発強化などに転換させたいようだが、リスクが大きく実現は困難だ。むしろEU内にはウクライナ、ロシアの関係が早期に改善し、ウクライナ経由のパイプラインが正常化するのを望む声も強い。ロシアのガス、穀物、鉱物資源はEU経済にとって死活的意義を持っている。

 第3に、ウクライナはロシアにとって単なる隣国ではなく、ロシアのルーツであり、スラブの兄弟国で、長い間ロシアの一部だった。そこがロシア攻撃の拠点になることは絶対認められないことだ(ミサイルなら5分でモスクワに届くことになる)。第2次大戦でもドイツからの解放に多大の犠牲を払っている。
 このウクライナで反露革命(2014)を起こされたトラウマは大きい。しかもこのクーデターの先頭に立った西北部の民族主義勢力は、大戦中ロシアを裏切りナチスと組んでユダヤ人虐殺に手を貸した勢力の流れをくむ凶暴なネオナチ勢力(アゾフ連隊など)であり、これを支えたのが米国CIAだったことへの屈辱感も強い。米国から大量の資金や武器供与を受けているネオナチ主導のウクライナを「米国の植民地、傀儡政権」(プーチン)と見ており、ウクライナへのロシアの思いは複雑かつ強烈であることを軽く見てはいけない。ジョージ・ケナンやキッシンジャーら米国外交長老の「ウクライナのNATO加盟は悲劇を招く」との警告を受け入れるべきだった。

 ◆ ウクライナ問題に見る世界のパワーシフト

 今回のウクライナ動乱の推移を見ると、現代世界のパワーシフトが色濃く反映していることがわかる。国際世論はまさに反露・反プーチン一色だが、これは西側世界のことで、新興国、途上国では全く別の状況が見えてくる。

 「ウクライナで起きている不条理を目の辺りにして、世界中の誰もが私たちと同じ感情を抱くとは限らない」と書かれたこの記事は、中東の声を次のように伝えている。「ガザへの爆撃で米欧はイスラエルを支持した」「ウクライナ紛争よりイエメンの内戦の方が深刻だ」「ウクライナがイラク占領に加わったことを忘れない」(朝日 22.3.10)。

 ベネズエラ、キューバ、ボリビア、ニカラグアなどの中南米やアフリカでも対米批判の声が強い。インド、パキスタンではロシア支持のデモ、ドイツ、ギリシャ、ブルガリアではウクライナへの武器供与反対のデモも起きており、セルビア、ハンガリーでは親露派の大統領や首相が相次いで当選している(「マスコミに載らない海外記事」など)。

 国連総会のロシア非難決議(3.2)は141:5:35の圧倒的多数で可決されたが、「反対5」と「棄権35」の人口数は「賛成141」のそれを上回っている(日経 22.3.15)。国連人権理事会でのロシアの理事資格剥奪決議でも賛成93に対し、反対24、棄権58、投票せずを含めると100を超え、賛成国を上回った(「ロシア追放、亀裂を露呈」 日経 22.4.8)。

 また米欧日からの相次ぐ経済・金融制裁で、ロシア経済は締め上げられ弱体化しているとみられているが、制裁に参加しているのは米欧日加豪韓台などが主で、資源、食糧生産大国の中国、インド、ブラジル、サウジ、アルゼンチン、メキシコ、トルコ、インドネシアなどは参加していない。特に中国とロシアの経済連携は天然ガス輸入の大幅増加などで強まっており(インドも米の圧力を振り切ってロシアガスの輸入を決めた)、自国通貨による決済も進んでいるほか、CIPSなど独自の決済機構の整備も進んでいるので「金融界の核爆弾」と言われるSWIFTからの締め出しという異例の措置も決定的な打撃にはならない(独仏もガス輸入ではSWIFTを使う)。むしろ石油、ガス、小麦、レアメタルの高騰など西側経済への打撃が大きい。

 さらにロシアは制裁に報復するかのように、欧州に対し4月からガス代金のルーブル払いを要求している。独仏は応じざるを得ないと思っているが、米国が許さないので拒否している。いずれ切羽詰まってルーブル払いになるだろうが、そうなればドルの基軸性を損ね、米国覇権を崩す戦略性を帯びた措置であり、帰趨が注目される(田中宇)。

 何より世界経済に占める西側先進国の比重が大きく低下しており、経済制裁も往年の重みはない。80年代から90年代はじめG7のGDPは世界の7割を占めていたが、2014年以降は4割前後に落ちている。逆に新興国G7(中、印、露、ブラジル、インドネシア、メキシコ、トルコ)のGDPが先進国G7を上回っている(48兆ドル:42兆ドル/IMF 2020)のが現実だ。

