第114号(2013.6.20)

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メールマガジン「オルタ」114号(2013.6.20)
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 ◎ 『成長戦略が原発輸出でいいのだろうか』          
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今、改憲論議に思うこと、言いたいこと     荒木 重雄

とくに目新しい事実や見解を記すわけではない。だが、わかりきったことでも、愚直にでも、言うべきことは何度でも、繰り返し言わねばならないところにきているように思われる。それは、このところの憲法をめぐる動き、とりわけ自民党や維新の会の改憲論に対してである。そもそも憲法とはなんであるのか。


安倍政権と「アベノミクス」の位置私たちが向き合う時代の課題―     井上 定彦

■安倍政権と「アベノミクス」の登場 このところ安倍政権への高い世論支持率は、小泉政権のときに匹敵するもので、この時点での東京都議選と1か月後にひかえた参議院選挙での自民党の大勝はゆるがないようにもみえる。 そして、このような勢いはここのところは「アベノミクス」の成功に大きく負っているようだ。

賃金デフレ脱却と経済再生に向けての視点      鈴木 不二一

□21世紀は賃下げの時代として始まった。まず、極めて陰鬱な事実の確認から始めよう。21世紀日本の労働世界の幕開けは、「賃下げの時代」として始まった、ということである。 『連合・賃金レポート2012』の分析によれば、日本の賃金水準は1997年にピークをむかえて以降、一貫した低下傾向をたどってきた。労働力構成の変化を調整した上で時系列比較を行うと、1997年から2011年までの14年間に、所定内賃金は7.2%減少した。一時金の減少幅は所定内賃金よりもいっそうドラスチックで、31.9.%にも及んだ。結果として、年間賃金は、16.3%の減少となった。 

中国の原発・その危険な実像「脱原発一国主義」でいいのですか?~      濱田 幸生

■中国の偏西風風下に位置する日本列島  中国の原発が事故を起こした場合、原子力規制委員会も想定するように「偏西風に乗って風下の日本は大規模な被曝をする」ことになります。中国の原発銀座である東部沿海側から渤海周辺で大量に放射性物質が放出された場合、ヨウ素やセシウムなどは揮発性ガスですから、偏西風に乗って西側海上に吹き出され、短時間で我が国の九州、北陸、東北に到達します。
≪連載≫海外論潮短評(69)

貧困の根絶に向けて― 国際社会は再びその目的を追求すべきだ―         初岡 昌一郎

ロンドンのエコノミスト誌7月1日号が、貧困問題を特集している。表紙で世界の貧困層が1990年代以降、右肩下がりに減少していることを示すグラフを掲載、巻頭の社説とブリーフィングというトップ記事で解説し、詳しく論じている。例により、要約紹介の後、コメントを付記する。>国際社会は再びその目的を追求すべきだ]]
≪連載≫宗教・民族から見た同時代世界    

政治も揺るがすインドネシアの精霊信仰   荒木 重雄

インドネシアやマレーシアでよく語られる小噺がある。漁師が沖に漁に出た。すると雲行きが怪しくなってきた。はじめは大したことはなさそうなので、漁師は、「アッラーの神よ助けたまえ」とイスラムの型どおりの祈りをささげる。ところがそのうち嵐がひどくなって、ただごとではなさそうになると、漁師の目の色が変わってヒンドゥーの神々に祈りはじめる。さらに嵐が激しくなって、ついには舟も覆るかとなると、もう他所からきた神様では間に合わないと、古来の土着の精霊に必死に祈る。
≪連載≫落穂拾記(23)

片田舎に生きた左翼人がいた       羽原 清雅

「小京都」といわれる島根県の津和野に先日出向いた折に、「この地に戦後、共産党村長第一号が生まれたんですよ」と聞かされた。この保守的な土地柄に「まさか」と思わせるような話だった。津和野藩は山地に囲まれた産業も乏しい四万三千石の小藩で、大きな百姓一揆もなく、なにかと話題の多い隣接する長州藩とは対照的な温和な土地に、である。 当時はまだ、「木部村」という小さい農村で、今は津和野町に合併している。木村荘重(1907-82)がその人で、終戦に伴う民主化のなかで1947(昭和22)年4月、無投票で木部村長に選ばれている。島根県では、そのあとも本庄村(現松江市)、鳥井村(現大田市)に共産党村長が登場している。 
【横丁茶話】

正論のこわさ冷たさ                西村 徹

朝日新聞(大阪版6月5日水曜)の「声」欄に「慰安された兵士よ 声上げて」と題して、女性と思われる歯科衛生士(49歳)による投書が掲載されていた。 「日本維新の会共同代表、橋下徹大阪市長による元従軍慰安婦についての発言に関連し、私は当時、慰安婦と接触した元兵士の方たちに尋ねたい。極限状態で慰安婦との時間が本当に慰安たりえたのか否かを。私には男の性衝動を理解できないが、女性が男性と接触するには全面的な信頼が不可欠であることは分かる。その条件がない中での行為が女性をどれほど苦しめたか想像できる。
【北から南から】
フランス便り(その8)

子育て大国のフランス  鈴木 宏昌

今年の全仏オープン(ローラン・ギャロス)はナダルの圧勝に終わり、史上初の8連覇を達成した。テレビで、錦織の試合もすこし見たが、ナダルにはまったく歯が立たなかった。ナダルは準決勝、決勝では鬼神が乗り移ったようなすばらしいテニスを披露した。本当に強い。 今年は、久しぶりに試合を見物したいと思っていたが、気が付いたときには切符は売り切れていた。インターネットで切符の値段を見ると、3回戦以上は、100ユーロ以上していたのには驚いた。フランスの昨今は、不景気と増税、不順な天気などくらい話が多いが、一部には時間とお金を持つ人がいるのだろう。私にとっては、ようやく、テレビに釘付けになる時間から開放された。 
【北から南から】

