─────────────────────────────────
メールマガジン「オルタ」110号(2013.2.20)
====================================
◎ 貴重な『平和国家』ブランドを守り育てよう。
-----------------------------------
■どのような日本に「戻る」のか 荒木 重雄
■日本の政党政治を根底から変革するために ―ヒントとしての「緑の党」― 白井 和宏
■朴槿恵大統領の誕生とこれからの韓国 丸山 茂樹
2012年12月19日の韓国大統領選挙で勝利したセヌリ党の朴槿恵女史が2013年2月25日に大統領に就任する。その日から2018年2月までの5年間、韓国は朴槿恵時代となる。この原稿は2月初旬に書いているので大統領就任演説を紹介することはできないが、これまでの選挙公約や発言から大凡の方向は明瞭だ。 本論では韓国と東アジアの今後を展望するために、最初にこの政権が誕生した政治的・社会的な背景と韓国の野党(中道左派・左派)の状況について述べる。そして今後の韓国を左右するだろう社会運動(労働運動、市民運動、生協運動など)の動向についても私見を述べることにしたい。
-----------------------------------
■脱原発のための6のパラメータ 濱田 幸生
脱原発は、もつれた糸玉のようなものです。焦らずに、ひとつひとつ丁寧に解いていかねばなりません。一見迂遠ですが、結局それが一番の近道ではないでしょうか。 私は脱原発について考えるための6ツのパラメータを挙げてみました。優先順位ではありません。(1)環境問題(2)原発をなくした場合のエネルギーの安定供給源(3)代替エネルギーの普及・経済効果とその財源 (4)使用済み核燃料の処分(5)国民生活・国民経済への影響(6)原子力規制機関のあり方
-----------------------------------
≪連載≫海外論潮短評(65)
失速し始めた新興経済諸国(BRICs)―グローバルな経済統合は神話― 初岡 昌一郎
21世紀に入ってから世界経済を牽引してきたBRICs諸国、すなわち、中国、インド、ブラジル、ロシアの経済にこのところ変調が顕著になり、その高度成長の失速が始まった。これは、国際問題専門誌として定評のある『フォーリン・アフェアーズ』2012年11/12月号の表紙に取り上げられた主論文の論調である。 「バラバラになったBRICs」という表題のこの論文の筆者、ラヒール・シャルマはモルガン・スタンレー投資運用会社のインド人経済分析専門家である。以下はその要旨。アメリカきっての投資顧問会社専門家の目を通してみる世界経済の展望は興味深い。
-----------------------------------
≪連載≫宗教・民族から見た同時代世界
アルジェリア人質事件に見えた歴史のトラウマ 荒木 重雄
1月にアルジェリアで起こった天然ガス施設人質事件では、事件発生から僅か2日目にして軍が急襲し、日本人10名を含む多数の外国人犠牲者を出しながらイスラム武装グループの壊滅を優先した、人命軽視の強硬策が衝撃的であった。併せて、情報相が、外国からの協力申し入れについて「わが国はフランスの植民地支配から独立を勝ち取った主権国家であり、外国の部隊が一歩たりとも足を踏み込むことはあり得ない」と述べたこともまた衝撃的であった。すなわちこの事件とその処理には、アルジェリアの国家形成過程での誇りでもありトラウマでもあるナショナリズムとイスラムの複雑な関係が重苦しく影を落としているのである。 なにごともアルカイダと関連づければ事足れりとするような近視眼的なメディアによる表面的な報道が一段落したところで、改めてこの事件の背後にあるものを歴史に遡って見詰めたい。
-----------------------------------
≪連載≫落穂拾記(18)
自殺はどこまで減るものだろうか(上) 羽原 清雅
体罰選択制論 西村 徹
またしても翻訳のことでかわり映えしないが、気になることは気になるので、落語のマクラよろしく、書き留めておくことにする。細かいことをいうようだけれど、細かいことに徹底してこだわる完ぺき主義は日本の技術者のお家芸、不良品をひとつでも出すまいと神経を研ぎ澄ますのがものつくり日本の真骨頂である。それが翻訳となるとケンチャナヨ、きれいさっぱり笹子トンネルではどうにも腑に落ちないのだ。
-----------------------------------
■【北から南から】
中国・深セン便り
『春節・張家界旅行記、その前に』 佐藤 美和子
フランス・パリ便り(その6)
フランスの老人ホーム事情 鈴木 宏昌
ビルマ/ミャンマー通信(2) 中嶋 滋
右傾化という言葉が流行であるが… 三上 治
民主再生は可能か。無党派層と脱原発票の行方。 仲井 富
民主党が03年以来、衆参選挙で約2100万票の安定した比例区票を獲得できたのは、都市無党派層の支持を得たことにある。とりわけ政権獲得時の09年衆院選挙の選挙区投票で約2900万票を獲得した。投票時の民主党支持率は25%で自民の支持率は37%だった。しかし無党派層20%のうち、民主は実に58%を獲得し、自民は24%だった。加えて自民支持層の29%が民主に投票した。自民支持層で自民に投票したのは58%だった。これが民主党大勝の原因となった。要するに無党派層の圧倒的な支持と、自民支持者の離反が民主党の圧勝を呼んだのである。
-----------------------------------
■【エッセー】
身辺雑常(2) 高沢 英子
『緑の政治ガイドブック─公正で持続可能な社会をつくる』 岡田 一郎
本書はイングランド・ウェールズ緑の党元主席議長でイギリスにおける緑の政治運動の指導者であるデレク・ウォール氏が、世界各国の緑の政治運動の現状や緑の政治の哲学についてコンパクトにまとめたものを、神奈川ネットワーク運動元事務局長の白井和宏氏が日本語に翻訳したものである。(巻末にはジャーナリストの鎌仲ひとみ氏と人類学者の中沢新一氏の対談が収録されている。) 日本においては緑の政治運動といえば、一般的にドイツ緑の党の存在が創立当初から注目され、早くも1983年には講談社現代新書から永井清彦『緑の党』が出版されている。また、現在でもドイツ緑の党やドイツ緑の党が誕生する背景となった1968年の学生運動に関する重厚な研究も多数、日本で発表されている。
-----------------------------------
■【俳句】 富田 昌宏
立春や割る鶏卵に黄身二つ 啓蟄や土工顔出すマンホール
-----------------------------------
■【川柳】 横 風 人
脱原発 続け脱米 脱テロまで 新春に 絵餅蔵出し 永田町
-----------------------------------
■【追悼】
河上民雄先生の思い出 杉本 美樹枝
山本満先生に感謝します 加藤 宣幸
私が山本さんと始めてお会いしたのは‘60安保闘争が終わってしばらくたった頃だから、ほぼ50年がたったことになる。本来、山本先生とお呼びすべきなのだが、そのころは優れたジャーナリストとして皆は敬意をこめて山本満(マン)さんと呼んでいたので、しばらくお許しを願いたい。 山本さんはジャパンタイムスの外務省担当記者として国会で日米安保条約審議を取材され、外務省記者クラブのメンバーとして共同・朝日・毎日・東京などの有志と各社の枠を超えて協力し、安保に批判的な立場から野党・社会党議員に協力されていたようである。
-----------------------------------