 「民主主義対専制主義」の対決を際立たせ、中露など「強権国家」を攻撃、孤立させるため、世界111カ国に呼びかけ、昨年末(21.12.9~10)慌ただしく開催した「民主主義サミット」も、招待基準が曖昧、恣意的選別など批判が多く、参加国も80に止まり、共同声明も出すことなく失敗に終わった。何より米国民の72%が自国を民主主義のモデルとは考えておらず(ピューリサーチ)、世界的にも「アメリカ民主主義」の評価は低下していることが明らかになった。

 ◆ アメリカ―国内は累卵の危機

 さらに肝心の足元の米国社会は累卵の危機にある。コロナは感染者、死者とも断トツの世界一、コロナ禍のなかで貧富の格差は拡大し、世界一の経済大国なのに貧困率は世界4位、インフレの火が燃え出し、株価も乱高下、コロナに加えウクライナ動乱の影響や、金融政策、供給制約の動向などにより景気の先行きも不透明だ。20年間の「テロとの戦争」で国民の間に厭戦気分も瀰漫している。

 バイデンの不正選挙を糾弾する共和党トランプ派との抜き差しならぬ対立は「内乱の危機」(Newsweek 22.1.25)をはらむほどだ。「このままだと2年後の大統領選では、1年前の連邦議会占拠とは比べ物にならない規模の武装攻撃が起きかねない・・・選挙結果に反対して民衆が武装蜂起する可能性は、もはや突飛な話ではなく、現実的な備えを必要とする問題だ」(「2024年、アメリカ内戦突入のシナリオ」前掲 Newsweek)

 民主党内の左右対立、大統領、副大統領共々の支持率低下も悩ましい(バイデン支持37%、不支持55%、ハリス支持28%)。秋の中間選挙、2年後の大統領選の見通しも暗い(最近の世論調査で2年後の大統領選挙での支持率を見ると共和党54%、民主党42%だ(Newsweek 22.3.1))。バイデンが国費を使って揉み消した子息(ハンター・バイデン)のウクライナ・スキャンダルの疑惑も火を吹き出し、政権を揺るがしかねない(産経 22.4.2)。

 こうした内政上の困難への不満を外に向け、支持率を上げるためにも「敵」を作り脅威を煽る政策を強めざるを得ないのだろうが、効果は低減している。「テロとの戦争」を始めたとき、ブッシュ大統領への支持率は80%を超えたが、中露などに対決、制裁の棍棒を振り回すバイデンへの支持率は低迷したままだし、ウクライナ問題でも支持率は微増したものの「関わるな」が53%(若年層では61%)で「支援せよ」の43%を上回っている(孫崎享チャンネル 22.2.12)

 ◆ 対中露包囲網―インドの非米化でQUADは瓦解

 バイデンはEU、日、豪など西側同盟国との間でNATO、QUAD(米日豪印)、AUKUS(米英豪)など対中露対決の布陣を整えたように見えるが、それぞれの内部に足並みの乱れがあり、盤石の構えとはとても言えない。NATO、EUでは仏、独との溝が深い(ウクライナでは一応足並みをそろえているが、制裁問題や軍事関与では温度差がある。仏大統領選挙では親露派の右派ルペンが善戦している)。

 QUADではインドが中国包囲、ロシアへの対抗に反対しており(3月25日には中印外相会談でウクライナ問題での協調で合意)、早くも結束にヒビが入っている。日本はサハリン2のプロジェクトから撤退しないと決めた(3.31)ものの対露制裁に全面参加、NATO会議に林外相が参加したことなどで、ロシアからNATO並みの非友好国と指定され、北方領土交渉も白紙に戻った。このままでは軍事色の強いAUKUSに引き込まれそうだが、AUKUSにはASEAN(東南アジア諸国連合)がアジアに対立、紛争を持ち込むと批判的だ。

 最近米国は「インド太平洋レポート」を発表したが、中国包囲のため同盟国の結束を図ろうとするもので、平穏を保ってきたインド太平洋に新たに分断と対立を持ち込むものとして中国、ASEANなどの批判が強い(3月末、米国防省が発表した「国家防衛戦略」でも中国が主敵だと明記されている)。

 最近のバイデンの対外政策には乱れが見られる。中東やアフガンからの米軍引き上げにあたって、バイデンは力を対中国に集中するためと述べたが、トランプ時代「脳死状態」(マクロン仏大統領)と言われたNATOの再活性化と西欧再結束のため、さらに中間選挙の劣勢挽回のため、緊急の課題でもないウクライナのNATO加盟問題でロシアを挑発し、危機を作り出し、対決正面を増やし、絶えず危機と緊張が欲しい支持基盤の軍産派の要求に応えた。「ウクライナ衝突の最大の受益者は米国だ。危機をつくりだした張本人である米はこの機会に軍産複合体を儲けさせ、制裁のエスカレートで欧州の米国離れを阻み、米国覇権を強化しようとしている」(米国防省元高官C.スピニー CRI 22.3.23)