ビルマ/ミャンマー通信(6)土地国有と農地取り上げ       中嶋 滋

ミャンマーでは、民主化に向けて様々な分野で改革が進められていますが、必ずしもうまく運んでいるとはいえない事態も多く起っています。その1つの典型が、土地所有をめぐる問題です。 ミャンマーの土地所有は、1962年のネ・ウインによる軍事クーデターと「ビルマ式社会主義」導入によって国有とされてきました。農民は土地使用(耕作権)契約を国と結ぶ形で農地を確保してきたといいます。毎年契約金を払って耕作権を更新して自作農の形が取られてきた訳です。こうした制度下で軍政時代には、俄には信じ難い土地の取り上げ事件が多く起ったといわれています。 
【北から南から】

オランダ通信(2)オランダ人に理解し難い日本という国       リヒテルズ直子

マレーシアで村落調査をしていた時に出会ったオランダ人の夫との結婚を決意して間も無く、今からおよそ30年あまり前のことです。休暇でオランダの実家に帰っていた夫から手紙がきて、「裸で大声を掛け合いながら神輿を担いで行く日本の男たちの祭りでの姿がオランダのテレビで放映され、夫の両親が思わず顔をしかめた」と書いてきたことがありました。私にはなぜその時に両親が顔をしかめたのかすぐに理解できませんでした。それは、その映像がどのようなコンテキストの中で放映されたものだったのかがわからなかったからです。
【北から南から】

韓国より安倍総理への公開書簡       金 正勲

日本での留学経験を活かし、大学生を指導しながら韓日の架け橋の役割を果たすことに専念する学者として、日本を心から思う視点より御忠言申し上げます。 韓国には太平洋戦争の時、日本側の口車に乗り、三菱重工業に動員され被害を受けた勤労挺身隊ハルモニ(おばあさん)が住んでおります。そして光州では2009年、「勤労挺身隊ハルモニとともにする市民の会」という市民団体も結成され、勤労挺身隊の被害者問題が話題となっております。このような雰囲気からでもあるでしょうが、私は、日本帝国主義時代の被害者問題の解決に献身的だった、良心的な日本作家松田解子を研究する立場なので、自ずからその問題に関心を持つことになりました。
【特別報告】

経産省の一角に脱原発テントは存続している(1)       三上 治

空梅雨かと見られていた今年の気候だが、それでもお湿りはあって梅雨らしくなっている。経産省前に、といっても当省の管理地の一角に脱原発のテントは立っている。
【運動資料】

立憲フオーラム設立趣意書        

いま、時代は大きな転換期に入っており、新しい世界の協調・共生関係の構築が求められています。そうしたなかで、日本はどういう立ち位置をとるのかが問われています。先の大戦での日本国民の死者は軍人から市民まで多大な数にのぼり、世界もおびただしい犠牲者を出しました。戦後の日本は、その反省に立ち大日本帝国憲法を改正し、その体制を民主主義へと移行させました。 私たちは「人権の保障を宣言し、権力分立を原理とする統治機構を定めた憲法」を基礎にすえた立憲主義の立場をいま一度確認すべきだと考えます。
【運動資料】

国際シンポジウム趣意書「平和の海を求めて―東アジアと領土問題」        

「尖閣」「竹島」の領土問題をめぐる日本と中国・台湾、また韓国との対立は、根深い歴史問題を背景に、双方のナショナリズムを引き起こし、突発的な事態が発生する恐れすらでています。とりわけ尖閣諸島(中国名・釣魚島、台湾名・釣魚台)の周辺では、公船の対峙や航空機の接近、レーダー照射問題など、緊張がエスカレートしています。竹島(韓国名・独島)についても、状況の打開は容易ではありません。
【オルタのこだま】

オルタ113号を読んで      武田 尚子

113号はいつもながら問題百出、活気に満ちていますね。そして、アメリカの民主主義が、現在のように重大な機能低下をみせていてさえ、日本という国が如何に民主主義から遠いかを思わずにはいられませんでした。 初岡さんの、人生と仕事に目標のない世代を読んで、今回の旅で往来したたくさんの停車場や電車や汽車の車内で、日本ではあれほど著しかった、本を手にする若者に出会えなかったことを思い出します。

【俳句】   富田 昌宏

極楽はあの世にあらず三尺寝  鍬持ちし手もて踊りの太鼓打つ

【川柳】   横 風 人

この惑星 カネがはびこり 労細く  PCも 鳥もウィルスも ヒト汚染 

【編集後記】

7月の参院選までは極力政治的な争点を隠し、もっぱら成長幻想を振りまき、沖縄では普天間の県外移設・福島では全原発廃炉とそれぞれ党本部と現地との二股「公約」の使い分けで国民をあざむき、維新との連携で三分の二を確保してから本格的な九条改憲に取り組むというのが二月に発足した第二次安倍内閣の算段であつた。 ところが安倍総理は成長期待を囃やす思わぬ株高に、政治は結果だとばかり胸をはり、すつかり舞い上がつて地金を出し、憲法96条先行改定を言いす。さらに沖縄の猛反発を押し切つて「主権回復の日」を強行したり、公約をねじ曲げてまでもTPP参加を決める。


■【催し案内

社会環境学会総会・研究大会

 講 演: 『尖閣諸島問題の見かた―領土ナショナリズムの魔力』 岡田 充
 日 時: 6月22日(土)午後1時30分~
 場 所: 神田・駿河台・明治大学タワー校舎

国際シンポジウム
 『平和の海を求めて―東アジアと領土問題―』

 日 時: 7月7日(日) 午後1時
 場 所: 神宮外苑・日本青年館