安保法制後押しで米強硬路線に

安保法制後押しで米強硬路線に

— 米中の南沙戦略をどう読むか —

岡田 充


 米国と中国が、南沙諸島(スプラトリー)問題をめぐり激しい駆け引きを演じている。特に中国が領有権を主張する南沙諸島のファイアリクロス(中国名・永暑)礁で、埋め立て地に3000メートル級滑走路の建設を急いでいる問題で、米軍哨戒機P8Aが5月20日、埋め立て地の12カイリ付近を飛行して、中国から8回の警告を受けたことから、日本や欧米メディアは米中が「一触即発」の危機に直面しているとの危機感を煽っている。しかし世界経済で利益を共有する米中両国の本音は、正面衝突を望んでおらず、軍事衝突の可能性は極めて低い。ではいま双方が「口水戦」(口喧嘩)を激化させる理由はどこにあるのか、双方のやりとりから米中の南沙戦略を読み解こう。米国によるメディア利用の「先制攻撃」をみると、日本の国会で始まった集団的自衛権をめぐる安保法制案の国会通過を後押しようとする狙いが透けてみえる。

 この原稿は、朱建栄・東洋学大教授が執筆した「南シナ海問題と米中関係」(「参考消息」新・24号)から多くの啓発を受け、中国側の領有権の主張の根拠や日中関係と米中関係の有機的な連携など、論点を絞りながら筆者の分析を展開した内容である。

●米が軍艦派遣と報道

 ケリー米国務長官の訪中(5月16日)直前の13日、米紙ウォールストリート・ジャーナルは、米国防総省が、中国が埋め立て工事を急ぐ「岩礁」の12カイリ内に米国が軍艦、軍用機を派遣することを検討中とスクープした。米国の主張は、岩礁には領有権はなく、中国側の主張する領海と主権は国際法上根拠はないというもので、12カイリ内への軍艦、軍用機を派遣するとしたのだ。
 この報道の3日後、ケリーは訪中し王毅外相と会談。会談後の記者会見で「南シナ海の埋め立ての速度と範囲に懸念を表明した」と説明。中国による埋め立て拡大に懸念を示した上で、緊張緩和に向けた行動を取るよう中国側に促した。これに対し、王は「中国の主権、領土保全の維持に向けた決意は揺るぎない」と譲歩しない立場を強調し、米中双方の主張は平行線をたどった。ケリーは、軍艦や軍用機には派遣には触れなかった。

(写真 ケリーは訪中し王毅外相と会談) http://www.alter-magazine.jp/backno/image/138_05-01.jpg

 「口水戦」はこれで終わりではない。中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」は14日付けの社説で、「ウォールストリート・ジャーナル」報道に対し「米政府が同紙通りの行動をとるなら、中国は強力な対抗措置をとる。その先には、南シナ海での米中正面衝突が必至」と強烈な反撃を開始した。
 社説はさらに「米国が中国を困らせた分、中国はそっくりそのままやり返す。中国は大国だ、なおかつ核保有の大国だ」とまで述べた。核保有大国であるとちらつかせたところは、プーチン・ロシア大統領が、ウクライナをめぐる核発言を想起させる。ただ新聞の社説だから迫力には欠けるが。
 これほど激しい対米非難は、最近では記憶にない。党中央・政府と軍のお墨付きがなければ掲載は不可能だ。朱建栄教授は「中国の危機感の表れ。党指導部の意を呈した対米メッセージで、仮に米国側が『レッド・ライン』を超えれば、中国は徹底的に対抗する、という最も厳しい警告」とみる。

 もう一つ、中国軍機関紙「解放軍報」は同日付けの論評で、「環球時報」ほどきつくはないが対米批判記事を掲載した。記事は「美国は南シナ海で(埋め立てや滑走路建設を先行させた)ベトナム、フィリピンの行為を容認している」として米の「ダブルスタンダード(二重基準)はやめろと主張し「中国は埋め立てる島嶼を軍事用にするつもりはない」「中東や南シナ海で緊張をエスカレートしているのは中国ではなく、米国だ」と非難した。