 中国との対決だけで手一杯なのに、ロシア、イラン、北朝鮮との対決もやめないバイデンの政策に議会からも批判の声が上がっている。「バイデンはウクライナのための戦争の陣太鼓を叩いているが、我々にとってはるかに深刻な脅威が急速に増大している・・・(それは)勃興中の大国中国だ」(「中国攻撃に注力せよ」マット・ゲッツ共和党下院議員)。

 米国で与野党、官民を問わず異常なまでに高まっている反中感情はどこから来ているのか。寺島実郎は、建国以来白人優位時代を貫いてきた黒人などへの「抑圧的寛容」が、今中国に矛先を向けているのだと言う。「自分が圧倒的に優位にあるときには、相手に対して思いやりと多様性を認める余裕があるが、もし相手が自分よりも実力を付けたり、自分を凌駕するかもしれない、という瞬間に、途方も無い猜疑心や嫉妬心にかられ、反転して相手に対して激しい攻撃を始める」(サンデー毎日 20.11.22)

 だが肝心の中国との対決も手詰まり状態だ。台湾に大量の武器を売り込み、高官を派遣し、軍事顧問を常駐させ、台湾海峡や南シナ海に空母などの軍艦や爆撃機を巡回させて、中国を威嚇、挑発し、新疆ウイグルでも大統領自ら「ジェノサイド」と断定、同盟諸国を動員、中国に汚名を着せ、孤立化を進めようとしているが、国連人権理事会などでは香港、台湾、ウイグルを含め「中国の内政問題であり、介入すべきでない」とする国が90カ国に達し、米欧日グループより多数を占めている。

 ウクライナに関連して台湾有事が意図的に煽られているが、米中が武力衝突した場合について、米国防省とランド研究所が行なったシミュレーションによると、いくつかのケースすべてで米国が負けるという結果になっている(ナショナル・インタレスト 22.8)ので、米国の挑発にも限度がある。

 3年を越す貿易戦争でも状況は芳しくない。貿易戦争の最中なのに、昨年の中国との貿易額は対前年比28.7%増の7,556億ドル(88兆円)に達した(CRI)。日米貿易の2,100億ドルの3倍以上だ。「米国は日本以上に中国にのめり込んでいる」(叶芳和 南海日日 22.3.11)のが実情だ。国内でも「中国との貿易戦争を止めるべき時が来た」「関税戦争は成功せず、米国経済を破壊する」(Newsweek)との声が強まっている。

 「中国は米国からしか買えないものはないが、米国は中国からしか買えないものがある。世界で一番中国に依存している国は米国だ。中国が85%生産するレアアースがないと米国のハイテク企業も防衛産業も麻痺してしまう(イーモン・マッキニー「マスコミに載らない海外記事」22.3.5)。

 ◆ 近づく世界史的大転回

 米国は America is back を目指し、世界に対立と分断をもたらす迷惑行為ばかりやっているのに対し、中国は一貫して国際協調による平和、発展、開放、平等を目指す外交を展開し、このため一帯一路のプロジェクトの推進、人類運命共同体のためのグローバルガバナンスの改革、充実への努力を呼びかけてきているので、マスコミの論調とは違ってアジア、アフリカ、中南米などの新興国、途上国の間に共感と支持が次第に広がってきている。

 ウクライナ紛争でも中国は極めてクールだ。ロシアの安全保障上の懸念に最大限配慮すべしとしてNATOの東方拡大に反対しているが、軍事侵攻は是認していない。また、制裁強化や武器供与は事態を悪化させるだけだとして反対し、人道支援や交渉による早期停戦に尽力している。ロシアを非難しないとの米欧の中国批判は拒否し、台湾問題への波及を牽制している。

 中国は昨年一人当たりGDPで12,551ドルに達し、中所得国にランクされ、高所得国への入り口に立った(世界銀行基準、国家統計局)。購買力平価GDPではすでに2014年に世界一になっているが、為替レートでは米国の65%程度だ。まだ不確定要素が大きいが、為替レートでも2028年には中国が世界一になると予測されている(英国・経済ビジネス調査センター 時事 21.12.26)。

 中国は有史以来19世紀初頭まで世界一の経済大国だった(1820年に世界GDPの32%を占めていた。現在は米国24.4、中国16.3)が、1840~42年のアヘン戦争の敗北を機に西洋列強(後に日本も加わる)の餌食となって衰退を続け、新中国建国(1949)の頃は世界の最貧国の一つにまで衰退していた。人民公社、文化大革命などの混乱を乗り超えて、改革、解放へ転換(1979)して以来40余年、未曾有の高度成長の結果、中国が名実ともに世界一の経済大国になれば、世界史的な大転回が起こる。China is back. である。 (4月13日)

 (アジアサイエンスパーク協会名誉会長)

(2022.4.20)
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