●中国領の根拠は「カイロ宣言」

 ここで指摘された「ダブルスタンダード」とは何か。それは中国が領有権を主張する南沙諸島で、ベトナムは既に70年代に計20の埋め立て地で港湾、滑走路、ミサイル基地やホテルを建設しているのに、米国など西側諸国は問題視しなかったという意味である。これは中国外交部報道官が4月29日に行った定例記者会見での発言。フィリピンについても報道官は「埋め立て地で飛行場の修理と拡大を進め、弾道ミサイルを配備している」と指摘した。
 では中国が主張する「牛の舌」(九段線)のような、広大な海域を自国領と主張する根拠は何か。日本ではあまり知られていないから、すこし長くなるが詳述しよう。陳慶鴻・中国現代国際関係研究院助理研究員が「南沙諸島を最初に発見し命名したのは中国人。中国人は早くも紀元前2世紀に、長距離航海と生産活動の過程で南沙諸島を発見した」(「人民日報海外版」2011年8月11日)とする古代からの検証はともかく、近代国際法上の位置付けは次のようなものである。

 日中戦争開始翌年の1938年、日本は南沙諸島の領有を宣言して「新南群島」と命名。日本領として「台湾の一部」として第二次世界大戦終結まで支配した。一方、中国民国政府は1943年12月のカイロ宣言で、米英とともに「日本が第1次大戦以降に奪取、占領した太平洋における一切の島嶼をはく奪する。並びに満州、台湾、澎湖島のような日本が清国人から盗取した一切の地域を中華民国に返還する」とうたった。
 それを根拠に王冠中・中国軍副総参謀長は、2014年6月1日のアジア安全保障会議(シンガポール)で「1946年、中国政府は『カイロ宣言』と『ポツダム宣言』に基づいて、日本の侵略者から両諸島(南沙、西沙諸島)の主権を奪回。両諸島が中国に返還された後、中国政府は1948年に『九段線』の設定を宣言した」と主張するのである。

 このロジックは、尖閣諸島をめぐる中国の論理とよく似ている。尖閣について中国は「台湾に付属する島嶼」という主張から、「カイロ宣言」「ポツダム宣言」「サンフランシスコ平和条約」を根拠に、台湾の中国返還とともに中国領になったという認識を示す。一方、南沙について「カイロ宣言」は「日本が奪取、占領した太平洋における島嶼をはく奪する」と書いているだけで、返還後の帰属先には触れていない。しかし、中国側は日本領当時、南沙諸島を「台湾の一部」としたことから、満州、台湾、澎湖諸島とともに中国に返還されたと主張する。
 事実関係を振り返る。中国は「(国共内戦時の)1947年、『南中国海諸島新旧名称対照表』を公布。南シナ海の島や岩を広東省政府の管轄下に置いた。フィリピンは中華人民共和国が成立した1949年に領有を宣言。ベトナム政府は、ベトナム戦争をめぐる米国との「和平協定」が成立した1973年に南沙併合を宣言、1974の中国の対ベトナム抗議声明を契機に領土紛争が始まるのである。
 王冠中・中国軍副総参謀長は先に引用した会議で「領有権紛争が起きるのは1970年代以降。南シナ海で 豊富な石油資源が発見されたからだ」と述べた。尖閣で、台湾と中国が領有権を主張したのは1971年である。

●資源開発で出遅れ

 こうして歴史的な経緯を振り返ると、中国の意図がだんだん見えてくる。第一に石油資源開発だ。ベトナム、フィリピンに大きく出遅れたため、これを挽回しようというものだ。11年前の2004年5月、温家宝首相は訪中したベトナムのファン・バン・カイ首相と会談、南沙諸島問題を協議した。
 その当時、中国の新聞・雑誌はベトナム首相の訪中に合わせ、ベトナム、フィリピンによる実効支配の「既成事実化」の動きを大々的に報道し、中国が資源開発競争に乗り遅れたとして“焦り”をにじませる。ロイター通信などによると、中国の南沙問題の専門家は「(島嶼部では)ベトナムが29、中国は8つを支配している」と中国の実効支配の遅れを指摘した。
 また中国誌「新聞週刊」は専門家の談話をとして「イラク戦争が主因。エネルギーの確保が高まり、(スプラトリーに)影響を与えた」と位置付け、南沙海域には「一千以上の油田を東南アジア諸国が探索・開発している。しかし中国の参加は少ない」と指摘した。

(写真 中国が建設中の滑走路) http://www.alter-magazine.jp/backno/image/138_05-02.jpg

●中国の軍事的意図

 第2は、大方が注目する軍事的な意図である。「口水戦」は、5月末シンガポールで開かれたアジア安全保障会議でも展開された。中谷元・防衛相が講演で、中国が進める南沙諸島での岩礁埋め立てを批判。カーター米国防長官も中国を名指して、埋め立ての即時中止を要求。これに対し中国人民解放軍将校は「地域が平和的で安定してきたのは、中国の大いなる抑制的対応のおかげだ」と反論。米国が主張する「航行の自由」に関し、これを損なうような行動を「中国から起こしたことはない」と反論した。さらに最終日の31日には中国軍を率いる孫建国・副総参謀長が、埋め立て続行を表明するとともに、その目的について「軍事防衛の目的を満たすため」と軍事利用が含まれることを認めた。ベトナム、フィリピンも、軍事利用している以上、中国もそれに倣うというロジックであろう。

 カーター発言とケリー国務長官の訪中で発言内容は、かなりトーンが異なる。ケリー長官は北京滞在中、範長龍・軍事委副主席と異例の会談をし「南シナ海問題で米国政府はどちらかの肩をもつ立場をとらない。他の当事国に対しても同様に扱う。最近の関連報道は米国政府の政治決定ではない」と述べ、「ウォールストリート・ジャーナル」報道を否定した。
 カーターとケリー発言のトーンの違いは、単に国際シンポジウムでの自由な発言と、外相会談での公式の場という、オケージョンの違いだけでは説明しきれない。オバマ政権がとる「アジア回帰」政策は、世界第2位の経済大国、中国と経済的な利益を共有する一方、中国を「仮想敵」に、集団的自衛権を進める安倍晋三政権に抑止力の肩代わりを期待する「両面政策」に起因する。対中政策をめぐる「また裂き」と考えるべきである。6月に開かれる米中戦略対話と9月の習近平訪米でも、「また裂き」は繰り返されるに違いない。

 では中国の南沙での軍事的意図はなんだろうか。具体的には防衛識別圏を南シナ海に設定するための動きとの見方がある。しかしそれは、南沙の領有権問題とは直接の関係はない。南沙での中国の動きは「実効支配」を強化するためである。これは中国が、公船を尖閣諸島の12カイリ以内に送るのとよく似ている。

●「疑似緊張」煽る米国

 いよいよ核心に入ろう。次の文章を読んでほしい。「東アジアの領有権問題は一部例外を除けば、ほとんどが島に関するものだ。島の領有権を変えるには大規模な軍事作戦が必要で、侵略国は空と海の支配を長期間、続けなければならない。しかも、東アジアは東欧や中東のように地続きでないため、国境線を巡る地上戦は起きないし、宗派間、民族間の対立や代理戦争の危険もない」
 「中国が尖閣諸島を軍事的に支配できる可能性は極めて少ない。そのようなことを試みれば失敗するし、大きな政治的リスクを冒すことになる」「東アジアを見渡した場合、紛争が起きる可能性があるところは見当たらない」

 これは元米太平洋軍司令官で、米情報機関の元締めである「国家情報長官」を務めた デニス・ブレア氏が4月14日、日本外国特派員クラブで行われた記者会見で行った発言である。安倍首相の訪米前の発言。それからわずか1か月後の5月中旬までに「中国の脅威」が大幅に増す事例があっただろうか。「ウォールストリート・ジャーナル」の報道は、シンガポールのアジア安全保障会議向けの「世論操作」の一つであろう。米情報機関は、フィリピン、ベトナムを使いながら、中国が滑走路建設を急ピッチで進めていた事実はもちろん知っていた。朝鮮戦争、ベトナム戦争と、米国はアジア諸国同士を対立させ、東アジアでの軍事覇権を獲得したのと同じ構図がここにみえる。安倍チャン、「戦後レジームの総決算」を言うなら、この構図こそ決算すべきじゃないか。

(写真 デニス・ブレア氏 wikipedia より) http://www.alter-magazine.jp/backno/image/138_05-03.jpg

 ブレア発言を冷静に読むと、南沙や尖閣をめぐる緊張は、米国が煽る「疑似緊張」であることが分かるはずだ。繰り返すが「中国が尖閣諸島を軍事的に支配できる可能性は極めて少ない。そのようなことを試みれば失敗するし、大きな政治的リスクを冒すことになる」というブレアの認識こそが米国の「本音」である。にもかかわらず、朝日新聞までが「中国は埋め立て中止を」(6月2日付社説)と主張しているのは「笑止千万」である。南沙をめぐる米中確執について書くとすれば「疑似緊張に踊らさせられるな」あたりであろう。

 中国の領有権争いの解決法は、2013年7月末の中国共産党政治局の学習会で習近平が述べた3原則に集約される。それは(1)主権はわが方にある(2)争いは棚上げ(3)共同開発 — である。米中の駆け引きが強まる中で、米国の中国評論サイト「多維新聞網」は5月19日、「南海三軌思路」とする記事で「米国の力を借りて、南シナ海でベトナム、フィリピンなどが一方的開発を先行した局面を共同開発に変える」思惑があると報じているのは、習近平原則に沿ったロジックと見てよい。
 中国の軍事的意図で米国が注視するのは、海南島に配備した大型原子力潜水艦の動きである。潜水艦発射の多弾頭ミサイル(SLBM)搭載可能な中国原潜は、米国本土攻撃の射程範囲である。米軍電子偵察機EP3が2001年、海南島上空で中国空軍機と接触事故を起こしたのも、海南島の原潜の電子情報の取得が目的とされる。領有権争いをすぐ「軍事目的」と断じるのは、的外れである。

●日中関係改善を側面支援=米国

 最後に分析するのは「疑似緊張」を」煽る米国の意図だ。引用した「多維新聞網」の「南海三軌思路」は「米側はアジアインフラ投資銀行(AIIB)などで落ちたアジアでの影響力を、南シナ海問題で中国に攻勢をかける形で挽回しようとしている」と報じ、別の多維記事は、中国外交学院の李海東の見方として「南シナ海問題を米側が最近クローズアップした狙いの一つは間もなく始まるシャングリラ会議のための世論工作」(5月22日「西媒:美國南海打心理戰」)だと報じた。
 いずれも「的外れ」とまでは言えないが、「的を射て」はいない。結論を急げば、日本の国会で審議入りした集団的自衛権をめぐる安保法制が成立する予定の夏まで、米国は中国批判を抑制する安倍政権に代わって、安保をめぐる「中国の脅威」を喧伝し続けるだろう。

 安倍首相は、安保法制をめぐる国会答弁で「中国の脅威」を名指しで言及するのを徹底して避けている。なぜ本音を出さないのか? 昨年11月のAPEC北京会合での習近平との初会談以来、二回の首脳会談を経て、中国との関係改善の方向がようやく軌道に乗り始めたところである。本音はともかく、中国を敵視する発言をすれば、軌道から車輪は外れてしまう。尖閣問題で日中衝突に巻き込まれるのを懸念するオバマ政権にとっても、日中和解は彼らの「国益」に叶う。米国が「中国脅威論」を展開してくれれば、日本の世論で安保法制の必要性に納得する割合が増えるだろう。

(写真 民主党の辻本議員の質問中「早く質問しろよ」と野次をとばす安倍首相) http://www.alter-magazine.jp/backno/image/138_05-04.jpg

●何が脅威かの議論を

 その安保法制だが、共同通信社が5月末に行なった全国電話世論調査によると、安全保障関連法案について、今国会で成立を図る安倍晋三首相の方針に、ほぼ半数の49.8%が反対と答え、賛成の38.4%を10ポイント以上、上回る結果が出た。
 なぜか? それは、「海洋進出を急ぐ中国と北朝鮮の核・ミサイルという安全保障上の脅威」という本音の論点を隠しているのが一因であろう。自衛隊出動の具体例として、遠く離れた中東のホルムズ海峡の機雷掃海の話に終始しても、ほとんどリアリティはない。安倍首相は、国会審議の中で野党の質問を「木を見て森をみない」と批判した。何が木で、何が森なのか。森とは「海洋進出を急ぐ中国と北朝鮮の核・ミサイルという安全保障上の脅威」のはずだ。本当に「中国と北朝鮮は我々の平和と安全を脅かす脅威」なのか。「脅威」の内実を検証すれば、その多くが米国の「疑似脅威」に当たることが分かるはずだ。

 最大野党の民主党も、安倍チャンと同じ虚構を共有している。それは「中国と北朝鮮の脅威」を所与の前提として、あえて争点にしない姿勢に表れている。まともに議論すれば、民主党内に亀裂が生じるのは避けられないと恐れているのではないか。だが、脅威の有無をきちんと検証すれば、台頭する中国をにらんで、アジアの国同士を争わせつつ米国の東アジアにおける政治・軍事覇権を維持するため、集団的自衛権の容認に道を開いた安倍政権の意図が、明確になるだろう。与野党が安保法制の「争点隠し」を止めなければ、地に足の着いた安保論の歴史的使命を逃すことになる。

 「産経新聞」のコラム「産経抄」は、5月30日付けで次のように同紙の本音を書く。
 「日本の近所には、自国からはるか離れた岩礁を埋め立てて軍事基地を造ろうとする国や、人民が飢えているのに核兵器やミサイル開発に血道をあげている国がある。こうした国の暴走を止めるには、日本だけの力ではどうしようもない。仲間と協力して平和を守るため集団的自衛権を行使するのが、なぜ悪いのか」。

 中国と北朝鮮の「脅威」から、集団的自衛権の行使が必要であるという同紙の主張が、簡明かつ端的に述べられている。また産経紙と同様の主張をする櫻井よしこ氏は、週刊新潮に連載している「日本ルネッサンス 米国の対中政策」(5月28日号)で、カーター国防長官の中国埋め立て地への軍艦派遣発言について「オバマ大統領が最終的に許可を与えれば、中国に対する抑止力になるが、同大統領のこれまでの対中外交を見れば、疑問を抱かざるを得ない」と書いた。
 櫻井は以前から、オバマ大統領の「中国と韓国寄りの政策」を批判し、オバマは国防総省や、米議会の対中強硬論に同調すべきと主張してきた。その櫻井は、翌週の週刊新潮のコラム(6月4日号)で、米中確執について「オバマ政権は、米中の大国間関係に夢を託すよりも日米同盟の強化が確実に国益につながることにようやく気づいたといえる」と甘い見通しを披歴した。筆者の見立てが正しければ、安保法制が国会を通過した後、米中の激しい確執は一転して収まる可能性が高い。8月には、戦後70周年をめぐる首相談話が発表される。安倍は米議会演説でも触れたように、「深い反省」を繰り返すだろう。先の大戦の何を反省しているのか、目的語があいまいだ。「侵略」と植民地支配について「謝罪」は言わないはずだ。中国、韓国はもちろん、欧米諸国のすべてが日本の安全保障と歴史認識にかかわる首相談話を注視している。もちろんオバマ政権も。

 (筆者は共同通信客員論説委員)

※ この原稿は著者の了解を得て海峡両岸論54号から転載したものです。


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